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マレーシアのお菓子はだいたい四角。

だんご、桜餅、おはぎ、大福、まんじゅう、どらやき……日本の和菓子を思い浮かべると、だいたい丸い。

これに対してマレーシアのお菓子は、クエラピス、クエタラム、クエスリムカ、クエベンカン、アガアガ、プルッタイタイ……など……って、読んで下さってもこれって何? かと思いますが、とにかく、たいたい四角である。

現地の菓子店のショーケースはこんな感じ。

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マッチ箱ぐらいの四角いお菓子が並んでいる。

なぜ四角かというと、作り方に理由がある。下の写真のように、大きなトレーで大量に作り、切り分けて販売しているから。牛乳寒天のような感じね。

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日本でいうなら、羊かんやカステラを切り分けてひときれ単位で売っているのと同じ。

この大型トレーを使って、蒸したり、焼いたりする。蒸したものはもっちり、やわらかい食感。焼く場合も、ココナッツミルクをたっぷり入れることが多いので、しっとり食感がほとんど。そのため、どちらもその日に食べ切る生菓子だ。

もうひとつ、この大型トレー調理法でうまれた特徴がある。それは、しましまとツートンカラーの色合い。

マレーシアで1番ポピュラーな、しましまのお菓子、クエラピス。ひとことでいえば、ココナッツミルク味のういろう。

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生地を2色用意し、数回にわけて、交互にえいっとトレーいっぱいに流し入れて、蒸し上げていく。なので、このようにしましまに。

ちなみに、なぜこんなに手間のかかる作り方をするかというと、その昔、調理に炭火を使っていた時代、炭火の火力が弱く、分厚いと火が中まで通らず、すこしずつ蒸す調理法になった、とか。

そして、こちらもポピュラーなツートンカラーのお菓子、クエタラム。ひとことでいえば、ココナッツクリームとパンダンの香り豊かなもち菓子。

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これも、食感や味の違う生地を2種用意し、トレーいっぱいに生地を流し入れて、順番に蒸しあげる。このクエタラムの場合は、下はは緑で固めの食感。パンダンリーフのしぼり汁をいれて緑に色付け。上はココナッツミルクが多めでやわらかいクリーム状。口のなかにほおりこめば、ココナッツとパンダンの香り、ぷるんとした食感となめらかな舌触り、といろんなハーモニーが楽しめる。

もうひとつ。先に書いたように、これらはどれも日持ちがしないお菓子。だから、小分けに切り分けて販売されているのだ。つまり、和菓子店がおだんごを1串売りしているのと同じ。

マレーシア人はお菓子が大好きで、食後に、おやつに、朝ごはん、夜食に、と、1日のうちのどこかにお菓子タイムがある。菓子店や路上の出店で、これらの小分けになった四角いお菓子が売られているので、今日はこれとこれ、明日はこっちとこっち、と毎日別の味を楽しむのがマレーシア流だ。

という、オチもなにもない、マレーシアの四角いお菓子の話しでした。

形や色、提供方法やレシピ。そういうものをじっくり観察していくと、その向こうに、そこで暮らしている人々の生活習慣や文化のようなものが見えてくる。そういうものを探っていくのはとても楽しい。

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ペナンの菓子店、モーテンピョウ・ニョニャクエ「Moh Teng Pheow Nyonya Koay & Canteen」には、作り立ての四角いお菓子がたくっさん。どれも小ぶりのサイズで甘さひかえめなので、どれだけでも食べられます。上記写真は二人でペロリ。

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