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王子が「サンバルがやさしい」と言ったわけ。

ひさしぶりに今週はワクワク!イエイエイ!週間だ。

西武渋谷店A館8階の「偏愛食堂」に、いなり王子 and カレーの松さんの偏愛フーズとして、マレーシア料理店「マレーアジアンクイジーン」が出店している(期間限定:3月29日まで)。

今回のメニューは、バラエティ豊かなマレーシア料理のなかで、マラッカ発祥のニョニャ料理をフューチャー。そのためマレーシア料理の代表格「ナシレマッ」も、バタフライピーでご飯を青くしたニョニャ・スタイル。

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そして、ココナッツミルクたっぷりの「ニョニャ・ラクサ」には、なんと国産伊勢海老と熊本の南関揚げ入り。チャークイティオには大海老 or  和牛のせ。マラッカ名物の「一羽チキンライスボール」も登場という、偏愛食堂だけの限定メニューがずらり! さすが渋谷の高級百貨店だからこそできる、一生で一度で会えるかで会えないか、ぐらいの豪華さです。

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このご時世ではありますが、皆さま、渋谷に行かれたらぜひ(3月29日までです)。


さて、タイトルにもどって「サンバルがやさしい」という話し。

先日、このイベントを盛り上げよう、ということで、「もっと知りたい!マレーシアの魅力」のインスタライブに出演させていただいた。そこで、ハッとしたできごとがあったのだ。

今回提供している「青いニョニャ・ナシレマッ」。ナシレマッといえばサンバル(唐辛子ソース)が必須で、もちろんこの料理にも付いている。白い器に入っている赤いソースがサンバルだ。

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このサンバルのことを指して、偏愛食堂総監督のいなり王子が「これが、やさしいんだよね」と語るのだ。

「ほら、四川料理だと、料理そのものが辛いでしょう。でも、これは別添えになっているから、やさしいの」と王子。つまり、やさしいのは味ではない。サンバルの添え方ということ。

ほぉ、たしかに!

一年中暑いマレーシアでは、ピリッと辛い料理がとても合う。でも、わたしの経験上、口のなかがヒーと火を噴くような激辛料理を食べたことはほとんどない。料理自体あまり辛くないものも多く、辛くするための唐辛子ソースは別添えで提供される。それぞれ食べる人が辛さを加える仕組みになっているのだ。

チキンライスも、ラクサも、バクテーも、別添えで唐辛子ソースが出てくる。辛くするとおいしいので、わたしは、かならずちょっと足す。このちょっと加減は、その日の気分や料理によって変えている。そんなフレキシブルな対応ができるのも、この別添えスタイルだから。

このスタイル、さまざまな人とさまざまな場面の好みに対応できる、うれしい仕組みなんだなぁとあらためて思った。

思うに、好きなものを好き、というのは、けっこう簡単だ。
嫌いなものを嫌い、というのも、がんばればできる。

でも、嫌いなものを嫌いといった人を、ちゃんと受け入れる仕組みをつくるのはそんなに簡単なことではない。

仕組みづくりには知恵がいるし、工夫がいるし、なにより、その仕組みをみんなが受け入れる社会じゃなきゃいけない。きっと多民族が暮らすマレーシアにとって、それぞれがそれぞれの好みで楽しめるフレキシブルな仕組みというのは、とても大事なことで、社会の鍵になっている気がする。

辛いソースを混ぜちゃうか、別添えにするか。たったそれだけのことでも効果は大きい。その小さなやさしさが、万人が心地よく暮らせる基礎になったりしている。

たしかに、王子のいうとおり、マレーシアのサンバルはやさしい。
こんなやさしい仕組みが、あちこちにあればいいなと思った。
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偏愛食堂総監督のいなり王子(左)とカレーの松さん。どちらもマレーシアに縁があって、王子は親子留学経験者、松さんはKLからマラッカまですべて制覇していて、KLのレストラン「ビジャン」おし。

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こちらは偏愛食堂の厨房チーム。マレーアジアンクイジーン店主、チャーさん(左)。敏腕シェフ、キンさん(中央)、奥さまのニコちゃん。みんなマレーシア人の方で、なかなか故郷に帰られない今、故郷の味を伝えたい、と頑張っています。

渋谷にいらっしゃったら覗いてみて下さいね。


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