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舞台感想 宝塚歌劇 月組公演 グレート ギャツビー

思い起こせば20日ほど前の7月29日、グレートギャツビーを観に行くためムラに向かったJRの中で、ライン通知が……
コロナ陽性による休演……
心中の休演や花組初日の延期などがあった後だったので、万一の場合は美術館にでも行こうと覚悟はしていたけれど、結局脱力してどこにも行かずにとんぼ返りして、休演が7月29日〜8月2日ですむことを祈っておりました。
8月9日の良席のチケットもあったからね、これが観れれば……
でもガーン! 引き続き8月14日まで延長 引き続き8月18日まで延長……
手持ちのチケットは次々消えていき、唯一残ったのが、8月19日の二階B席。
S席で複数回観るから、最後は全体を見渡すB席とっておこう!と軽い気分でとったチケットが、虎の子になるとは!
これがダメなら一度も見られない! どうか、どうか!
幸いにも再開初日、観ることが叶ったのです。

!!!!!!!!!

と、この記事書いていたら、ライン通知が!!!
花組が今日の公演を中止!!!
なんと……もう、みんな劇場に行っておられるだろうに……

これ……意外と衝撃大きいのよ。
せっかくだから美味しいものでも食べてとか、スウィーツやけ食いしてとか頭では考えられるのだけど、実際に体験してみると……
「もう、帰ろうかな……」
ってなることを、知りました。
本当に、言葉もございません。

陽性者確認、即、上演中止ということが当たり前のようになってきて演劇業界を苦しめている。
変異によって感染力の強いウィルスとなっているのだから、どれほど注意しても舞台の上で集団で声を出す行為は感染を広げてしまう。
致死率は低くなっているといっても、実際に感染した人は、激しい喉の痛みや高熱に苦しんでいる。クラスターを起こして大好きなタカラジェンヌたちがそんな症状で苦しんで欲しくはないから、休演は仕方ないと思う。
喉はジェンヌさんたちにとって、大切な器官だからね。

憎きコロナウィルス!
これほど皆が祈っているのに、祈りは届かないのか……

しかし、パリとかロンドンとか皆ノーマスクで普通に街を歩いている映像を見ていると、以前はヨーロッパが大騒ぎだったのに、今はアジアが大騒ぎしているように感じられます。ウィルスも変異して、今はアジア人を攻撃しているのかしら? 専門家という人の話も色々で、いったい何を信じれば良いのか……

話を戻そう。月組公演の感想を書いているつもりだった。
で、唯一生き残った8月19日二階B席で観てまいりました。
見晴らしはこんな感じ。

凄いですよねえ。宝塚大劇場。
オペラをのぞけばスターのお顔も見えるし、全体的なフォーメーションは一階席より楽しめるくらいでして、これがS席の半額以下っていうのは、お買い得にも程がある。
さすがに、再開初日は二階も満席でしたね。

私は早めに席につくタイプでして、オケのチューニングなんかを聞くのが好きです。なんだか、昨日はオケの皆さんもウキウキしているような音に聞こえました。皆、待ち望んでいたんだなあ……

グレート・ギャツビー、小説も映画も有名ですからね。
私は中学生頃、宝塚歌劇と共に好きだったのが洋画。
ロードショーとかスクリーンとかいう雑誌も読んでいました。
そして、Rレッドフォードが好きだったので、レッドフォードの「華麗なるギャツビー」好きでしたね。ディカプリオのギャツビーも観ましたが、私の中のギャツビーはやはりレッドフォード。美しかったなあ……
原作も読んだ覚えがありますが、結構記憶が定かではなくて、救われない話だなあっていう印象です。
宝塚版は、スカステで瀬名さんのを見た記憶があります。

なので、宝塚版舞台は初見です。

全体的な感想は、主演のれいこさん、うみちゃんの素晴らしさもさながら、主演を取り巻くちなつさんのトム、おだちんのニック、みちるちゃんのジョーダンが素晴らしい。
れいこさんの大人の余裕や美しさはいうまでもないのですが、一途さが際立っていました。一途な切なさが悲しいほど伝わってきます。
原作も映画もデイジーは本当にジェイを愛していたの?って感じたのですけれど、うみちゃんのデイジーは、ジェイのことをずっと愛していたんですね。でもお嬢様育ちすぎて、自分のことを守りたい気持ちが先走ってしまう。墓にバラを手向けるデイジーは、随分大人に見えました。ちょっと怒ったような、冷たいような、でもそれは夫の目の前で見せた偽りの姿であるような。きっと娘を育てながら、トムとは仮面夫婦を続け、心の奥底にジェイが住み続ける。そんな人生を送りそうなうみちゃんデイジー。
豊かな家で恵まれて育ったトムの悪気なく他者を見下すお坊ちゃま感は素晴らしかったですね。女が自分に惹かれるのはあたりまえ。憎たらしいのに育ちの良さゆえの品の良さが見えるちなつトム。
そして、周りに翻弄される良い人ニックは、まさにニックでした。
おだちんはまたもや進化していました。芝居も歌もさらにレベルアップ。みちるちゃんのジョーダンとの掛け合いは、丁々発止、迫力のある芝居で見ごたえがあります。本当にみちるちゃんの女優魂もすごいなあと感じました。姿勢、動き、生意気そうな角度、もうすべて計算されている感じ。あっぱれです。

主要な役どころの5人がとにかく、上手いでしょ。
それに加えて、天紫珠李ちゃんのマートルの下品さが良いし、その夫るう組長のジョージはこれまた絶品。神様を信じて真面目に働くけれどパッとしない男。女房に見下されていても女房がかわいい。でも、ただの朴訥とした男じゃなくて、激しい男でもある。なかなか複雑な役どころだと思うけれど、すべて納得させるジョージです。
温厚さと冷酷さを兼ね備えたマフィアの親分の二面性は輝月さんならではだし、英真さんのギャツビーの父は、最後にぐぐっと持って行ってしまうんですよね。
もう、書きだしたらきりがない、芝居上手さんばかりでした。

一幕終わってプログラムを読んでいたら、彩海せらちゃんの写真が。
そっか、あみちゃん月組だった。え? 見逃した!
と思ってプログラムを見ると、エディという少年なのですよ。
あまりにも少年すぎて見落としていました。二階席というのもあるかもしれませんが、少年になりきっていたからわからなかったというのも、ある意味すごい芸達者さんだなと感じました。
二幕頭の華やかな場面でのあみちゃんはバッチリわかりましたから、役によってだすオーラを変えられるのだなあって感じましたね。

あとは英かおとくんや礼華はるくんの長身イケメンに目が行きましたね。

「君はバラより美しい」なんて、こっぱずかしいセリフ、れいこさんでなきゃ言えないね。さすが宝塚。

フィナーレはもうあっという間で、感想も何もない。
きゃあ、かわいい!(ロケット)
きゃあ、きれい!(娘役群舞)
ひいい、かっこいい!(男役群舞)
ほにゃあ~(デュエットダンス)

終焉後はご挨拶がありまして、4日間の公演という言葉に胸が痛くなりました。でもその4日間の公演ですら、薄氷を踏む思いだと思います。でも、卒業する生徒の為にも千秋楽はなんとかと、動いてこられたのではないかしら。愛だな……81名もの人数で上演する作品。もはやどんなに注意していても、感染しないなどといえない状況、当日体調不良者が一人でもでれば……と考えると何が起こっても不思議はないですものね。

宝塚歌劇団の皆さまは、「お客様に何かあっては」とお気遣い下さいますが、ファンは「タカラジェンヌに何かあっては」と思っています。
そして、祈っています。
どうぞ、4日間の公演が、無事千秋楽まで走り続けることができますように。ただ、ただ、祈ります。


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