見出し画像

舞台感想 バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊

イープラスさんが、時々なさる抱き合わせ販売。
私はよく利用させて頂いております。
どうしても見たい演目が見られるし、自分では手を出さない演目に何か発見があるかもしれないからです。
今回、星組の「赤と黒」のチケットと抱き合わせ販売されたチケットがこちら。
バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊

映画「迷子の警察音楽隊」を原作にミュージカル化され、米国演劇界の名誉でもある2018年のトニー賞を10部門独占したというミュージカル
「The Band’s Visit」
森 新太郎さんの演出で上演!!!

って知ってました?
私は全然知らなくて、抱き合わせチケットを手に入れてから急いでチェックしてみたというわけです。

でも、トニー賞を受賞している作品ならちょっと興味はある。

イスラエルから招待をうけたエジプトの警察音楽隊。空港に到着したものの手違いで迎えは現れない。自力で会場に向かった一行だが、PとBの発音違いで、バスに乗り間違え何もない辺境の町に着いてしまう。
食堂の女主人ディナの親切で隊員たちは三つの家庭にわかれて宿泊させてもらう。隊員と町の人々の交流を描いた一夜だけの物語です。

思っているより、ずっとよかった!
これは、観てよかった! と感じました。

まず、音楽が魅力的です。
異国叙情あふれる中東の音楽は、聞き慣れているわけじゃないのに、親しみやすいです。聞いているだけで楽しくなります。
だから、まず音楽で引きこまれます。
何もない街で、ただ退屈に日々を送っている普通の人々。
そんな街に突然現れた音楽隊は、見知らぬ人で信用できるかどうかもわからない。だけど、音楽を通して町の人と少しづつ心が通じ合います。
そして、普通の人々にも、悲しい経験や貫きたい思いがある。
日々の生活に疲弊していても、立ち止まるわけにはいかない。
子育てをし、仕事をし、家族を支えなくてはいけない。
家族のいる人とのままならない恋、うぶすぎて進まない恋。
平凡な人々でも、それぞれの人生の中では主役。
出演者は皆歌うまさんばかりだし、曲が良いので、ぐっときます。

泣き出した赤ちゃんをクラリネットの音楽であやしてもらった母親が、
「あやしてくれたのね」
っていうシーンは泣いちゃいました。
クラリネットの美しい音色が子育てに疲弊する母親の心にするりと入って、母親の見る世界が一瞬で美しく変化したように見えて、ああ、音楽の魔法だって思いました。

濱田めぐみさんの歌声が素晴らしいし、
風間杜夫さんの真面目な誠実さがどこか滑稽だし、
チャラい新納慎也さんにイラっとするけど、かっこいいし、
音楽隊の演奏は、楽しいし
うるっときたり、クスっと笑ったり、
上質のミュージカルだったと思います。

でも、結構席は空いていて
やっぱ、1時間40分の1幕もので、13500円は高いかな。手数料とか入れたら14000円近くなるものねえ~
それに5時開演ってのも、お仕事している人には難しい時間だしね。
エンタメ業界も大変だ!

作中で隊長が言うように
「音楽や物語は重要ではなく」「お金、効率、価値」のことを考える人が多いのも……現実かあ……
「みんな、バカなのよお」ディナのおっしゃるとおりです。

でも、私は、良い音楽と優しい物語に癒されましたよ。

この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?