見出し画像

舞台感想 宝塚歌劇 宙組特別公演 ル・グラン・エスカリエ

約9か月ぶりに再開された宙組特別公演を観てまいりました。
ショーを観劇してこんなに胸が熱くなり、涙がこぼれるのは初めてかもしれません。
宙組生の懸命のパフォーマンスに胸が熱くなります。

初日の幕が開くのが怖かっただろう。
「恐怖」や「不安」を胸にお稽古したのではないだろうかと想像すると、こんなに素晴らしくパワーにあふれた作品に仕上げてきた彼女たちのプロ意識に脱帽します。
プログラムの写真を見ていても、固い表情をしているように見えて、撮影時の緊張を感じます。
なのに、実際に観客の前に立ったプロ集団が見せるパフォーマンスは、そんなことを感じさせない見事なものです。

初日を観劇した方のお話を聞くと、初日からの進化が素晴らしいとのことでした。彼女たちの「不安」や「緊張」が、ファンの温かい拍手によって薄まり、自信につながったのだとしたら、舞台はやはり演者と観客が作り上げる一期一会の芸術なのだなあと感じます。

いやあ、本当に素晴らしかった。
今回は、3回観劇させて頂いたのですが、見る度に体感時間が短くなって、観終わった後の余韻が長く感じられます。

大階段を意味するLe Grand Escalier-ル・グラン・エスカリエ-
キキちゃんの開演アナウンスから大きな拍手がわきます。
おかえりなさい、キキちゃん。
宝塚の歴史を感じさせる画像のあと、冒頭、大階段の真ん中にシルクハット姿のキキちゃんが。大きな拍手の後、私を含め周りのオペラがさっとあがる。大階段にかけられていた幕の下からトリコロールの宙組生たちが登場!
なんか、もう、ここだけで、胸アツですよ。

宝塚110年を記念したごった煮のようなショーで、聞き覚えのある曲ばかり。観客の中には、今目の前でパフォーマンスする宙組生に、ご贔屓だったOGさんの当時の姿を重ねて涙する方もおられるようです。

もっと、華やかにお祝いするはずの110周年が「悲しい出来事」があったために、お祝いできなくなった。それは、過去に何度か変わるべききっかけがあったのに、変わらなかった宝塚歌劇団の怠慢と認識不足のせいだと思います。でも、過ちを犯さない人間なんていないと思います。変わらなければいけないことに気づいたのなら、間違いを繰り返さないように修正し、探りながら進むしかないですよね。ただ、その方向性の見極め方は本当に難しいと思います。
きっと、絶対的な正解なんてどこにもないのだから。

今回の舞台に上がり、舞台人であることを選んでくれた宙組生に「ありがとう」と言いたいです。
辛い思いをしただろう、怖かっただろう、逃げたかっただろう。
どれほど悩み、迷ったことだろう。
それでも舞台人であることを選んだ彼女たちの覚悟が感じられました。
休演の間、それぞれにレッスンを続けていたのだと推測します。
そうでなければ見せることのできない見事なパフォーマンスでした。彼女たちは、文字通り舞台に命をかけているのだと思います。
やせ細ってしまった体型にその苦悩が見えるけれど、演者として見せる笑顔は本当に美しい。「無理しないで」と言いたくなるけれど、無理しなければこんな素晴らしい舞台を作り上げることはできないとわかります。
努力を続ける彼女たちに励まされて、私も頑張らなくっちゃと思います。

さて、舞台感想。
キキちゃんの伸びやかな歌声、声量。
元々素晴らしかったけれど、一層磨きがかかっているように感じました。
そして、さくらちゃん。
いつのまに、こんなに頼りがいのある娘一になっていたの?とびっくり!
キキちゃんを支える貫禄すら感じるトップ娘役で、お見事です!
ずんちゃんのかっこよさは一層磨きがかかり、肩の力のぬけた余裕すら感じます。頼もしいよ。
もえことこってぃの声量! こんなだったっけ? なんか凄い!
歌声に聞きほれる上、スタイル抜群で眼福!
こってぃ蛇の怪しい魅力もたまりません。
久々の亜音くん、おかえりなさい。やっぱ、かっこいい~
大路りせくんや泉堂成くんとの並びも美しい。そうだった。宙組は長身、小顔、脚長さんの集まりだったと嬉しくなります。
なにーろ君とひばりちゃんも美しい。
ひばりちゃん、本当にかわいい! 
嵐之真くんのお歌や、りっつさんのお歌の迫力も最高です。
そして、若手にも注目。
鳳城のあんくんの牛さん! 最初、誰?誰?って思ってあとからプログラムを確認して、おおっと思いました。なんという存在感! 楽しみです。
志凪咲杜さんのカゲソロにも驚き。108期かあ、色々苦労もあっただろうに。見事な歌を披露されています。
そして、じゅっちゃん。
本当に、きつい9か月だったと思います。
でも、舞台人であることを選んでくれてありがとう。
美しく、華があり、歌声も素晴らしい。ポーズ一つとっても本当に綺麗。
見せ場のある起用に、齋藤先生の愛と覚悟も感じます。
やせ細ったその姿。
当事者しか知らない事実。当事者の感情の行き違い。
さまざまなボタンの掛け違えが引き起こしてしまった悲しい出来事。
煽ることで利益を得る輩や、世論の印象操作を武器にする弁護士の巨大な力に抗うことなど出来なかったでしょう。
本当にしんどかっただろうなと想像します。
舞台人であることを選んだ彼女の素晴らしいパフォーマンスに胸が熱くなりました。
そして、そして、宙組といえばコーラス。
あのコーラスの素晴らしさに酔いしれることができたのも嬉しかった。もっと、コーラスが多くても良かったのにと思うほど。
一度、「未来へ」で松風さんのマイク不良があったのですが、一階席後方まで聞こえる声で歌われましてね……
コーラスに入った瞬間拍手がわきました。
ああ、本当にプロの集団。

素晴らしい公演を見せて下さってありがとうございました。
どうか、何事もなく千秋楽を迎えられますように。
宙組生の皆さんが、健康で千秋楽を迎えられますように。
ただ、ただ、祈ります。

過去の舞台感想はこちら
宝塚歌劇 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

宝塚OGさん出演の舞台感想はこちら
宝塚OGさん出演 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

宝塚以外の舞台感想はこちら
宝塚歌劇以外の舞台、映画感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)



この記事が参加している募集

#舞台感想

5,935件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?