60点でよいと割り切って前に進む文章術

何かを主張するには、その他の何かを捨てなければならない。
例えば、好きな食べ物一つとってもペンが止まってしまうことがある。
捨てることを躊躇するのはその他の可能性を閉じてしまうから。
そして、その他の可能性を閉じてしまうと、本当のことが伝わらないからではないだろうか。


例えばホットケーキが一番好きと言ってしまったら、ミートソースは一番ではなくなる。
そこで、ホットケーキもミートソースも好きです、ではテーマが定まらずブレてしまう。
それは書き手にとっては正直であっても、読み手には不都合だ。
もしや、どこかほかににもっといい答えがあるのではないだろうか?という思いが一つのものに決められなくしている原因になってしまっている。


でも、60点でもいいから、一つのものに決めていくと腹をくくらなければならいない。
それでうまい仕上がりにならなかったなら2本目、3本目、そして10本くらい書くつもりで書いていくという覚悟が必要なのだ。


池上彰さんの話で、「わかりやすさの罠」というものがある。
取材をして掘れば掘るほど迷路にはまり、取材対象を知れば知るほど答えが出なくなってしまう。
そして、わかりやすく伝えるために、細部を削ってしまうと本当のことが伝わらない。
本質に近づけば近づくほど抽象的なことばでしか伝えられない。
現在の紛争問題や宗教問題は全てそうだ。
第三者が簡単に白黒つけられないから泥沼化しているのだ。


だからと言って、立ち止まって身動きが取れなくなってしまってはいけない。
「わかりやすさの罠」に注意しながらも、不格好であっても、一歩一歩着実に前進していくことが大事だ。
ペンを止めてはいけない。
60点でよいと割り切って、思いっきり前へ進むのだ。

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