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#6 ぺこらが壁を越えるとき


はじめに

ご存知の通り、兎田ぺこらは2023年女性ストリーマー視聴時間ランキングにおいて世界1位を獲得したが、それは一朝一夕になされたものではない。
2021年、2022年においても、ぺこらは世界1位を目指して頑張っていたのだが、そこにはぺこらの1位獲得を阻む大きな壁が立ちはだかっていた。
それがAmouranth(アマランス)、ぺこら曰く「エロ姉ちゃん」である。
当時、AmouranthはTwitchを主戦場としており、セクシーな水着を来て風呂に浸かり雑談を長時間垂れ流すという「Hot tab meta」というジャンルで、ぺこらよりはるかに大きな視聴時間を稼いでいた。
ゲームなどはあまりやらないが、同じ女性ストリーマーとしてカテゴライズされていたため、このAmouranth越えを果たさずしてぺこらの世界1位獲得は実現できないはずだった。
では、ぺこらはどうやってこの高い壁を乗り越えたのだろうか。

用語について

平均視聴者数(平均同時接続者数)

ライブ配信1配信当たりの視聴者数の平均

配信時間

ライブ配信の開始から終了までの時間

視聴時間

視聴時間=平均視聴者数×配信時間

Amouranth

ググると「インターネットセレブリティ」などと出て来る色っぽいお姉様。
現在はKickというプラットフォームをメインに配信しているようだ。

https://kick.com/amouranth

夢のはじまり

2021年1月、Stream Hatchet 社より一つのレポートが公表された。
「VIDEO GAMES STREAMING TREANDS REPORT - 2020 YEARY REPORT -」と銘打たれたそのレポートの中に「TOP 5 FEMALES OF THE YEAR」 という項目があり、我らがぺこらが年間視聴時間4位にランキングされていた。
このときぺこらは登録者100万人達成直後で燃え尽き症候群に陥っており、ちょうど次の目標を求めていた時期であったが、このレポートがそのぺこらに火をつけることになる。
ぺこらは口にこそ出さなかったが、その年の頑張りようを見れば、ぺこらが視聴時間世界1位を新たな目標に設定したことは明らかであった。

VIDEO GAME STREAMING TRENDS REPORT - 2020 YEARY REPORT - Stream Hatchet

2021年のチャレンジ

2021年のぺこらは実に1,411時間超の配信を行う頑張りを見せ、26.9百万時間の視聴時間を獲得したが、Amouranthはそのはるか上を行く38.8百万時間を叩き出し、ぺこらをして「勝てる気がしない」と言わしめる程であった。
大してゲームをやらない垂れ流し系の配信者をゲーム中心の配信者と同列にランキングしていいのかという批判の声も上がったが、ぺこらは「長い時間風呂に浸かって雑談するなんて自分には無理、ふやけてしまう」という表現をもって、Amouranthのトップ獲得に敬意を示した。
こうして2021年は、Amouranthが強力なライバルとしての大きなインパクトを残した年となった。

VIDEO GAME STREAMING TRENDS REPORT - 2021 YEARY REPORT - Stream Hatchet

2022年のチャレンジ

2022年、ぺこらは声帯結節の治療のために1ヶ月間の休養をとり、その後も喉を保護するために配信時間を少し控えめにすることとした。
このため、この年の配信時間は892時間と前年の63%程度となってしまったが、休養前の平均視聴者数が約22,000人であったのに対し、休養明けの平均視聴者数は約31,000人と1.4倍に急上昇したこともあり、結果的に2位を獲得することとなった。
そのような状態であったため、順位は上げたもののAmouranth越えはさらに翌年へと持ち越しになった。

VIDEO GAME STREAMING TRENDS REPORT - 2022 YEARY REPORT - Stream Hatchet

2023年のチャレンジ

2023年、ぺこらは独走状態で視聴時間世界1位を獲得した。
そしてそのランキングにはAmouranthの姿はなかった。
なお、これまで女性ストリーマー視聴時間ランキングを発表していたStream Hatchet社は、この年から女性ストリーマーとVtuberを分けてランキングするようになったため、それに代わってStreams Chartsが発表したデータが使用されるようになった。
なお、Amouranthがこのランキングにいなかったのは、集計するメディアが変わったからでも、カテゴリーが変わったからでもなく、諸事情により単に配信時間が少なかったということのようだ。
これまで越えることができなかった壁が急になくなってしまったのは、何となく肩すかしをくらった気分で少しばかり残念に感じた。

TOP FEMALE STREAMERS -2024 VIEWERSHIP STATISTICS - Streams Charts

2024年の現状

女性ストリーマー視聴時間世界1位を取るというプレッシャーから解放されたぺこらは、やりたいように配信すると宣言し、事実そのとおり活き活きと配信を続けている。
その結果として昨年を上回る多大な視聴時間を叩き出し、このペースで行けば全盛期のAmouranth以上の視聴時間を記録しそうな勢いだ。
今年の1/3が過ぎた現在の視聴時間は14.2百万時間、これを単純に3倍すると42.6百万時間となる。
むろん単純な計算通りにいかないことは承知しているが、到底太刀打ちできないと思われたAmouranthの全盛期の数字38.8百万時間ですら越えてしまう可能性があるのだから、わくわくするではないか。

まとめ

ぺこらは今年世界1位を狙っているわけではなく、ただやりたいように配信した結果として大きな視聴時間が自然に積みあがっている状態だ。
現在のペースでコンスタントに視聴時間を積み上げて行けば、全盛時のAmouranthを凌駕する視聴時間を得ることも夢ではないだろう。
これまでずっとぺこらの挑戦を追いかけて来た筆者としては、胸が熱くなるばかりである。
唯一心配なのは、長時間配信を楽しみ過ぎて喉を痛めないかということだけである。
その点には十分注意しつつ、このビッグチャンスを活かして、かつて越えることができなかった壁を越えて見せてもらいたいと思う次第である。
今年に入ってからのぺこらは、自分自身が楽しむことによって、嘘や偽りのない楽しさをリスナーに伝えるという魅力にさらに磨きがかかっているように思う。
どの配信をとっても、時間があっと言う間に過ぎてしまうように感じるほど楽しいので、ぜひぺこらの配信を視聴して、ぺこらの魅力と配信の楽しさをシェアしていただきたい。