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ぺこらの挑戦#29 新たな変化

【注意】本稿は筆者の独断と偏見に基づく何ら根拠のない憶測である。

兎田ぺこらが今年もやってくれた。4月1日、何とYAGOO出演のぺこにゅーすで大いに笑わせてくれたのだ。昨年のぺこにゅーすから牢獄配信という流れが秀逸だっただけに今年はハードルが高かったはずだが、昨年を超えるものを出してきたのはお見事。

このYAGOOと社長の座を賭けた勝負は、3月21日に配信した190万人耐久における雑談から始まった。200万人記念で何しようという話をしていた際、リスナーから「YAGOOとコラボ」というコメントがあった。そこでぺこらがふと思いついたのが、「社長の座をかけたアソビ大全での勝負」というネタである。この時点では、単なる雑談のトークデッキの一つとしてリスナーを笑わせただけで終わったかと思われた。

さらに、配信後の乙ツイへのYAGOOのリプにぺこらが一発笑いをぶち込む。

ぺこらによると、この「社長の座ください!!」というツイートをYAGOOが否定しなかったため、エイプリルフール動画にしようと思い立ったそうだ。つまり冒頭のエイプリルフール動画は、たった一週間で構想~依頼~収録~編集というすべての工程をこなしたことになる。この動画の編集作業は全てぺこらが一人でやったらしいが、作業のために配信を休んだのは3月29日の一日だけで、あとは日々の仕事と配信をこなしながらの作業だったのだから頭が下がる。こういう、リスナーを楽しませるために全力を尽くす、というある種健気とさえ思えるぺこらの姿勢が、たくさんのリスナーの心をつかむのだろうと思う。そしてぺこらの思いに応えて、多忙にもかかわらず短期間で動画を収録したホロメン各位やYAGOOもまたいい仕事をしたと称えるべきだろう。

現在のペースで進行すると、ぺこらのチャンネル登録者数が200万人に到達するのは7月~8月ごろと予想される。果たしてこの夏、YAGOOとのコラボが実現するのかどうか、乞うご期待といったところだろう。

今年も頑張り屋の一面を見せるぺこらだが、喉が弱いという弱点はさすがに一朝一夕には克服し難いもので、3月前半から中盤にかけては全体ライブに向けてセーブしながらの配信だったこともあり、3月全体の配信時間も前年同月比約70%の82時間と残念ながら振るわなかった。

配信状況
内訳(3/1~3/15)
内訳(3/16~3/31)

この3月で2022年第一四半期が終わったわけだが、2、3月の配信が昨年の6割~7割程度だった中で、一体どの程度の視聴時間が確保できたのか気になるところだ。結果は前年同月比76%の524万時間と、ぺこらにしては控えめな数字となってしまった。

2022年第一四半期視聴時間

なお、2021年のデータはStreamHatchet社が公表したもの、2022年のデータはHoloデータ分析(@Holo_Data)氏が公表したものを使用している。

Holoデータ分析(敬称略)4月1日公表資料より引用

昨年のデータを見ると、四半期において世界の女性ストリーマーの五本指に入るラインはおよそ5百万時間程度と思われるため、今年の第一四半期において、ぺこらはぎりぎり世界五位に入れるかどうかといったところだろう。4月半ばにはStreamHatchet社からレポートが出ると予想されるので、それを待つこととしたい。

なお、2021年のStreamHatchet社のレポートにおいて、ぺこらの視聴時間が過少に計上されていたことが指摘されているが、今期については正確な数値が取得されていることが期待できそうだ。下記2資料は2月の視聴時間の統計資料だが、この両者を比較してもらえると一致していることがわかる。

StreamHatchet社3月9日公表資料より引用
Holoデータ分析(敬称略)3月1日公表資料より引用

今年のぺこらは、世界ランキングを気にはしつつも、長く活動するために喉の保護と強化を優先しており、昨年のように目の色を変えて世界一を狙っているわけではない。だが、自身の誕生日記念ライブや全体ライブが落ち着いて、三周年記念イベントを実施すると予想される7月までは、あまり配信をセーブする必要がないのではないかと考えられるため、第二四半期においては配信に注力する可能性は十分にあるだろう。ただ、週末昼間の長時間配信については、ボイトレによる発声方法の改善などの強化対策が進み、長時間配信しても喉を痛めない自信がある程度つくまでは、実施に対して消極的な姿勢を貫くのではないかと予想している。(4月4日追記:許諾を待っているものがあり、その許諾がくれば昼間復帰の可能性あり)

多忙な第一四半期が終わり、ちょうどイベントの谷間にあって、配信に注力することが可能と思われる第二四半期に差し掛かったわけだが、ぺこらの話を聞いていると、今後の配信戦略に新たな変化がもたらされる予感がする。

これまでも書いているが、ぺこらの配信戦略の要は自分自身も本当にプレーを楽しむという「実」をもって、リスナーと楽しさを共有することであると思う。実際に自分がプレーヤーとして何か発信したことがある人なら理解できる感覚だと思うが、ゲームでも音楽でもスポーツでも、プレーヤーが本当にそれを楽しんでいなければ、リスナーの心にその楽しさが響かないのだ。つまりプレーヤーが楽しんでいなければすぐにリスナーにわかってしまう、ということだ。大前提としてトレンドを強く意識しつつも、自分がやりたいと思えるゲームを中心に据えて、初見であれば事前情報をあまり入れずに、自分自身もプレーを本当に楽しんでいる真実の姿をリスナーに見せることをぺこらは大事にしているように思える。

そしてもう一つ大切にしているのが「変化」である。同じシリーズのゲームは、連続させずに間をおいてプレーするようにしていることは本人が何度も語っているし、さらにはゲームばかりにならぬよう企画ものを挟むことにも気を使っている。ゲームのジャンル、配信ジャンルのバリエーションを増やすことで幅広いリスナー層に対応し、また既存リスナーを飽きさせない工夫をしているのだと思う。

だがここにきて、ぺこらの配信戦略に新たな要素が加わろうとしているように思える。それはリスナーの「ニーズ」。もちろん、これまでもリスナーのニーズは意識していて、配信内容のチョイスにも取り入れてきていることと思うが、どちらかと言えば自分がやりたいことが優先であったように思う。最近、このリスナーのニーズの優先順位を上げようとしているのではないかと感じている。その表れの一つが、例えばスペースの活用だったり、ASMRへの挑戦だったり、FPSの定例化構想だったりするのではないだろうか。

今のぺこらはチャンネル登録者200万人到達を目前にして、登録者数の増加に最も力を注いでいるように見える。ホロメン全体として登録者数の伸びが鈍っている現状に鑑み、チャンネル登録を活性化する方策が必要だと考えているのかもしれない。そのためにリスナーのニーズをもっと吸い上げるようにして、より集客力を高めることにチャレンジしている可能性もある。その最たるものがYAGOOとのコラボというリスナーの声を取り入れたエイプリルフール企画動画や200万人企画(の匂わせ)というわけだ。

ただ、あまりリスナーのニーズの優先度を上げすぎると、今度はあまり意に添わぬチョイスを我慢してすることにもなりかねず、「実」をもって楽しさを伝える、というぺこら最大の長所をそいでしまうことにもなりかねない。もちろん、これまでぺこらのやり方で成功してきているのだから、ぺこらがそこまで無理をして極端なニーズ優先にシフトするとは思えないが、だからといって現状維持で満足するぺこらとも思えない。

安定したルーティンすら改変することを恐れないぺこらのことだ、今後一皮も二皮もむけて大きく成長するべく、また何か面白い新手を捻り出してくるに違いない。第一四半期の視聴時間が控えめだったからと言って、女性ストリーマー世界一への挑戦を簡単にあきらめるぺこらではなかろう。ぺこらがこの四半期にどんなことを仕掛けてくるのか期待していても損をすることはないだろう。

(4月7日追記)
本稿は下記のぺこらのインタービュー記事を読む前に書いたものである。
下記の記事を読んだ後に改めて本稿を読み返してもらうと、ぺこらの思いはリスナーにちゃんと届いているということがわかるだろう。