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ぺこらの挑戦#10 変化と刺激

【注意】本稿は筆者の独断と偏見に基づく何ら根拠のない憶測である。

兎田ぺこらの夏休み特大企画がついに始まった。やはりというべきか、昼はしんちゃん、ゴールデンに定期、夜中はドラクエモンスター集めの三回行動でゴリゴリと配信しまくる様子である。平日におけるぺこらの平均的な配信時間はだいたい3時間±1時間程度であるから、少なくとも平常運転時の二倍近い配信時間となるだろう。ぺこらの世界を取りに行く意欲がすさまじいものであることは、誰の目にも明らかになった。

ぺこらは、平日の昼でM1層がリアタイできない、という犠牲を払ってでも、配信時間を増やすことを優先してきた。それでも2時間半に抑えたのは、C層に対して長すぎる配信は親の目があるし、同時にM1層がアーカイブで追える程度にという配慮だろう。今日7月22日は祝日なので、同接平均は2万と上々の数字だが、果たして平日どの程度の数字が取れるか注目である。

どのジャンルでもそうだが、その道の第一人者と呼ばれる者は、例え何かを失うリスクを負ってでも変化を恐れない。その点については、ぺこらもまた同様である。そしてぺこらは、前述の三回行動のように、事前にリスナーに理由を説明した上で起こす戦略的な変化と、何の説明もなくサプライズで起こす突発的な変化とを巧みに使い分ける。

例えば、時間をかけて今の形に練り上げてきた、ぺこら特有の配信開始時の挨拶であるが、新しい挨拶を思いついたといって急に変えようとしてきた。筆者を含めた一部の保守的なリスナーから猛反対にあって、一度は数日であきらめたものの、しばらくしてまた突発的に挨拶を変えると言い出し、一週間の期間限定ではあったが、かたくななまでに新しい挨拶を押し通した。

なぜそこまでして突発的な変化を試みたのか、あんたたちは安心感が欲しいのだろうがぺこらは変化が欲しい、と語っただけで真意の説明まではしなかったため、実際どういう狙いがあったのかは不明だが、筆者が思うに、ぺこらはリスナーとの間に一種の緊張感を保っていたいのではないのだろうか。そして、そのリスナーとの微妙な距離感こそ、日頃あまり女性を感じさせないようにふるまっているぺこらが、実はガチ恋率50%を誇っている秘密なのかもしれない。

ぺこらの配信者としての生命線は、リスナーとの言葉の応酬である。言葉を交わす配信者とリスナーとの間には、一線を越えぬという暗黙の信頼関係が必要になるだろう。だが、それが過ぎてなれ合いが生じてしまうと、今度はマンネリに陥ってやりとりに面白みを欠いたり、やりとりが内輪化して初見が入りづらい雰囲気になったり、という先細りの未来しか見えなくなってしまうのだ。

そういう前提に立ってみると、リスナーとの間に一定の緊張感を維持するためと考えられるムーブが結構あるように感じられる。ぺこらはその持ち前の茶目っ気と憎めない性格を武器に、ちょっとしたサプライズを仕掛けてはリスナーにスリルと刺激を与え、楽しませてくれるのだ。

先日、ぺこらの配信が終わった後の時間に船長と団長のお風呂配信があり、相当数の野うさぎがこれを視聴していたが、その真っ最中にぺこらからぺこらーと(ぺこらの姿を描いたファンアート)のリツイートがあった。普段、ぺこらがぺこらーとをリツイートするのは昼休みか夕方だが、この日に限り絶妙な時間に送られてきたため、あんたたちそんなの見てないでぺこらだけ見てなさい、という怒りのメッセージではないかと、スネに傷持つ野うさぎたちは震え上がった。

また別の日には、翌日配信するかもしれないと匂わせておいて、何の連絡もなく配信を休んだ。配信を休んだ次の日の配信で、ぺこらは悪びれもせず、昨日は配信がなくて寂しかっただろう、などとうそぶいた。連絡もなく配信を休んだことを怒っているリスナーも相当数いたが、何のことはない、全員がぺこらの術中にはまっただけのことだ。ぺこらを擁護しようと悪く言おうと、誰もが連絡もなく配信を休んだぺこらのことを心配して、ぺこらのことばかり考えていたのだから。

ぺこらというとどうしても配信の才が注目されがちではあるが、こういった配信外でのエンターテイメント性にも長けていると思う。こちらが勝手にそう思って騒いでいるだけで、実際にどこまでが意図的なものなのかはわかりかねる、というのが正直なところではあるが、こういった小悪魔的な愛嬌もまた、ぺこらが世界一を狙うために必要な要素ではないかと思うのだ。