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#5 連打すべきか、せざるべきか

はじめに

これまでも何度か書いて来たが、兎田ぺこらは配信上のテクニックの一つとして、単発で終わらないような長尺物の配信はなるべく連打せず、間に別の配信をはさむことによって変化をつけ、視聴者を飽きさせないような工夫を凝らして来た。
声帯結節を患うまでは、長尺になりがちなRPG配信は土日の昼配信をメインとし、平日は別の配信をするという形が一般的なスタイルであった。
声帯結節後、土日の昼配信は控えめになったものの、やはり同一のゲームを連続して配信しないというコンセプトは継続していた。
だが、今年に入ってからはやりたいことをやりたいようにやるとして、直近の例で言えば、自分がはまったモンスターハンターワールドアイスボーンをひたすら連打している。
そのような劇的な配信戦略の変化によって、ぺこらの配信の視聴者数はどのように変化したのだろう。
同一ゲームの連打に飽きて離脱してしまったのか、そうではないのか、平均視聴者数の推移を追うことで何か見えてこないだろうか。
配信者でもない筆者が、そんなことに興味を持つのは奇異に感じるかもしれないが、いやなにただただ単純な好奇心である。

配信の傾向と平均視聴者数の推移

同一のゲームを連打せずに間に何か別の配信を挟むというこれまでのぺこらの配信スタイルをここでは「分散型」、同一のゲームを連打する今年のスタイルを「連続型」と表現することとする。
過去の事例から見ると、分散型配信の平均視聴者数は、(全てがそうなるというわけではないが)初回が多く、中だるみがあって、最終回に向けてまた増える、というすり鉢型になる傾向にある。
例えば、下記の図は2021年正月に配信された「龍が如く0」の平均視聴者数の推移である。
あくまでもぺこらの配信においてはという前提だが、長尺物の分散型配信の平均視聴者数は、概ねこのような推移になることが多いようだ。

2021年1月配信「龍が如く0」平均視聴者数の推移

この傾向を見るに、平均視聴者数の推移を追うことによって、視聴者の視聴モチベーションの傾向を把握できるのではないかと思った。
そこで、同一ゲームの各配信の平均視聴者数が、回を追うごとに減っているようだと視聴者が飽きて離脱しているということなのではないかと想定し、分散型配信と連続型配信の平均同時接続数を比較しながら、その推移の傾向を調べてみた。

ケース1:テラリア

過去にテラリアの分散型配信は行われていないので、箱ゲーという共通点があり、配信回数も似通っている「ARK LOST ISLAND」を分散型の比較対象とした。
なお、テラリアは画期的な「3期生システム」(詳細は後述)によって運用されていること、各配信内容の連続性、そして配信回数を合わせるために、テラリアの平均視聴者数は、兎田ぺこらの配信枠だけでなく、宝鐘マリン、白銀ノエルの枠も対象としている。

3期生システムによるテラリア配信枠
テラリア平均視聴者数推移

分散型のARKの平均同時接続数は回を追うごとに緩やかに下降傾向であったが、連続型のテラリアのそれはほぼ横ばい傾向で推移した。
さまざまな条件が異なるので、この結果だけで連続型の方がいいかどうかを単純に判断することはできないが、少なくとも超長時間配信が9日間に渡り連打されても、条件がそろえば視聴者の興味を維持し続けることができるということは言えるだろう。
3期生の3人がひっきりなしに出入りしたり共同作業を行ったりしたことで、ゲームの魅力と3期生の魅力を視聴者に届けたことが大きかったのだろうと思う。

ケース2:エルデンリング

ぺこらは2021年に分散型でエルデンリングの配信を行っているが、声帯結節を患ってしまったため涙を飲んで配信を中断、以後再開の機会を伺っていたが、DLCのリリースが発表されたタイミングを捉えてエルデンリングをやり直すこととし、ゼロから連続型で配信した。

エルデンリング視聴者数推移

完結していない配信と完結した配信を比較するのはフェアではないかもしれないが、ひとまず連続型の視聴傾向のイメージをつかむことが目的なので、過去の分散型の方はあくまで参考と考えていただければと思う。
エルデンリングの場合は、分散型では平均視聴者数が減少傾向であったのに対し、連続型では増加傾向であった。
エルデンリングはソロ配信だったので関係性バフは発生しないため、配信のタイミングがよかったこと、エルデンリングがコンテンツとして優れていたこと、そしてぺこらの配信に関する技量や魅力、そういう要素が絡み合ってのことだろうと思う。
ぺこらのファンであれば分散型であろうと連続型であろうと関係なく視聴へのモチベーションは変わらないだろうが、ゲーム目的の視聴者や単純な興味本位の視聴者からしてみれば、RPG系のゲームはむしろ連続型の方が興味を維持しやすいのではないかと感じた。

ケース3:モンスターハンター

ぺこらは2021年にモンスターハンターライズ、2022年にサンブレイクの配信を分散型で行っている。
今回アイスボーンを連続型で配信中なので、同じモンスターハンター同士で比較してみた。
ここでは、ライズ・サンブレイクは一律ライズ、ワールド・アイスボーンは一律ワールドと表記している。

モンスターハンターワールド視聴者数推移

分散型のライズではストーリー部分は減少傾向であったが、ある程度ゲームが進行してマルチで遊ぶようになると大きく視聴者数を伸ばした。
一方、超長時間配信連打を続けているワールドの方は、突出した視聴者数の増減がなく、安定して横ばい~微増傾向にある。
ワールドの配信においても、配信していない3期生が他の3期生の配信に遊びに来る3期生システムが活用されており、視聴モチベーションの維持に一役買っていると思われる。

3期生システムについて

3期生システムとは、テラリアで採用された喉休めを目的としたシステムである。
ぺこらやマリンは一度喉を痛めているため、配信はしたいが喉を労わりたいという事情がある。
そこで、テラリアでは3期生(テラリアでは不知火フレアは不参加)の誰か一人だけが配信を行い、他の二人はゲームにログインはするもののゲーム内のチャットでのやり取りのみとすることで、喉を消費せずに配信に参加できるというシステムを採用した。
モンスターハンターワールドにおいても、配信外の3期生が音声による会話なし(ゲーム内のチャットのみ)で配信中のメンバーのクエストに参加することによって、喉休めをしつつアイテム収集の実利を得ながらファンサにもなるという一石数鳥の成果を挙げている。

まとめ

分散型配信がいいのか連続型配信がいいのか、ということについては、最初から簡単に結論が出せないのはわかってはいたが、実際に数字を調べてみることによって、同じゲームを連打しても、それが視聴意欲の減退に直結するわけではないという感触を得た。
ぺこらの場合に限って言えば、一定の条件下においては、むしろ連続型の方が視聴意欲の維持・向上に役立つ可能性すらあるように思う。
これまで実際に視聴していて、連続型配信には、熱が冷めないうちに続けて視聴できる一気見のような良さがあり、分散型の配信には、次回を楽しみにしながら配信を待つ週刊誌的な良さがある、と感じた。
まあ、これを言ってしまっては身も蓋もないのだが、推しが配信するのなら何でも視聴するんだけどね。