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歯ブラシと気遣い

休み明けに先輩から歯ブラシを貰った。

この先輩の、こういう光景は何度か見たことがあるので、「ああ、私の歯ブラシを休憩室のシンクに落としてしまったのだな」とすぐ悟った。
職場の休憩室はなかなかボロボロであり、歯ブラシとコップを並べているスペースもかなり不安定である。
この前の震度5弱だかの地震(地震が多すぎるのでいつだか思い出せない)では、コップは床で粉々になり、歯ブラシは排水口に生け花のように刺さっていた。潔癖なので歯ブラシは即捨てた。
きっと私が休みの間に(シフト制)、手が滑って同じような状況になったのだろう。
正直、歯ブラシを落とそうが黙って洗って所定の位置に戻すことだってできる。「歯ブラシ落としちゃったから気になるなら替えてね」と申告するのでも充分な対応だろう。
でも私は気になる側の人間なので、新しい歯ブラシを貰って「助かるぜ~」と思った。
新しい歯ブラシをよく見るとぎょっとした。今まで使ってた歯ブラシと全く同じではないか。
先輩に尋ねると、「歯ブラシはこだわりある人もいるでしょ」と。
歯ブラシを落としてしまったその日に、メーカーや型番を見て同じものを買い揃える。その姿を想像して、なんだかありがたすぎて泣きそうになった。
「色は同じのなかったの、ごめんね」いやいや、色なんてこだわりないんだ。別にピンク好きじゃなかったし。

前回の記事で仕事の愚痴を言いまくった。でも仕事は嫌いではないとも述べた。
結局、職場の人間が大好きなのだ。皆気遣いができて、せっかちで、ユーモアがあって。加えて何故かシュッとした美しいおねえさんが集まっている。
女子校出身の私にとって大変居心地が良い。この人たちのためならクソみたいな環境でも頑張ろうと思える。(あまり男の人とは働きたくない。そもそも9:1くらいの割合だし)

新しくオレンジ色になった歯ブラシが愛おしい。なんだか磨いてて前より気持ちいい気がしてしまう。
思ったのは、どこに売ってるか分からないようなキャラもの・ライブグッズ(地震で生け花になった歯ブラシは及川光博のグッズだった)・高級な歯ブラシを使ってなくて良かったということ。
これは"歯ブラシを貰う側"の気遣いか。
シュミテクトのGM1はいいぞ。