#23 冬の山
冬の山分け入って分け入って父の背中
「分け入っても分け入っても青い山」という種田山頭火の句があります。この句だけは、ずっと印象に残っていて、山頭火の日記や句集を読んでもこの句から受けた人物像は、ずっと変わりません。
2022 年、よろしくお願いいたします。
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冬の山
ばらばらと手より十本の衣紋かけ
トナカイの右角畳むクリスマス
文藝春秋を聖夜の卓へ置く
あかぎれの指がコードを押さへけり
冬の山分け入って分け入って父の背中
初富士や父が不在の家へ帰す
年玉のソフトグライダー滑空
土鍋持ち寒厨から食卓へ
餅放置されては電子レンジの中
耄碌の祖父とお節を祝ひけり
ぎんが
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