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とかげとかげ

子供の頃は怖かった。何をするにも付いて回る。何処へ行くにも付いて回る。そのくせ何を考えているかはまるで読めない。恐れるなという方が無理な話だろう。
思い出せないほど考えた。他者に寄り添い生きようとした。仲の良いあいつは今何を考えてる?いけ好かないアイツは何に苛立っている?気になるあの子の矢印は誰に向いている?
幸い俺は頭が良かったらしい。大抵の事は考えついたし割と当たっていた。ただお前は別だ。ずっと一緒にいるのになんにも分からない。
ずっと一緒なのに分からない自分に、何も言わないお前に腹が立つ。今ではお前について考えることはほぼ無くなった。逃げたのだ。
しっぽを切って生きてきた。生える度に切って、切っては生えて、生えては切って生きてきた。いつかは追いつかなくなるであろうスピードで。
ここまで言ってもだんまりか。お前のいい所でもあり悪い所でもあるな。
最近お前が好きになってきたよ。あと何年かは知らないが、こんごともよろしく。

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