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第17話 『オセロッチの療養生活!女心はオセロよりも難しい!?』

      ☆白黒★オセロッチ!

【前回までのお話】
難敵マジメ正一に辛くも勝利したオセロッチ。しかし彼の盛った毒のため、緊急入院してしまうのだった。
オセロッチは病室で退屈な時間を過ごしていた。

前回



第17話 『オセロッチの療養生活!女心はオセロよりも難しい!?』






何度も読んだオセロ新聞の見出しにもう一度目を落とす。



―――マジメ正一(11)、盛毒常習を認める オセロッチ戦 いつもの2倍―――


「ったく。なんで僕には倍も盛ってたんだよ・・・。」


「それだけオセロッチを警戒してたんだろ?」


お見舞いに来たユメちゃんがぎこちない手つきでリンゴの皮を剥いている。


「危なっかしいなぁ。無理して剥かなくてもいいけど。」


オセロッチは頭の後ろで手を組んだ。


「うるさいなぁ!病人なんだから黙って寝てなよ!」


窓の外に目をやるオセロッチ。

外は桜が満開だ。



ユメちゃんはリンゴと悪戦苦闘している。


「弁当箱に入れるわけじゃないんだから、無理してウサギにしなくてもいいよ。」


「うるさい!」




オセロッチはウサギになり損なったリンゴを口に放り込んだ。
ユメちゃんの手の温度ですっかりぬるくなっている。


「それにしても暇だよなぁ。なんともないから早く退院したいや。」


「仕方ないだろ。お医者さんが最低でも1週間は安静にって言ってるんだから。」


「そんなこと言われても、退屈なんだよ。」



オセロッチはビッグコミックスペリオールをぱらぱらとめくった。


「だからあたしがこうしてお見舞いに来てあげてるんじゃん!」


ユメちゃんはいびつな形のリンゴをむしゃむしゃと食べている。


「別に毎日来てくれなくてもいいよ。」


ビッグコミックスペリオールを読んでいるオセロッチを、ユメちゃんはキっとにらんだ。


「なんだよ!その言い方!」


「なんだよってなんだよ。」


ビッグコミックスペリオールから目を上げユメちゃんを見るオセロッチ。


「オセロッチが退屈してると思ったから来てあげてるんだよ!」


「別に頼んでないし!」


ぷいっと横を向くオセロッチ。



ユメちゃんの目に涙がこみ上げてきた。

「なんだよ!どうせあたし以外誰も来ないじゃん!」


「うるさいな!僕は別にユメちゃんに来てほしくないんだよ!」


「じゃあカヲル子ちゃんには来てほしいのか!?」


「か、関係ないだろ!!?もう帰れよッ!!!」


オセロッチはビッグコミックスペリオールをバタンッと閉じた。


ユメちゃんの目から涙がこぼれ落ちた。



ユメちゃんはコップに入ったオレンジジュースを勢いよくオセロッチにブッかけた。


「な、なにすんだよッ!!」


「オセロッチなんかもう知らないッ!!!二度と来ないよッ!!!!」

ユメちゃんは走って病室を出て行った。



あ然とするオセロッチ。

「ったく、なんなんだよ・・・。」


一部始終を見ていた看護師のお姉さんがニコニコと笑いながら、
「あらあら坊や、女心がわかってないわね。ウフフ。」
と言った。

(つづく)




(わかってないなあオセロッチ!早く良くなれよ!)



次回 ☆白黒★オセロッチ! 第18話 『名探偵オセロッチ!?天才少年と最初の難事件』 

☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから

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