第２５話 『頭脳勝負だオセロッチ！人工知能に勝る知恵！！』
☆白黒★オセロッチ！
【前回までのお話】
人工知能オッサムＶＳ天才オセロ少年オセロッチの対局、データに基づいた堅実な指し筋で優勢に進めるオッサムに対し、オセロッチは一発逆転の奇策に賭ける・・・！？
前回
第23話 『頭脳勝負だオセロッチ！人工知能に勝る知恵！！』
お互いがお互いを牽制し合い、少しでも地を稼ぐため一時も気が抜けない状況が続いていた。
パチリパチリと真鍮製のチップを打つ音が闘技場に鳴り響いている。
オッサムの方がオセロッチよりも打つペースが早い。
「おっと、機械のくせに早打ちだな。急いては事を仕損じるって言うぜ？」
「ダマレ オマエナド サッサト 負カシテヤル」
脇目も振らずノータイムで打つオッサム。
ほとんど間を置かず、黙々と打ち続ける２人。
オッサムは両辺に砦、中央に本陣を敷き、
理想的な陣形を完成させようとしていた。
が、その時、
オッサムの人工アームが、黒チップを握り、
ディンプルポケットへ向かった。
「！？」
デキダカは気づいた。
「いけない！オッサム！！罠だ！！」
デキダカが叫んだが、もう遅かった。
黒チップはオッサムの人工フィンガーから離れてしまった。
オセロッチのメガネがキラリと光る。
「かかったな！！この時を待ってたんだッ！！」
シュパーンッッッ！！！！
オセロッチは白チップを中正面前辺に追っツケた。
「！？」
放たれた白チップは、オッサムの黒チップを次々に裏返し、
白い槍となってオッサムの本陣を貫いた！
形勢逆転。
黒は攻撃の拠点を失った。
「ば、バカナ・・・っ！！、コレデハ、ワタシ ノ 手 ガ 打テナイ・・・っ！」
「ふっふっふ、勝ちを急ぎ過ぎたな。初歩的なサクリファイスに引っかかるとは！お前のパパはちゃんと気づいてたぞ！」
「く、くそう。」
デキダカは唇を噛んだ。
「(確かに奴の言う通りだ。こんな見え透いた罠に・・・。)」
「オッサム！観念しろ！お前の黒は、もう僕の白には届かないッ！」
オッサムのハードディスクが限界を超えて回転する。
「マ、マダデス・・・ワタシハ マダ マケテナイッ！！」
「投了の仕方は教わってないのか？メイトまで打って恥をかきたいか！！」
オセロッチは厳しい顔で恫喝する。
「く、クゥ・・・ワ、ワタシハ・・・」
デキダカがオッサムの人工肩にそっと手を置いた。
「もういいんだ！オッサム！きみはじゅうぶんがんばった！」
「ボッチャン・・・、」
オッサムの人工アイから蒸留水が一筋流れた。
「今回は奴のほうが上だった・・・。さあ、投了しよう。できるよな？」
優しく声をかけるデキダカ。
ぷるぷると震えながらも、コクンと頷くオッサム。
闘技場が静寂に包まれた。
「・・・・・・・マイリマシタ」
「勝者ー！！オセロッチーーッ！！！」
「「「おおおおおおおおおおッ！！！！！」」」
どよめきと拍手が起こる闘技場。
「ぃよっしゃーっ！！！」
飛び上がって喜ぶオセロッチ。
がっくしと人工肩を落とすオッサム
「ボッチャン・・・ワタシ、ジバクシテ
オワビヲ・・・」
「なに馬鹿なこと言ってるんだ！！」
デキダカはオッサムの機体を強く抱きしめた。
「お前はよくやった！！いい勝負だったぞ！！」
「ウゥ・・・、ボッチャン・・・。」
「おいデキダカ、お前は２流のオセロ打ちだ。」
抱き合うふたりにオセロッチは冷罵を浴びせた。
デキダカはキッとオセロッチを睨む。
「…なんとでも言ってくれ、ボク達は負けたんだからな…」
デキダカは赤い目でオセロッチを見据えた。
オセロッチはニコッと歯を見せて笑った。
「でもな、科学者としては、お前は超一流だぜ！こんなに人のために熱くなれる、感情豊かな人工知能を作っちまうんだもんな！！！」
デキダカの顔が、ぱあああああっと明るくなった。
「ふふっ。そうさ！オッサムは最高の人工知能だ！」
デキダカはオッサムの機体をワシャワシャとなでた。
オッサムはくすぐったそうにしている。
オセロッチはオッサムに向って手を差し出した。
「オッサム、お前は筋が良い。もっと強くなれるぞ。」
オッサムは差し出された手を人工ハンドで握った。
「コンド タタカウ トキハ アナタヲ マカス！」
「はッ！やってみな！」
抱き合う３人。
「さあオッサム！帰って特訓だ！！」
「ハイ！！ボッチャン！！！」
駆け出すデキダカとオッサム。
ふたりの背中を、
オセロッチは親指を立てて見送った。
(つづく)
(ついにオッサムを倒したオセロッチ！いったいどこまで強いんだ・・・！？)
☆白黒★オセロッチ！ 次回 第２６話『魅惑の転校生！アカネ現る！！オセロッチたじたじ！？』
☆白黒★オセロッチ！ 第１話はコチラから
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