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第41話『カミングバックだオセロッチ!!帰って来た天才少年!?』

 

      ☆白黒★オセロッチ!



【前回までのお話】
アカネから厳しい叱咤を受けたオセロッチ。
傷心で帰路につくが、
そこへある人物が現れた!

前回


第41話『カミングバックだオセロッチ!!帰って来た天才少年!?』



「き、きみは…マジメ正一!!!」

現れたのは先日、天空闘技場での対局で、オセロッチに毒を盛りながらも負けてしまったマジメ正一だった。

「オセロッチさん、あの時はすみませんでした!大東亜少年刑務所に服役して、反省してきました!」

イガグリ頭を下げるマジメ正一。

「さァ、好きなだけブン殴ってくださいッ!!」

殴りやすいように顔を差し出すマジメ正一。


「な、殴るだなんて…もういいんだよ、過ぎたことだし。」

狼狽するオセロッチ。

「な、なんて心が広いんですか!オセロッチさん!!それじゃあ、コーヒーぐらいはごちそうさせてください!!」


「そ、それぐらいなら…」


マジメ正一の変な熱気に圧され、一緒にコーヒーを飲むことになってしまった。







追手門公園のベンチに座り、缶コーヒーを飲むオセロッチとマジメ正一。


「それはそうと、オセロッチさん、今困ってるんじゃないですか?」

微糖のコーヒーをズズズッとすすりながら、マジメ正一は言った。


「え?どうして?」

虚を突かれたオセロッチ。



マジメ正一は少しばつが悪そうに

「いやぁ、その・・・。見ましたから。この前の天空闘技場・・・。」

と言った。




「・・・そっか。」

あれを見られたのならば何も隠すものはない。



「俺、オセロッチさんの力になりたいんです!目を覚まさせてくれたのはオセロッチさんですから!何があったんですか!?」


真剣な眼差しで正一はきいてくる。




「じ、実は・・・。」


オセロッチは、カジノのこと、ケムシのこと、オセロが打てなくなってしまった顚末を洗いざらい正一に打ち明けた。





「そうですか…、あの南野ケムシと…」

マジメ正一は神妙な顔になった。



「知ってるのか!?」




「知ってますよ。ヤツは要注意人物です。直接打ったことはありませんが、噂は聞いてます。」



正一は缶コーヒーをグビッと飲んだ。



「ヤツは難物ですよ。ケムシはカジノお抱えの打ち師なんですよ。勝ち過ぎる客が出てくるとヤツが出張ってきてそいつを負かすんです。バカ勝ちする客が出ないようにね。ケムシが負けたって話はきいたことがないですねぇ。」



オセロッチはほふっとため息をついた。


「確かに強かったよ、でも、不思議な強さなんだ。なんていうか実体がないっていうか、煙に巻かれたような、うまく言えないけど、そんな感じなんだ。」




「そう。それですよヤツの強さは。あいつはサマ打ち師ですから。」


「サマ打ち師?」


「イカサマを使うオセロ打ちですよ。」



「い、イカサマ!!??」


オセロッチは半分は驚き、半分は納得した。


実はオセロッチも、ケムシが正攻法で打っていないのではないかと疑っていた。




しかし、腑に落ちないことがある。




「僕が緑盤から目を離した時間なんてなかったはずだよ!プロのオセロ打ちである僕相手にイカサマなんて出来るはずないよ!!」




「それをやってのけるのがケムシなんですよ。」


マジメ正一は公園のゴミ箱に空き缶を放り投げた。



「なんだって!?」


「ヤツはイカサマを使いますが、素で打っても強いんです。だからヤツは必要最低限のイカサマしかしないんです。相手が気がつかなさそうなところを探し出し、電光石火の早技でチップをすり替えてしまうんですよ。ヤツの手先はプロのマジシャン級ですよ。」



「そ、そんな・・・。」

そんな相手、どうしたって勝ちようがないじゃないか。



「電子緑盤でも持って来ない限り、ヤツのイカサマを止めることはできないでしょうね。」




電子緑盤なんて、プロの対局でしか使わない代物だ。子どもの遊び場に持ってくることなんかできない。


ケムシの奴、そんな卑怯な手を使っていたのか…。


チップをすり替えるなんて…





ん?




オセロッチの脳裏に、微かに光るものがあった。




「さっき、すり替えるって言ったけど、具体的にはどういうイカサマのことを言ってるんだい?」




「ケムシが使ってくるイカサマは2つしかありません。盤上のチップ同士を入れ替える “ ニギリ ” って技と、袖に忍ばせたチップと入れ替える “ ブッ込抜き “ って技ですよ。」



オセロッチの脳裏の光が大きくボワッと光った。



「必要最低限しか使わないんだね?」



「そうですよ。ヤツは勝ち方にはこだわらない、最終的に目が上回りさえすれば、半差はなんでもいいみたいですね。」





「ッッッッッ!!!!!!!!」


オセロッチは確信した。







お腹の底から、失っていた自信が湧いてきた!!


「フッフッフッ・・・」


ボコボコと泡のように自信とオセロパワーが込み上げてくるのがわかる!!



もはやオセロッチの脳裏の光はメガネまで溢れ出し、オセロッチのメガネがキラリと光った!



「え?…オセロッチさん…?」

困惑するマジメ正一。



「ありがとう、正一・・・。どうやらこれでケムシに勝てそうだよ・・・。」


さっきまでのオセロッチとは、顔つきが違う!!



「え!?ケムシに!?本当ですか!?!?」

正一の顔がぱああああっと明るくなる。



「僕は大きな勘違いをしていたようだ。」


湧き上がったオセロパワーがオセロッチの全身をコーティングしていく。


「思いついたぜッッッ!!!!ケムシを倒す、絶好の奇手がッッッ!!!!」


オセロッチの心から雲が晴れていく。




オセロッチは戻った。





“ 天才オセロ少年 ” へ!!




☆白黒★オセロッチ! 次回 第42話『ケムシ VS オセロッチ!!借りを返すぜオセロッチッッ!!!』
2022年1月12日更新!


☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから



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