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第32話『決闘するぜオセロッチ!ケムシの秘めた力とは…!?』

      ☆白黒★オセロッチ!


【前回までのお話】
ついに、ミジンコを借金苦に追い詰めた張本人、
南野ケムシ VS オセロッチの対局がはじまった!
どっちが勝つのか!?刮目せよッ!!

前回



第32話『決闘するぜオセロッチ!ケムシの秘めた力とは…!?』


悪童たちが見守る中、
オセロッチとケムシはオセロを打ち始めた。
先手は白オセロッチ、後手が黒ケムシだ。


オセロッチは序盤から、最も得意とする陣形「万葉桜の陣」を作ろうとしていた。
ケムシは攻守共にバランスの取れたフォーム「パースエンドパース」を作っている。


「(なかなか打てるようだけど、やっぱり所詮は素人だな!僕の敵じゃないや!一気にカタをつけるぞ!)」


序盤の終盤、両者陣形の粗型が出揃った。
オセロッチはここから攻めに転じた。



「いやあ強いなあ、ミジンコなんか比べ物にならないぐらい強いよ。」
言うほどケムシは感嘆しているようには見えない。
どこかセリフを読んでいる様にさえ感じられる。


「(当たり前だい!こちとら天空闘技場で打ってんだッ!そこらの素人と一緒にすんじゃねいやいッ!)」

オセロッチはかなり調子づいている。


オセロッチの万葉桜がケムシのパースエンドパースを蹴散らしていく。見事な打ち筋だと誰もが思うだろう。



「こりゃあすげえのが現れたな!相当強えぇぜありゃ」

「かなりの腕前だわ!超クールよ!」

「ついにケムシを倒す奴が現れるのかぁ!?」


などと、周りのギャラリーからも称賛の声が上がっている。


当のケムシはというと、ニタニタと笑いながらゲームを楽しんでいるようだ。


オセロッチはリズム良く打っている。一手打つ度に勝利へ近づいている感触があった。






が、しかし







中盤の終わりに差し掛かった頃、オセロッチは妙な違和感を感じはじめた。




「(おかしいな…そろそろ形勢が変わってくる頃なんだけど…)」



終盤に差し掛かろうというのに、

盤上はオセロッチのヨミとは違う形になっている…。






オセロッチがリードを広げていると思っていた盤上はチップの数こそ増えたものの、白黒の比率は序盤からさして変わっていない。



いや、むしろケムシの黒が微増していないだろうか???


「おかしい…そんなはずは…」



細部にまで目を凝らして見てみる、



「(あれ?おかしいな…中左辺は僕が制圧したハズなのに…まだ黒が一匹残ってたか…。)」



「(ん?センターサークルの黒がずいぶん伸びてるなぁ…見逃したか…?)」



違和感を覚えながらも、近衛首馬を切るため北斗星に白チップを払うオセロッチ。

次のターン、ケムシはオセロッチのサクリファイスをかわし、テーラーにツケた。

この手合で、またケムシの黒のほうが少し増えたではないか。



打っても打っても減ることがなく少しずつ増える、
不気味な黒チップ…




オセロッチは、視界が煙に包まれていくような、
恐怖がこみ上げて来た…




「バカな…そんなハズは…」





「どうした?オセロッチ?お楽しみはここからじゃないか…」

ケムシは余裕の笑みを浮かべながら、サスティナブルポケットにディパージした。



「ヒューっ!!クールだぜ!ケムシ!!」
「あーはっはっ!やっぱりケムちゃんウマ過ぎーっ!!」
「ハハハハッ(笑)!!20万払うとか言ってなかったか!?」

ギャラリー達が盛り上がって囃し立てている。

「まだ勝負はついてないだろッ!!大人しく見てろよ!!」

ユメちゃんの声はバカ騒ぎするギャラリー達には届かない。


ミジンコはわなわなと震えている。

「ウソでやんすやろオセロッチ!!頼むから勝ってくれでやんすーっ!!!」



オセロッチの額からは、ぽたぽたと汗が垂れている。


「(どうしてこんなことに…、僕はいったい…、何と戦っているんだ・・・?)」


これはモグラ叩きか・・・?
いや、もっと恐ろしい、
まるで煙の化け物と格闘しているようだ。
殴っては消え、また別の場所から現れる。
その正体はわからない・・・


盤上と、オセロッチの心の中を
ケムシが撒いた煙幕が覆い尽くそうとしていた。

(つづく)



☆白黒★オセロッチ! 次回 『天空バトルだオセロッチ!!あれ!?オセロッチの手が!?』



☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから



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