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第30話『作戦会議だオセロッチ!!ユメちゃんの懸念!?』

      ☆白黒★オセロッチ!


【前回までのお話】
放課後カジノクラブにハマり、南野ケムシという少年相手に多額の借金を背負ってしまったミジンコを救うべく、アカネ、オセロッチ、ユメちゃんが立ち上がった!4人で作戦会議を開くぞ!!


前回



第30話『作戦会議だオセロッチ!!ユメちゃんの懸念!?』


「いーい??今日の放課後だからね!それから、このことは他の誰にも言っちゃダメだから!」

アカネが長い人差し指を立てて、オセロッチ、ミジンコ、ユメちゃんの3人に向かって言った。

お昼休みの屋上にて、
4人は、放課後カジノクラブでミジンコに多額の借金を負わせた少年、南野ケムシを倒しに行く作戦会議をしていた。

「ミジンコ、このことはシシ丸に言ってないのか?」
オセロッチはそのことがずっと気になっていた。
なぜアニキ分のシシ丸に相談しないのか。

「アニキには絶対言えないでやんす!アニキは大のギャンブル嫌いでやんすから…こんなこと知られたら絶対怒るでやんす…」

「ミジンコくんは誰にも相談できなくて悩んでたんだよね!!でももう大丈夫だよ!!あたし達がついてるから!」
アカネは屈託の無い笑顔をしている。

ミジンコは顔がぱああああっと明るくなった。


「あのさ、あたし思うんだけど…」
ユメちゃんが申し訳なさそうに小さく手を上げた。

「どうしたの??ユメ子ちゃん!」

「やっぱ先生に相談したほうがいいんじゃないかな…?」
ユメちゃんは今回の作戦にはあまり乗り気ではない。

アカネは真剣な表情になり、長い人差し指を顎に添えた。

「あたしもはじめはそう思ったんだけどね、他のクラスの友達に聞いたんだけど、不良達って先生に告げ口されたりするとめちゃくちゃ怒って、ほんっっっとにヒドい目に遭わされるんだって!それで大ケガして入院した子もいるんだって!だから、先生に言う方が危険なのよ。」

「…。」
説得力があるのかないのかわからない返答に、ユメちゃんは困惑していた。

「お、恐ろしいでやんす…!先生には絶対言わないでくれでやんす!!」
ミジンコは今にも泣き出しそうだ。

ユメちゃんはどうも納得がいかない。
なぜアカネが主導権を握り、
この作戦を動かしているのだろう…?

「そういうワケでこの問題はあたし達だけで解決しましょう!そうだよね!オセロッチくん?」

「あ、あぁ。僕にまかせてくれ!」
オセロッチは少し緊張している。

「頼もしい〜ッ!!」
アカネが嬌声をあげた。

オセロッチは後頭部をポリっと掻いた。

「それじゃ、放課後の掃除が終わったら校門の前に集合ね!以上、作戦会議おしまい!」
アカネは美しいアーモンド型の目でバチンとウインクしてみせた。

「よろしく頼むでやんす…!」

ミジンコは慇懃に腰を折り、
一同は解散した。


「ねぇ、オセロッチ・・・」
オセロッチだけを呼び止めるユメちゃん。

「なんだよ?」

「なんか変じゃないかな…」

「なにが?」

「なんて言っていいか、わかんないんだけど…」
もじもじしているユメちゃん。

「それじゃあ僕もわからないよ。」

「…例えばね、さっきアカネちゃん、他のクラスの友達に聞いたって言ってたけど、まだ転校してきて1週間なのに、どうして他のクラスにも友達がいるんだろう…?ほんとに聞いたのかな…?」

「そりゃあアカネは人気者だから、他のクラスでも人気あるんだろ?」
オセロッチに、意に介した様子はない。

「そうかなあ…」
オセロッチが珍しく女子を呼び捨てにしていることにユメちゃんは気づいていた。

「ユメちゃん、嫌なら無理してついて来なくていいんだぜ?僕が素人相手に負けるわけないしな!」

「べ、別に、そういうことじゃないんだけど…」

ユメちゃんは、バケツの水に墨汁を1滴垂らしたような、
一抹の不安が広がっていくのを感じていた。


◆(←場面転換です)


一方そのころ、
ここは市街地に近いカモメ第1小学校。
の、昼休みの屋上で
南野ケムシとゴリ造がゲームボーイアドバンスで通信対戦しながら遊んでいた。

「ミジンコの奴、ほんとに金持ってきやすかね?」
ゴリ造はケムシに敬語をつかう。

「さあなァ」
ゲームボーイアドバンスに夢中で、生返事をするケムシ。

「なんならこっちから取り立てに行きやすか?」

「いや、余計なことはしなくていい。俺達の仕事はもう終わってるんだ。」

「え?仕事って?」

「ボスの命令は “ ミジンコをひっかけろ ” って、それだけだったからな。もう終わったんだよ。」

そんなことはどうでもいいといった感じで、ケムシはゲームボーイアドバンスに集中したい。

「そのボスって奴、何考えてるんですかねえ?せっかくケムシさんがうまいことやって7万も勝ったのに…」

「さあなァ、俺もボスとは直接会ったこともないしなァ、でも俺達末端の駒は言われたことだけやってりゃいいんだよ。7万だって俺達の取り分じゃなくてカジノのアガリになるだけだし。」
今のケムシはゲームボーイアドバンスにしか興味がない。

「それもそっスね!アハハッ!それにしても、このゲームボーイアドバンスって最高っスね!」
ゴリ造もゲームボーイアドバンスに夢中だ。

「おうよ!画面がクリアだもんな!アハハッ!」
心からゲームボーイアドバンスを楽しんでいるケムシ。


後に、裏のオセロ界を牛耳る闇打ちのプロと呼ばれる南野ケムシも、今はゲームボーイアドバンスで楽しく遊ぶ無邪気な少年に過ぎなかった。
そしてこのケムシが、オセロッチを相手に大敗を喫するのだが、それはまだ先の話である。

(つづく)






☆白黒★オセロッチ! 次回 第31話『決闘するぜオセロッチ!いざ!放課後カジノクラブ!!』



☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから




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