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G検定受験後に、初めて攻殻機動隊を見てみた

 先日、3月3日にG検定を受験した。2週間ほど前に合格の通知が来てひとまず安堵した。それほど難易度が高くないと言われているとはいえ、2週間は集中して勉強した甲斐があった。エンジニアであれば、同じくAI系の資格のE資格の方が難易度もステータスも高いだろうが、AIについては今までほぼ門外漢だった自分がAIの概要を理解するための入り口としては非常に有意義な試験だったと思う。

 さて、その合格通知が来てから私はNetflixでなんとなく攻殻機動隊を診始めた。ここ2週間ほどで診たのはTVアニメの「攻殻機動隊_SAC」「攻殻機動隊_SAC.2nd G.I.G」の各26話、計52話と劇場版の「イノセンス」だ。(1995年の映画「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」は数ヶ月前に試聴済み。かなり難解で正直あまり理解できなかった。)

 最近はアニメに限らず、10年、20年前の「名作」と呼ばれるような作品を漁っているのでその一環である。やはり見始めると名作と言われるだけあって、非常に面白い。TVアニメは2000年台前半に放送されたが、2023年現在で視聴しても非常に作り込まれた近未来のSFとして楽しめた。また、作品の時代背景としては2030年ということで、あと7年後には攻殻機動隊の時代になっているということを考えるとワクワクするような恐ろしいような気分になる。

 草薙素子やバトーといったキャラクターの魅力、医療問題や難民問題を絡めた重厚なストーリー、見応えのあるアクションシーンなど、攻殻機動隊の魅力は数多くあると思う。だが、私はこの作品のITに関する先見性にとても驚いた。特に、G検定を受験した後でAIに関して概要レベルでも知識が身についているとより強く感じる。以下、私が攻殻機動隊をみて、「現在のAI及びITについて予見している」と感じたシーンを列挙する。

  • 人間の目から得た視覚データを犯罪捜査などに利用する際の法律について取り上げられたシーンがあった。これはデータ保持者の権利・利益の保護を目的としたEUのGDPRを彷彿とさせた。(攻殻機動隊_SAC『視覚素子は笑う』より)

  • タチコマが喋ることができない機械に対して「チューリングマシン以下」と言っていた。これは人工知能ができたかどうかを判定するチューリングテストを連想した。(攻殻機動隊_SAC『視覚素子は笑う』より)

  • 国民にLIVE映像を流すことによって、敵の攻撃の抑止力にしようとタチコマが言っていたが、「映像に証拠能力はもう存在しない」と反論された。これはAIによるディープフェイクが可能な現代を予見していたのか?(攻殻機動隊_SAC.2nd G.I.G『楽園の向こうへ』より)

 その他にもAR/VR技術がすでに実現されていたり、オペレーターや家政婦がロボットになっていたりとかなり未来を予見していると思った。また、個人的に面白いと思ったのは、人間の座禅をタチコマが「僕たちでいうところのデータベースのキャッシュのクリア」と例えたところだ。確かに頭と精神をクリアにするという意味では近いのかもしれない。

 研究者や起業家の間でバイブルとして称賛され、日本のSFの金字塔とも言われる「攻殻機動隊」シリーズ。マトリックスのモデルにもなったという。もちろんキャラクターやストーリーなども非常に魅力的だが、ChatGPTをはじめとしたAIの進化の中で、社会が、人間がどのように変容していくかを指し示していることもこの作品の大きな魅力の一つだと思う。

 もっと前にこの作品を初見で見たとしても十分楽しめたと思うが、今の知識や世界のAIをはじめとするITの状況を鑑みた上で視聴することによって、よりこの作品の面白さや凄さを感じることができたので、「今」この作品に触れることができたのは、私にとってとてもいいタイミングだと思う。

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