見出し画像

スマホゲームのプロモーションビデオを制作する話

新SEASONのタイミングで発表される超駒、特別なイベント、コラボなどを魅力的にオセロニアンの皆さんに伝えられるよう『逆転オセロニア』ではプロモーションビデオ(PV)の制作をしています。

今回はその制作の舞台裏を、PVディレクション担当をしておりますわたくし「かじさん」からお伝えさせていただきます。

画像1

1.そもそもなぜPVを作るのか?

ぶっちゃけ……作るためにはお金も必要です、新駒やイベントの情報は「オセロニア情報局」でお伝えしているので、それで事足りると判断してしまってもいいかもしれません。

しかし、オセロニア運営ではPVを作っています。

それは、一番にオセロニアンの皆さんにドキドキ・ワクワクする期待を感じてほしいなぁと思っているのと同時に、運営チーム内のテンションをがっつりアゲる効果があるからです。

画像2

節目、節目で制作されるPVとともに登場する新キャラクターやイベントは(いつもどんなイベントも100%パワーを込めてますが!)特に皆さんに楽しんでほしいという想いが込められています。

その最初の情報としてインパクトをもってオセロニアンの皆さんに見てもらうことになるのがPVです。だからドキドキ・ワクワクしてもらえないかなと思いながら作っています。

そして運営チームは、イベントに先駆けて発表されるPVやその他の情報に対するリアクションで、公開直前に最後の一踏ん張りする力をもらっているといっても過言ではありません()

2.スタートはマーケティング担当から

まず最初に、マーケティング担当がどの施策でPVを作るかをけいじぇいPと相談します。

主につくることになるのが次の2種

SEASON切り替え時に発表される超駒を紹介するPV(SEASON超駒PV)。これはけいじぇいPのプレゼン時にどーんと紹介されますし、その告知用の素材として使われたりもしています。

そして、有名作品のキャラクターが登場するコラボ施策のPV。こちらは、コラボ先の世界観を魅力的に伝えるものにしています。

作るものの合意が取れれば、予算の割り振りなどを調整したあと、マーケティング担当がPVの骨子を検討しはじめます。

今回は「SEASON超駒PV」を例にとって具体的に紹介していきましょう。

3.スケジュールの確認と素材の収集

実はPVの制作には、みなさんが想像している以上に時間がかかっています。SEASON超駒PVだと約3ヶ月、コラボPVだとそれ以上の時間が必要になります。

ここで問題が発生します。
3ヶ月前だと素材と情報がまだ完全に揃っていないことが多いのです。

それでも準備はすすめなければいけません。
素材をかき集めます。

『2022 1st SEASON超駒』PVの場合
   ・キャラクターイラスト(まだ完成してない場合はラフ絵)
   ・キャラクターの正式名称と、その設定
   ・キャラクター台本・ボイスデータ・声優さんの氏名
   ・スキル名
   ・スキルの性能
   ・新キービジュアルイラスト
   ・新キービジュアル制作時の設定
   ・イベント開催期間の日時
   ・PVの納品日(完成予定日)

イラスト関係はアートチーム、キャラクターの設定はシナリオチーム、スキルについてはバトルチームに……と複数の運営チームから情報を聞き出します。

画像3

3ヶ月前だと、キャラクターの設定はきまっていてもキャラクターのイラストが完全にFIXしていないことも多く、ラフ絵になることもしばしば。声優さんは検討中であったり……

特にスキルは、方向性が決まっているものの性能は最新の対戦環境を想定したギリギリの調整をしているため数値はまったくもって決まっていません。

その少ない手がかりのなかから、マーケティング担当が『押し』ポイントを考えます。

2022 1st SEASON超駒の場合は、機能として完全新規スキルの『ツイン』を押しにすることを決めました。

ちなみに2021年の振り返りをしますと…

1st SEASON
ー 「新時代の逆転」をコンセプトに開発された完全新スキルの『ブレイク』『魔紋』『鼓舞』をそれぞれ紹介!

2nd SEASON
ー 超駒3体ともが所持する完全新スキルの『リターン』をPV全体を通して表現!

3rd SEASON
ー 既存のスキルの効果を2種同時に発動する複合タイプの新スキル『ホーリー』『蝕毒』『聖炎』のスキルの組み合わせをわかりやすく!

というように、シーズン開始と同時に追加される新スキルを魅力的に見せる事がSEASON超駒PVのセオリーになっています。

画像4

マーケティング担当は、情報を集めてそれらを整理しつつ、ラフコンテに落とし込みます。そして、実制作の担当である僕や、けいじぇいPとの合意をとるための「オリエン資料」をまとめて、運営チーム内のキックオフMTGを行います。

4.運営チーム内MTG

DeNAの社内で映像制作をすることも可能ではあるのですが、『逆転オセロニア』のPVは映像のクオリティがより高いものを作りたいという意図から、映像制作会社の方に協力してもらいながら作っています。

マーケティング担当の業務は多岐にわたるため、細かい相談を映像制作会社さんと相談するのが業務量的に厳しかったり、専門性がやや高い分野でもあるため、ここでディレクション担当として「かじさん」が業務を引き継ぐこととなります。

運営チーム内キックオフでは、資料にまとまっている情報を紐解きながら、演出のアイデア等も出しつつ、より具体的な内容を決めるためディスカッションしながらすすめます。

2022 1st SEASON 超駒では『ツイン』スキルをもつ「ハールート&マールート」を主軸にすることは決まっていましたので、全体の流れにラフコンテから大きな変更はありませんでしたが、相談する中で伝えるべき情報がもう一つ加わりました。

それは「新キービジュアル(KV)」の正式なお披露目の場となることです。
新キービジュアルには、2022年に『逆転オセロニア』が進むべきテーマが込められています。

画像5

「ハールート&マールート」がともに創る新しい世界に誘うように手を差し伸べている今までと少し違う爽やかな印象すらあるKVです。

このKVのテーマを少しでもオセロニアンの皆さんに伝えられないかということで、冒頭のパートの演出を入れることにしました。

幸いにも(?)まだCV収録していなかったので、それならば「ハールート&マールート」に喋ってもらおうじゃないかということで、キャラクターの設定やCV台本の口調を参考に早速セリフを作ります。

画像6

セリフを作ったあとは、サクッとシナリオチームに確認をお願いし語尾などを調整していただき(このような連携が、ほんとに気軽にできるのがオセロニア運営チームのとても良いところです)収録台本に加えてもらいます。

(オセロニアンの皆さんにKVのテーマが伝わりましたでしょうか?)

そしてメインとなる『ツイン』スキルをどのように伝えるかという話になりました。

ここから完全にブレストのノリです。

「2種類のスキルから選べるってめちゃ新鮮やねー」
「選べるスキルってもう決まってるんですか?……そっすよね…まだっすよね」
「他の2体も新スキルだよね。残りは複合タイプか」
「ツインって実質17キャラ……」
「そこは性能でちゃんと調整してもらうから大丈夫だと信じてます!」
「いままでデッキタイプの相性で絶対勝てないってシーンがあったのを覆せるのは面白いかもね」
    ・
    ・
    ・
「複合スキルが1+1だとすると、ツインは1+1=可能性がいっぱいということですかねー」
「じゃぁ、前フリで複合スキル紹介時には象徴的に1+1を表示しておいて……ハールート&マールートも同じだと思ってたら違う! みたいなことしたいです。たとえば1+1=∞(無限大)とか」

画像7

ということで全体の演出プランの流れがきまり、映像制作会社さんに相談するためのRFP資料をディレクターが作り始めます。

5.制作会社さんへのオリエンとRFP資料

RFP資料とは「Request for Proposal」の略でいわゆる「提案依頼書」というものです。システム案件でよく使われる言葉ですが「目的と要件をブレなく網羅した」資料となります。
なぜこの資料を作るかというと「オセロニア運営チーム内の合意」を確実に握っておくためです。

映像協力会社さんにお願いする以上、依頼内容があとから右往左往して根本的な部分の変更が入ってしまうことは失礼にあたると考えています。オセロニアンの皆さんと同じく『逆転オセロニア』を支えてくれるパートナーですので。

画像8

まずこのRFP資料を制作し運営チーム内の合意をとります。

各方面、確認してもらい修正が終われば制作会社さんへのオリエンです。概要を説明しつつ不明点をつぶします。仮コンテは資料の中に記載はあるのですが、あくまで表現したいことを記載しているので、具体的な演出や自然なつながり等を踏まえて映像のプロにご提案をお願いします。

映像制作会社さんへのオリエンからの大まかな流れは以下のとおりです。

画像9

6.コンテ〜オフライン、映像としての完成にむけて

コンテは、RFP資料に記載のラフコンテからより具体的な演出コンテとして作られます。このときナレーションのライティングや、PVに入れ込んでいくタイポグラフィックスの文言も提案いただきます。

オセロニアでは最近、タイポグラフィックス(タイポ)での演出をできるだけ入れるようにしています。キャラクターの特徴を端的に表したテキストを入れ込むことで、オセロニアンの皆さんに説明的になりすぎずにキャラの特徴をお伝えしたいなという考えからです。(キャラクターの設定情報を全て事細かく書いちゃうよりも想像してもらって自分なりの解釈をして欲しいので!だから、すこし食い足りない感じにしています。)なので細かい文字も要チェックですよ!

ちなみに前出の「1+1=∞」の演出に加えられたタイポは、コンテ提案のときに追加されていたものをブラッシュアップして正式採用されています。映像として完成させる途中でわかりにくい部分などを映像のプロとして追加提案していただけるので本当に心強いです。

ここで追加されたタイポは「異なる2つのスキル 運命の選択」

画像10

「1+1=∞」だけではハイブローすぎて理解しがたかったのが、ぐっと理解しやすくなりました。

ビデオコンテは、映像の尺(長さ)のイメージを掴むために素材をつなげたものです。紙のコンテでは掴みづらかった間を調整していきます。

このシーンと次のシーンは余韻を残したいから少し伸ばして〜とか、次のシーンが一番の盛り上がりだからシーンが移る前に溜めて!とか、感覚的な説明も受け取っていただけます。

同時にBGMの提案もあり、SEASON超駒PVの場合「オープニング→イントロダクション→エキドナBGM→ヒュプノスBGM→ハールート&マールートBGM」で構成されています。

それぞれのパートで複数のサンプル音源を提案していただき、方向性のすり合わせをします。

例えば、5周年PVでは

ウィブサニアが「砂時計」をモチーフとしてデザインされたキャラクターでしたので神秘的な導入から、ベタなテクノっぽい感じにしたいのですが「時」のイメージとして「時計のチクタク音」を入れてほしいみたいなワガママを云ってみたり

3000万DLで登場したメルヴェユールは設定もキャラクターの見た目もダークな感じでしたので重く重く作ってもらっています。

今回のPVでは、イントロダクションを「希望溢れるイメージ」にしてもらい、「超駒の強さを表現」しつつ最後の「ハールート&マールートで最高の盛り上がり」になるようにお願いしています。

オフライン①〜②では、徐々に本番の素材を入れ込み、デザインやエフェクトが詰まっていきます。SE(効果音)が入って音的にもリッチになっていきます。この段階でも映像のタイミングの調整などをして、伝えたいメッセージがちゃんと届くか細かくチェックし修正のお願いをしていきます。

特にオフライン②では、2Dのイラストしかないオセロニアのキャラクターが動いている!のをいつも感動しています。

画像11

今回、びっくりしたのはこの部分、ヒュプノスの腕が動きます。こんなダイナミックな動きまでつけられるんだとはじめて見た時ふるえました。

オフライン②で出てきた修正を対応すると映像としては完パケとなります。

7.ナレーション収録とMA

PVの制作工程の最後に、ナレーション収録とMAがあります。

ナレーション収録は文字通りですがMAというのは「Multi Audio」の略です。PVには、BGM・SE(効果音)・CV(キャラクターボイス)・ナレーション等、様々な音がつまっています。
それらの再生場所(時間)の微妙な調整や、左右の定位を調整、ボリュームの調整などを、複数の音声トラックを扱うことができるスタジオで編集していく作業です。

画像12

ナレーションは収録のタイミングでしか調整できないので、必ず立ち会うようにしています。最近はご時世もありスタジオの人数制限がありますので、けいじぇいPもマーケティング担当もZoomで遠隔参加です。

キャラクターの名前のイントネーションやアクセントの場所などは、事前にシナリオチームに聞いて間違いが無いようにします。

『逆転オセロニア』では、凛としたかっこいい声でナレーションをしていただくことが多く、イメージに合うまで何度かチャレンジしていただきます。

皆が納得した段階で収録は終了、MA作業に移ります。ここはプロの世界ですのでおまかせではありますが、最後にOKという判断をするのはディレクターとしての使命ですから、出来上がりを楽しみに待ちます。

出来上がった音源データと映像をあわせて、指定のファイル形式に書き出してもらってPV制作は完了します。

8.PVはオセロニアンへの挨拶状

長々とした説明になりましたが……概ねこのような流れでPVは制作されます。

PVには、色んな情報を映像という形で限られた時間の中に詰め込んでいます。もし興味をもっていただけたならば、PVをそんな視点で何度か見返してもらえると嬉しいです。

様々な施策をオセロニアンの皆さんに最初にお伝えするPVは、いわば挨拶状でもあります。逆転オセロニアのこれからの報告。次の施策はこんなに楽しいんだよー!次にでるキャラはこんなに素敵なんだよー!!ということが少しでも伝わって、ドキドキ・ワクワクする期待を感じてもらえると本望です。


運営チーム ブランディング担当 かじさん
〈次回の配信予定日:2022年2月上旬〉

更新はこちらでお知らせしています!