【掌編小説】カンフーチェア
映画監督さんはため息を吐きました。
「困ったなあ。今度のアクション映画はアクションが難しすぎる。適任のスタントマンが見つからないよ」
頭を抱える監督さんにスタッフさんが話しかけます。
「監督さん、いい椅子を持ってきましたよ」
「椅子だって? 椅子に座っている余裕なんて今はないよ」
「違います。この椅子は『カンフーができる椅子』なんです」
監督さんはスタッフさんが言っている意味が分からなくて首をかしげました。
困惑する監督さんの様子を見てスタッフさんはニヤリと笑います。