ボランティアをすること

自然災害によって家屋を失った方、そして大切な家族やペットを失った方。
仮設住宅や避難所でのストレスフルな生活を余儀なくされた方など、最初に必要とされるのは瓦礫の撤去や住むところを設るためのマンパワー。

どこの地域にも、若い学生さんや、その活動に慣れた熟練者が多く入られています。
気持ちいい程手際も良く、もちろん嫌な顔なんて誰もしていない。

私たちのようなセラピストの登場は、彼らの少し後になることが多い。

ボランティアをする様になり、自分たちの立ち位置を把握すること、また素人判断で独りよがりな行動は邪魔にしかならないことを知った。


そして数年後、ひとりのお客様のお話から病院でのボランティアもあるのだと知る。
大学病院で治療をする子ども達に24時間付き添われているご家族へ向けてのボランティア。

先ずは大学病院にお問い合わせをし、履歴書と職務経歴書を出す。
もちろんホームページやSNSのチェックも入る。
それらを経て、小児科病棟の出入りを許可されたのが約5ヶ月後くらいだった。

ようやく病院内でのボランティアがスタートする日、病棟へ入るなり私は言葉を失った。
小児科病棟では、生まれながらにしてその場所しか知らない子ども達や、入退院を繰り返す子たち。
いわば「長期入院」であったり「難病」と言われる子たちがほどんど。

私が想像していた世界とは違っていた。
一瞬にして自分が場違いではないかと悟った。

なぜそう思ったのかはすぐに明らかになった。
私はボランティアをして「あげる」と言う心持ちでいたのだった。

恥ずかしかった。
とてつもなく恥ずかしかった。

看護師長さんから、私は一度きりのボランティアのつもりだと思われていた。


見透かされていたのだ。


「一度きりでも全然いいんですよ。ここはとても特殊な場所ですもんね。病院ってそれだけで疲れますから」と言われた。


私は正直に、自分の考えていた世界とは全然違っていたこと。
そして今後も継続させていただきたいということを伝えた。

「偉いですね。そこまでしてどうしてボランティアしたいのですか?」と聞かれ

「自分の為です」とこたえていた。


そう。私は自分の為にボランティアをすると決めたのだった。

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