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【おうち修行本連載②】オンライン”おうち修行”開発と出版実現までのストーリー

「オンラインでお寺に宿泊!? おうちでお坊さんの修行!? 」もし、昨年からのコロナ禍がなければ、そんな発想は出てこなかったでしょう。このプロジェクトのスタートは、お寺ステイの宿坊にいらしていた、沢山の海外及び国内ゲストがいなくなってしまったことです。国や県をまたいで、お寺にお越しいただけないのなら、お寺でできる体験そのものを、おうちにお届けできないか?というまさに逆転の発想でした。ピンチをチャンスに?瓢簞から駒?いやいや、今に思えば、自然な流れで「おうち修行」という、今の世の中に必要と思われる新しい習慣が生まれたのです。

私は、シェアウィングお寺ステイのエグゼクティブプロデューサーを担当しています。それまでは、エンターテイメント業界のマーケティングで長く仕事をした後、全国16のホテル運営会社の社長をしていました。2020年1月、お寺ステイに参画して直ぐコロナ感染のニュースが飛び込みました。これは観光・ホテル業にとって大変な事になる、というのが最初の実感です。その予想を遥かに超えた厳しい状況が今も続いています。「どんな状況でも、消費者/お客様のニーズ、時代が求めているものに傾聴し、喜ばれるものや役に立つものを届ける。」そんな”マーケティング魂”と”人のためになりたい”という心で世の中を見たとき、心身のバランスを崩している人が多い事に辿りつきました。それは、自分も含めてだったのですが、まだ十分な対応策がわかっていない感染リスクとの闘いの中、漠然とおうち時間が増えて、孤独感を抱えている人が多かったのです。

「駆け込み寺」という言葉があるように、お寺、そして宿坊は、困った人の拠り所になる場所でありたい。お寺ステイのメンバーも同じ気持ちでした。宿坊にお越しいただくのが難しいなら、宿坊に泊まって心身共に調って頂けるような清々しい体験を、どうにかしてオンラインでお届けできないだろうか・・・。志のあるお坊さん達が宗派を超えて集まってくれ、お寺ステイで働く若いスタッフと共に、何度もディスカッションを重ねました。そして、「お坊さんの修行そのものをお家でできるようにしよう!」「お坊さんの修行の中で日々大切な、坐禅、作務掃除、食事(じきじ)を基本に、朝早く起きる習慣を身につけられたらどうだろう!」「朝はオンラインで修行仲間ともズームで繋がれるね!」「写経や写仏もできるようにしよう!」どんどんアイデアが膨らんでいき、一泊二日で、修行体験宿泊をオンラインでできるお寺ステイCLOUD HOTEL®︎の誕生に至ったのです。

お寺ステイCLOUD HOTEL®︎はオープン当初、一般のゲストの方々に、1泊・7泊・35泊と、ご自身のペースに合わせて修行泊を選んでいただけるように設定しました。(今は、会社や団体、グループなどに、カスタマイズしたサービスを行っています。)参加いただいたゲストのご評価は信じられないほど高く、5段階評価の平均で4.7を頂きました。心身が調っていく、毎日の生活にリズムができる、もやもやが晴れる、お坊さんのお話に癒されるなど、沢山のゲストの声が何より嬉しい事でした。

まだコロナ禍が続く中、まだまだ不安や不調を抱える人が数多くいらっしゃる事でしょう。特に、孤独感を抱える女性のうつは社会問題としてニュースに取り上げられることも増えました。この「おうち修行」が何かの一助にならないか、もっと気軽に試してもらえないか、という思いで、信頼する編集者にご相談したところ、出版社のプロデューサーの目に留まり、深い理解とサポートのもと、今年の1月にトントン拍子で出版が決まりました。この出版のために、宗派を超えたお坊さん達、世界的な仏画アーティスト、寺泊専門家といった素晴らしいメンバーが再び集まり、執筆と監修をしてくださいました。開発当初、夜のオンライン飲み会?ミーティングで、お坊さんに、お釈迦様の思いや仏教の考えを聞きながら、この本を誰に届けたいか?テーマは何か?と語り合った時間は、かけがえのない思い出です。

私が最初からこだわったことは一つだけ。紙でなければならない一冊にしたいということです。手にした時の感覚、新書の紙とインクの匂い、ページをめくる喜び・・・デジタル書籍に席捲される中で、いつまでも手元に置いておきたい紙の本として、ワークブック形式にしています。そうはいっても、DX時代ですから、頁の中のQRコードから本を飛び出して、法話の動画を観たり、写仏・写経のお手本をダウンロードしたり、楽しい仕掛けも盛り込みました。

書籍はもちろん、何かの商品が世の中に出る時、それは必然だと思います。たった一人の方でも良い。この本を偶然手にとって「おうち修行」を始めた方が、不安や悩みを解消されたなら。そして、その方の人生が、さらに輝くものになったなら。この本を出した意味があったのだと思います。どうか、「おうち修行」を必要としている一人でも多くの方に届きますように。そんな願いを込めて、このノートを書かせて頂きました。最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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