素材

いつもお経の時間には、目の前に、お坊さんの裸足の脚首があった

修行者は斜め下に目線をやるように言われていたから

そうして待っていると、視界にふにゃふにゃコテコテした足取りが入ってくる。アメリカ人おじいさんお坊さんだ

まっすぐくびれのない白い脚首

フーフースースーいってる大きめな息づかい

ババッと着替えてた来たのだろうな、というような着こなしが

御袈裟の裾からも感じられる

素材はどうも化繊にみえる。透け方、なびき方、すこしかたい

方丈様の御袈裟の素材は、やわらかな透け、やわらかくなびく

おそらく木綿の御着物の上に、絹の袈裟を重ねている

向かい合ってお話しした際のことを思い出すにも

胸元の生地だとか、袖口の擦れ具合だとかが浮かび上がってくる

そうやっていつも御袈裟の素材を眺めて、自分が買うならぜったい天然繊維だ、と思い巡らしていた


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