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With/Afterコロナで、SIビジネスはどう変われるか

こんにちは、大手町くずろう、です。

本日は、SIビジネスのアフターコロナを考えてみたい。

さて、システムインテグレータ(SIer)での働き方には大きく2つの働き方がある。「客先常駐」と「自社開発」である。

With/AfterコロナでおきるSIビジネスにおける大きな変化(期待)は、客先も自社もなくすべてオンラインになることだ。もはや「客先常駐」か「自社開発」かの区別がない世界がやってくる。千載一遇。

ということで、「客先常駐」や「自社開発」という働き方の区別がなくなると、どんな変化が生まれるのかについて説明してみたい。

品質管理・技術支援などが限定的な取り組みでなくなる

 これまで、おそらくどのSIerもそれなりに、ソースコードの評価や設計レビューなどの「品質管理」、先端技術適用の提案における「技術支援」、「プロジェクト管理」などの全社的な取り組みをしていると思われるが、「客先常駐」と「自社開発」があることにより多くのSIerにおいてこれらの取り組みの適用範囲は「自社開発」に限定的であった。
 しかし、アフターコロナは、客先も自社もリモートでアクセスするのが普通になる。例えば、品質管理の有識者は、オンライン上の画面共有などを利用してクイックにレビューを行うことが容易になる。「技術支援」や「プロジェクト管理」も同様だ。これらは有識者からのスキルトランスファーにもつながる。また、オンライン化は、トラブルシューティングにおける集合知による問題解決も可能にしてくれる。ひとりでなく、ふたりでもなくみんなで事象を共有し、打ち手を検討できる。素敵だ。

社員エンゲージメントの向上とイノベーション

 「客先常駐」と「自社開発」は、会社への帰属意識に差がでやすい。「客先常駐」は、顧客満足度が高くなればなるほど属人化が進み、担当交代が困難になる。客先で過ごすことが多いため自社で回覧されるメールなどもみなくなる傾向にある。原則フルタイムでの常駐が一般的であり、ゆえに、他のプロジェクトへの参画機会は得られにくい。そうやって徐々に帰属意識が薄れゆく。また、「客先常駐」は働く場所(顧客オフィス)ごとに小さく分断されており物理的な仕事環境にも差がある。駅から遠い、机が狭いなど(逆もある)。だが、「客先常駐」は、直接顧客と接触を持つフロント業務である。客先は、ビジネスの現場そのものであり、得られる知見は深い。

 いま「両利きの経営」が注目されている。これは、近くの「知」どおしのぶつかり合いではもうイノベーションが生めないから、より遠くの「知」を探索し、遠くの「知」とぶつけることでイノベーションを生み出そうという試みだ。ただ、SIerは、「客先常駐」と「自社開発」という近くの「知」のぶつかりあいをやりつくしたとはいえない。「客先常駐」で得られた知見は活用したい。しかし、「客先常駐」と「自社開発」は接点を作りにくかった。場所が離れていて、業務時間に会うことが難しい。

  アフターコロナでは、「客先常駐」が「客先リモート」になる。これは「客先常駐」の帰属意識を向上させる。オンラインなら「客先常駐」と「自社開発」という区分けはもはや存在しない。前述した全社的な取り組みも自分事として言いやすい。これは心理的安全性も高めるかもしれない。オンラインが前提ならプロジェクトの掛け持ちもしやすくなる。こうして、顧客に最も近いところにあった「知」と社内の「知」がぶつかりあうようになる。これまで身近にありながらなかなか出会う機会が少なかった「知」と「知」。ちゃんとぶつかりさえすれば、持ち寄った業務ノウハウをビジネス・サービスとして提供するようなBPOやSaaSに昇華できる。素敵だ。

 前者でいえば、デジタルBPOというか、アジャイルBPO。システム開発は手段であり、顧客と真に緊密な協働をするというならSIerの役割はシステム開発だけにはとどまらないカスタマーサクセスを実現していくのがよい気がしている(次のアジャイル開発のモデル契約も参考になる)。リモートなら情報の持ち出しもない。インハウスもアウトソースできる。

 後者でいえば、特化型のSaaS。個人的には、「組合モデル」(2012年からずっと気になっていた契約方法※)とかを活用してほしい。顧客とSIerで利益をわけあえる。

※システム開発プロジェクトにおいて、ユーザは資金を、ベンダ(複数社も可)はプロマネ要員を出し、一つのシステムをユーザとベンダの企業が共同で企画・製作するための組織-共同企業体-を作り、開発を行うモデル。スキームとしては,民法上の組合(任意組合)を用いている。(IPA「アジャイル開発向けモデル契約案について」https://www.ipa.go.jp/files/000005404.pdf から引用)

場所の制約からの解放と働き方の多様化

 場所の制約から解放されたSIビジネスは、大きな広がりをみる。オンラインには地方も外国もない。保守のソリューションには時差が活用できるかもしれない。採用の裾野も広がる。働き方も多様化する。素敵だ。

 これまで技術的には可能であった「働く場所の制約からの解放」は実現されずにいた。それを可能にする技術を持っているITサービス業であるにもかかわらず。なぜか。ジョンレノンが歌うイマジンが足りなかった。「客先常駐」と「自社開発」の区別がない世界を想像してみたくなった。いま私にできることは、イマジン。そう思い、とりとめもなく綴ってみた。朝になってしまった…。





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