給付🆚減税　現場のこと考えてますか？

　こんにちは。
　最近、減税だ、給付だという話題が新聞やメディアの紙面を踊っているのは皆さん否が応でも見ていると思います。理由はシンプルで衆議院の解散があるかないかということで、話題作り、実績作りに躍起になっているというところです。選挙目当てで、政府の歳入歳出権を乱用するのはどうかとおもいますね。
　これに対しては、有権者側はまずは声をあげることが大事です。言葉に出さなければ賛同したとみなされます。最終的には選挙で結果がでますが、有権者側ももっと勉強をする必要があると考えています。

給付事業の問題点

　もともとこの記事、7月末につくって下書きのまま残っていたのですが、今あらためて加筆修正をしています。とある自治体の事務処理センターで仕事をしているときに、あまりの事業設計ずさんさ、公金を使っている意識の無さから書き始めました。
　給付事業の詳細設計については各自治体が行っているものですが、事業の財源は国からの交付金です。それも使用目的をほぼ決めているものですので、他のものに使うことができません。自分のところの事業、財源でないにも関わらず、事務処理を外部委託するにしても、自治体のリソースを一定割く必要があります。

住民税非課税世帯という分断

　次によくある「住民税非課税世帯への給付」というものです。住民税とは現在2階建て構造になっていまして、1階が「均等割」といって、携帯料金で言う基本使用料でこれは一定です。2階が「所得割」といって、所得に応じて支払う金額が変わります。細かい条件は省きますが、要は
①住民税課税世帯
②住民税均等割課税世帯（所得割免除）
③住民税非課税世帯（均等割、所得割免除）
という感じです。
　多くの自治体での給付対象はほぼ③の均等割、所得割の両方が免除されている世帯のことをいいます。

住民税非課税世帯の内訳

　全年齢で見る日本全体での住民税非課税世帯の割合は約２４％となっています。その２４％の内の多くが高齢世代となっています。つまり給付という政策は投票率の高い高齢世代に向けたメッセージなんですね。
　高齢世代を蔑ろにするつもりは毛頭ありませんが、今の現役世代を一番苦しめているのは、消費税でも所得税でもなく「社会保険料」です。現役世代は自分たちが高齢世代になった時同じような手厚いサポートを受けることができるかわからないのに、黙々と働いて保険料という名の税金を収めています。本当に、現役世代、子育て世代を助けるというのであれば、公平な徴税、公平な分配が話の土台となるものだと考えています。

給付金事業の問題点

　また、給付金事業そのものにも問題があります。それは給付には住民の同意が必要というところです。税金は同意なく勝手に税率を変えてきますが、給付は送金に当たって同意を得る必要があります。ということは、何らかの形で住民とのやりとりをする事務処理が必要になってくるんですね。
　それはそれは膨大な作業量となりますので、通常の業務のある自治体そのもので対応することはできません。自治体での差異はあるにしろ、DX化が進んできた今でもこれは変わりません。なぜなら「同意」が必要だからです。
　同意にはそれを確認するという作業が付随してきますから、何にせよ事務処理が必要となってきます。対象者が多い自治体であれば事務処理費は数億～数十億になるでしょう。それもこれも全て元を正せば皆様からお預かりした税金です。　
　早い話、「返すなら初めから取らなきゃいいよね」、ということに気づいてほしいのです。減税するにしても事務処理は必要ですが、それの多くは通常の業務の範囲をお大きく逸脱するものではありません。なぜなら、国から税をあげる仕事がきても、増税のための事務処理センターが開設される、なんてことはありませんでしたよね？

　

まとめ

　かなりざっくりとした内容となりましたがいかがでしたでしょうか？
　「生活困窮者への対応はどうするんだ！」というお声はあると思いますが、日日の生活にお困りでしたら、きちんとしたセーフティーネットに頼るべきです。そこでは生活を立て直すプログラムが用意されています。
　それとは別に、選挙に向けたメッセージや、実績作りにパフォーマンスに税金を使われることには反対です。減税であれば必要のなかった経費を無駄に使用すること、役所や民間のリソースを無駄に使用することをやめて、本当に合理的で効果的な方法を考えるなら「元から取らない」という選択を政府与党は考えてほしいものです。