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(第5回)ウコン、ギョイコウ、どっちもどっち

華やかな八重桜の時期にひっそりと咲き、知る人ぞ知る人気の存在。それがウコン(鬱金)とギョイコウ(御衣黄)です。
いろいろな品種の八重桜が楽しめる公園や植物園ではきっと何本か植わっていると思います。でも、桜の違いに興味が薄いと、これらの品種が咲いているの自体に気付きにくく、言われてみて「えぇぇ!」と皆が驚くのです。

なぜかと言えば、2品種共に花色が一般的なピンクや白でなく、な、な、なんと、薄緑色だから!

ウコン(鬱金)

花の形自体は他の八重桜とそれほど変わらないようにも感じますが、咲き始めの花色は白色から薄緑色に近く、鬱金というだけあって言われてみればやや黄身がかったようにも見えます。

鬱金の咲き始めは、ほんのり黄緑がかった花色

京都伏見に河童のCMでおなじみ黄桜という日本酒メーカーさんがありますが、社長が鬱金桜が好きだったから命名したと言われてますよね。
お酒もそうですが、この花も時が進むにつれほんのり紅色に染まったり、赤い筋が入ったりしてきます。

花色の変化が魅力です

花が散る最期には、鳥がいたずらしたりするせいでしょうか、花びらがバラバラになるのではなく、がく付きでの落花が多く目立ちます。
色は様々。黄緑やオレンジ、ピンクが混ざったように見え、個人的にも割と好きな光景です。

美しい路上の花がら

ギョイコウ(御衣黄)

ウコンからの枝変わりと言われているのがギョイコウ。花色が貴族の着るような萌黄色の衣服を連想させるところから、その名が付けられたと言われています。

花の咲いているのに、遠目では気づかないほど

実際に咲いてるのを見ると、蕾の頃から明らかに緑色が強い。咲き始めの花びらはウコンなんかよりもずっと緑色に見えます。但し個体差があり、ウコンに近いギョイコウがあれば、ギョイコウに近いウコンも存在するように思えます。

ここからは私見になってしまいますが、都内の公園を見る限りでは、花びらは通常の八重桜より矮性の場合がほとんどと思います。

足立区の都市農業公園、舎人公園、荒川堤五色桜、荒川区の汐入公園で見られるものはほぼ類似し、おそらく同じ個体にルーツがあるのかと思っています。これらは咲き始めから緑色がとても濃いです。また、おしべが見られる場合、蛾の触角のような特徴的な形をしています。

おしべの変形が特徴的な個体(都市農業公園)

新宿御苑のものはこれより色味は薄めですが、小さく白い花びらに強めに緑色が現れているのと、花の形が小菊のように整っているので、鑑賞性はより高いように感じられます。

小菊のような花つきの個体(新宿御苑)

混同が生まれる理由

また、ウコンと思われる個体が、SNS上ではギョイコウとして紹介されるケースが、実はかなり多いのではないかとも感じています。
専門家ではないので断定は避け、どっちもどっちというスタンスで楽しもうと思います、が、でも、でも、やっぱりこだわりたくなる。。。(苦笑)

なぜこのような事態が生じるか、ちょっと考えてみました。与太話と思ってお付き合いください。

まず考えられる理由としては、品種としてのギョイコウが定着しきってない可能性。ギョイコウはウコンからの枝変わりと言われてるので、枝変わりした緑色の花が付く個体が複数あり、それぞれを同じギョイコウという名で括っているという理屈です。これでしたら、足立区と新宿御苑の花の系統の違いが説明できます。

もうひとつの理由としては、やはりギョイコウの方が稀少で、その分人気も高くなっている、ビジネス上でも都合がいい、ということ。
ウコンも十分珍しい気はするのですが、ギョイコウ!と声に出した時の響きは、何気にインパクトありますもんね、そして威張れますもんね(笑)。

どっちかな?どっちかな?と思いながら、毎年春が過ぎていきます。。

「桜が好きです」は今回で終了、のつもりでしたが、ちょっとだけ番外編があります。
引き続きよろしくお願いします。


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