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家でできるカンタン理科実験のすすめ ~親子で重ねる「共通体験」~

多様なモノや情報があふれる現代において、大人が子供に対して教育機会や教材、遊び、玩具を「与え」、「褒める(評価する)」ことは、家庭や学校などの場においてごく日常的に見られる光景です。しかしこれらは「大人→子供」という方向性が明確な行為であるため、子供にとっては時に押しつけがましいものになり得ます。もっとも、大人は子供に対してある程度のしつけや指導を行い、行動規範やマナーを示さなければならないという前提が存在することも事実です。

1.親子がフラットに繋がる「共通体験」の時間を

日々の家庭生活の中で、子供が自らの知的好奇心を満たそうとする時には、親は必ずしも「指導者」になる必要はありません。子供に対して上下関係のないフラットな関係で対象物と向き合い、何らかの「共通体験」を通した学びを重ねることが重要なのではないかと思います。それによって、子供だけでなく大人自身も成長することができ、双方にとって大きな喜びや感動を得ることになるでしょう。

2.「実際にやってみる」ことの説得力

筆者は、公立高校の理科教諭として10年間勤務した経験があり、その間さまざまな生徒と出会いました。学校の定期テスト対策に熱心に取り組む生徒、部活動に精を出す生徒、おしゃれや恋愛に夢中の生徒、アルバイトに勤しみ家計を助ける生徒、弟や妹の世話や家事を任されてなかなか自分の勉強に手が回らない生徒、芸能活動をしている生徒・・・。挙げればキリがないですが、どのようなバックグラウンドや価値観をもつ生徒にも共通して言えることは、理科の実験の時間には目を輝かせる瞬間が必ずあるということです。実験の作業プロセスにおいて、生徒は自分なりの気付きや学びが可能になるため、どんなに小さなことでもそれぞれに面白いと感じる部分を見出すことができるのです。それは年齢や性別、学力偏差値などとは無関係であると実感しました。

3.家でできる実験をやってみよう

長引くコロナ禍の影響により、家で過ごす時間が増えました。毎日の生活が単調になりやすく、大人も子供もストレスを抱えがちになります。こんな時、「家で」「親子で」できる簡単な実験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。子供向けの実験については、さまざまなサイトで紹介されていますが、こちらにも一例を紹介させていただきます。

(例1)寒天vsゼラチン ~失敗しないゼリー作り~
https://sites.google.com/view/oshijuku-tensaku/%E7%90%86%E7%A7%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88_2

(例2)紫キャベツで不思議な焼きそば作り
https://sites.google.com/view/oshijuku-tensaku/%E7%90%86%E7%A7%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88

(例3)アルコールに対する自分の体質を知ろう
https://sites.google.com/view/oshijuku-tensaku/%E7%90%86%E7%A7%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%88_3

いずれも一般のご家庭で気軽に行える実験です。親子で一緒に取り組むのであれば、3才くらいから楽しんでいただけますし、原理に基づいて考察するとなると中高生でも充分にやりがいのあるテーマだと思います。お子様の興味・発達に応じて説明を加えてあげてください。ただ、あまり理論・理屈にとらわれすぎず、何よりも「実際にやってみること」が大切です。安全な範囲内で、お子様が自主的に作業を進める様子を根気よく見守ってください。また、実験結果をふまえて親子で考えたことを話し合ったりノートに記録したりする作業は、子供の知的好奇心を満たすだけでなく、真の学力を育むことにもつながるのではないでしょうか。

もちろん、理科実験だけでなく、料理やお菓子作り、工作などでも同様の体験ができると思います。大人も子供も閉塞感を感じる日々が続きますが、生活の中で親子のちょっとした「共通体験」を積み重ねることにより、今しかできないことの実践、そして今ここにある親子の絆を大切に過ごしていけたらと思います。


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