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withコロナ時代の地域社会の教育力とは

0.はじめに

新型コロナウイルスの収束が困難な状況において、子供たちの学びをどのように保障していくのかが喫緊の課題となっています。

5月末から、全国の学校で段階的に登校を再開していますが、7月に入ってからは再び感染者数が増加しており、特に教員・児童生徒の感染報告も相次いでいます。

オンライン授業の一斉導入が進まない中、不安な気持ちを抱えたまま登校を続けているご家庭も多いと思います。

そこで本稿では、学校教育を支える「地域社会」が、withコロナ時代にどのような役割を担っていく必要があるのかを考えてみたいと思います。

1.学校教育に対する「地域」の位置づけ

平成27年の中央教育審議会答申の中で、学校と地域社会の連携・協働をより一層強くし、「地域とともにある学校づくり」を推進していくと述べられています。遡ることおよそ30年前(1980年代後半)より、学校改革の中心的課題として、「開かれた学校づくり」が進められてきました。今回の答申ではさらに一歩踏み出し、学校と地域が一体となって子供たちを育む体制へ転換しようと提起しています。

ちなみに、実際に学校現場で行われている地域連携の行事としては、次のような例があります。※自治体や校種によって呼称が異なる場合があります。

・例1:「学校へ行こう週間」…保護者や地域住民が校内、授業の様子を見回ることができる。

・例2:「学校評議員会」…保護者や地域住民が学校運営について協議する。

・例3:「地域貢献デー」…児童生徒が学校近隣の清掃活動などを行う。

2.休校措置における学校・家庭・地域

2020年3月~5月までの約3か月間、日本でも新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの地域で休校措置となりました。

この間、各学校では、学校再開後の計画を立てながら、休校中の課題の作成と受け渡しが行われていました。刻一刻と変化する感染状況により学習計画の見通しが立たない中、文部科学省や教育委員会からの通達を受けては、さまざまな対策を講じていたことと思います。

一方、家庭では、学校からの膨大な課題と生活習慣への細かい計画・指示をこなすべく、子供も保護者も大奮闘していたのではないでしょうか。その課題のほとんどはフィードバックがされないままに、次から次へとこなしていかなければならない状態で、子供たちの学習意欲を維持することも困難であったと想像できます。

今まで遭遇したことのない非常事態において、「学校」も「家庭」も最善をつくしながらも、互いに苦境に立たされていたのではないかと思います。

では、「地域」としての立場はどうだったのでしょうか。コロナ禍において、業種によってはやむを得ず休業することになり、苦しい生活を強いられた住民も多いと思います。その一方で、ステイホームが呼びかけられ、自宅での生活が中心となったことから、家での時間が充分にあったという人も多いのではないでしょうか。このような、地域住民のちょっとした「自宅時間」を、子供たちの学習サポートに活かすことも出来たかもしれません。

3.with コロナ時代に、地域ができること

日頃から、地域住民が近所の子供たちの学びに目を向けていることが理想的です。より組織的に支援を行うためには、各自治体で子供たちの学習サポートを行うための人材バンクを設け、住民の「自宅時間」を活用して、子供たちの課題プリントをチェックするなどの活動を実施することも一つの方法かと思います。

このような活動は、学習サポートに携わる大人自身にとっても、大きなやりがいに繋がるものと考えられます。

4.おわりに

約30年前から、学校と地域の連携の重要性が謳われており、学校の年間予定には地域連携にまつわるイベントが組み込まれています。しかし、それらの多くは単発的であり、日々の教育活動に根付いたものではなかったことが露呈したとも言えます。

これから感染拡大の第二波、第三波に備えて、子供の学びを中心に据え、「学校」、「家庭」、「地域」のそれぞれに何ができるのか、さらには地域住民一人ひとりが何ができるのかを問い直す時ではないでしょうか。また、学校教育への地域社会の役割、活かし方を再考し、各学校に合った真の地域連携を実践するチャンスであると捉えたいと思います。

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