大谷大学哲学カフェ

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第3回哲学カフェのご報告

テーマ:「協力」とは何か? 日時:10月16日(土)15時〜17時半 参加者:6名(学生3名、教員3名)  中村哲医師とアフガニスタンについて学習した後に、国際貢献という観点から、「協力」について考えてみました。出発点となったのは、中村医師が参考人として発言した2008年の参議院外交防衛委員会の資料です。そこでは、公益や自国民の安全を第一に考える政治家と他者への奉仕を第一とする中村医師の活動が対立していました。読み手によっては、アフガニスタンの情勢に疎い政治家への反感や中村

    • 2021年度第2回哲学カフェのご報告

      テーマ:「からだ」は何のためにあるのか? 日時:7月8日(木)18時〜20時 参加者:9名(学生5名、教員4名)  今回は、覚和歌子さんの『ゼロになるからだ』(2002年)に収められている二つの詩の読解を通して「からだ」について考えてみました。話は多岐に亘りましたので、最終的な目標であった「ゼロになるからだ」という言葉に対する暫定的な理解だけを記しておきたいと思います。  「からだ」と「いつも何度でも」いう二つの詩を輪読し、感想を共有したあとに、谷川俊太郎さんの「あとがき」

      • 2021年度第1回哲学カフェのご報告

        テーマ:ぞうさんのお鼻はどうして長いのか? 日時:5月13日(木)18時〜20時 参加者:8名(学生5名、教員3名)  今回は、まど・みちお(1904〜2014)さんの詩「ぞうさん」(1951)を賞玩したあと、「ぞうさん」に込められている問題を、テキスト読解をしながら話し合いました。結論を先取りすると、「ぞうさん」の詩の豊かな読解可能性を精査することを通じて、「身体的特徴を発話する問題」や「自己肯定に他者は必要か」といった哲学的な問題について知見を深めることができました。

        • 第5回「コロナ禍の一年を振り返る」

          今回の企画は普段と違った生活を強いられたこの一年を振り返りながら感じたことや気づいたことを言葉にしてみようというものでした。同調圧力からスマホのよしあし、最後は実際の人間関係を希求することへと話は展開していきました。 同調圧力を感じた ・4~5月、マスクが不足していた。しかし多くの人は屋外でもマスクをしており、マスクせずに歩いていると「あいつマスクしてない」といった厳しい視線を周囲から感じた。ただしそれはこちらが感じ取ったことであり、当人らは視線の強さを意識していないようで

        第3回哲学カフェのご報告

          2020年度第4回哲学カフェOnline報告

          テーマ:「あんぱんまん」の正義 日時:10月15日(木)18時〜19時半 参加者:9名(一般2名、学生4名、助教3名) 今回は、絵本『あんぱんまん』(1976)を朗読した後、その内容を題材として議論を行いました。とりわけ、『あんぱんまん』の末尾の作者(やなせ・たかし)からの読者への質問に答えることをゆるやかな目標として、哲学カフェを進めました。 はじめに、絵本『あんぱんまん』と私たちがアニメなどを通して抱いていた「アンパンマン」のイメージの相違点を確認しました(1.)。そ

          2020年度第4回哲学カフェOnline報告

          2020年度第3回哲学カフェOnline報告

          テーマ:「ヨルシカから始める哲学カフェ」 日時:7月30日(木)18時~19時半 参加者:8名(一般1名、学生5名、助教2名) 今回はヨルシカの曲「負け犬にアンコールはいらない」(2018)を参加者と一緒に聴いた後、その歌詞を題材に議論を行ないました。はじめにこちらから次の問いを出しました。それに対して以下のような意見が出されました。(歌詞からの引用は【 】で示しました。) この歌のテーマは何か?青春:いかに「大人」になることを受け入れるかが歌われている。青臭さを感じる。

          2020年度第3回哲学カフェOnline報告

          2020年度第2回哲学カフェOnline報告

          テーマ:「ネットの正義」 日時:6月11日(木)18時~19時半 参加者:7名(一般3名、学生2名、助教2名) 今回はまずネット記事(高校生による精神科医香山リカ氏へのインタビュー)を紹介し、この記事で問題にされている事柄から出発した。それは昨今の社会問題でもあるネット上でのバッシングの横行である。この記者はみながどこかで正義のヒーローになりたがっていると述べる。 正義感に由来する行為がどうして蛮行になるのか?香山氏によると、正義感の正体は「有能感」を求める心であると言う

          2020年度第2回哲学カフェOnline報告