第3回哲学カフェのご報告

テーマ:「協力」とは何か?
日時:10月16日(土)15時〜17時半
参加者:6名(学生3名、教員3名)

 中村哲医師とアフガニスタンについて学習した後に、国際貢献という観点から、「協力」について考えてみました。出発点となったのは、中村医師が参考人として発言した2008年の参議院外交防衛委員会の資料です。そこでは、公益や自国民の安全を第一に考える政治家と他者への奉仕を第一とする中村医師の活動が対立していました。読み手によっては、アフガニスタンの情勢に疎い政治家への反感や中村医師への同情を感じたりするのでしょうが、今回は会議室の政治家と現地の活動家の間で、目指す方向性に違いがあることが着目されました。その違いを押えたうえで、他者に協力することの難しさを再認識しました。とりわけ、他者の力になるためには、相手のことを正しく理解する必要があること、そしてこの「他者理解」がなによりも看過されがちであることが議論されました。逆に言えば、他者に対する理解不足が、たとい善意であったとしても結果としては相手の負担を増やすことや、単なる自己満足へとつながることが話し合われました。その点、協力する人たちが「やりたがらぬことをなせ。人のいやがる所へゆけ」という中村医師の言葉は、相手の状況をよく理解したうえで、相手が最も必要としているにも拘らず、なかなか手が回らないところに率先して身を献じるための格率として極めて有効であることが確認されました。

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