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起業はツラいよ日記 #56

人生にはツラいと思うことが山ほどある。

もうツラいし何もしたくない、どこへも行きたくない。そんな時こそ外に出て人に会ったほうが良い、ということをわたしは経験則として信じている。

わたしは正に今日がそんな日だった。上手くいかないことが重なり、いま自分がやっていることは全て無駄なことなのではないかと思ってしまう日々が続く。

本当は子どもを保育園に送り身支度を済ませたら直ぐ家を出ようと決めていたが、なかなか家を出られず結局10時にようやく外に向かった。

今日は自宅でコツコツと作ったフリーペーパーとチラシを両手に本屋さんに営業して回ろうと考えていたのだ。本来なら事前にどこの駅にどんな本屋さんがあるか下調べしたうえでリストにしておくべきなのだが、そんな準備まで手が回らずに行き合ったりばったりで走り出した。

予定では東急東横線沿線に行こうと思っていたのだが、気分が塞いでいたからか「下北沢のB&Bさんにだけはお伺いしてフリーペーパーをお届けしなくては」と思い直し、大泉学園駅から東横線に接続した列車に乗り一路渋谷駅へ向かった。

渋谷に到着すると既に11時を回っていたので早めの昼にしてしまうかと渋谷をウロウロしていたのだが、食べたいモノが何も見つからずにランチ難民になってしまった。IKEA渋谷が目に留まったので、フードコートに逃げ込んだ。IKEAならシナモンロールは美味しいし、安いし、何よりプラントベースなので動物福祉についての本を出版するわたしとしては都合がいい。現金決済しかできなかったけれども、美味しく元気を蓄えられたので満足だった。

お腹が満たされると不思議と気持ちも前向きになるので、ちょいちょい休んで小腹を満たすのは悪いことではないよなと思う。

早く仕事に戻らねばと京王井の頭線のホームに急いだ。こまめに駅を降りてしまうと交通費がバカにならないので周遊きっぷを購入する。

下北沢駅で下車

B&Bさんに伺うとついつい本を買い過ぎてしまう。今日は営業してまわる日だから1冊で我慢することにした。

筆者撮影

明大前駅で下車

明大前駅といえば明治大学だろう。初めて降りた駅だ。大学があるのだからきっと本屋があるだろうと思っていたが、まさか本屋さんが無い街であった。なんと…

筆者撮影

永福町駅で下車

続いて永福町駅へ。この駅も初めて降りたのだが、啓文堂書店さんがあったので一安心。チラシとフリーペーパーのサンプルをお渡しご挨拶して帰った。

筆者撮影
筆者撮影

浜田山駅で下車

浜田山駅も初めて降り立った。高校生くらいの学生が多い街のようだ。

浜田山駅前には「サンブックス浜田山」という本屋さんがあった。おそらく駅周辺唯一の本屋ではなかったか。決して広くはないが、狭くもなく雰囲気の良い街の本屋さんだった。大型の本屋さんに行く時も緊張するが、こういった街の本屋さんに入るときもまた別の緊張感がある。

平日の午後だし雨も降ってきていたので、店内にはわたし以外お客さんがいなかった。文芸書コーナーを眺めて弊社の本を取り扱って頂けそうか考えてみる。

棚に並んでいる本のラインナップからお店の好みを把握し、自社の本に興味を持ってもらえそうか否かある程度推測できるようになってきた。サンブックス浜田山さんでは、もしかしたら弊社の本も置いて頂けるかもしれないと思った。レジの方にお話すると店長を呼んで頂けることになった。

筆者撮影

とても気さくな店長さんで、わたしが「井の頭線沿線の本屋さんを挨拶まわりしているんです」と伝えたら、「本屋も少なくなったでしょう」と返してくれた。忙しい書店員さんと世間話をする機会は初めてだったので、とても嬉しかったのだ。チラシをお渡ししたときも、トランスビューから送られてきたFaxに掲載されていたので弊誌『B.E.』の存在は知っていただいていたようだが、その情報だけでは注文するに至らなかったようだった。

そういうフィードバックを頂けたのも有り難かったし、実際に本誌をお見せしたら「現物をみたら良い本ですね、こういうの好きです」と言っていただけた。「大変だろうけど頑張ってくださいね」との激励の言葉も頂戴して、来て良かったと思った。

欲しかった雑誌1冊と本を1冊購入して店を後にし、少ししてメールボックスを確認したら店長からの注文が入っていた!本当に有り難いことだと思う。

吉祥寺駅で下車

暑さで体力がなくなってきた。浜田山駅を出た後はそのまま吉祥寺駅に向かい、その後はバスで自宅近くのバス停まで帰った。

ツラいときに触れるのが悪意ではなく善意であって欲しい

ツライことがあった時や、気分がどうにも落ち込んでしまう時、サンブックス浜田山でお会いした店長のように誰かの優しさや善意に触れることができれば気持ちは随分と楽になる。

よく自暴自棄になって犯罪を犯した人が報道される。彼ら彼女らを犯罪に駆り立てた最後の一押しが誰かの何気ない悪意だったとしたら、その時触れたのが悪意ではなくて善意だったなら、その人は事件を起こしただろうか、踏みとどまろうと思ったのではないかと想像してしまう。

ツラいときこそ外に出て人と話してみて欲しい。そして、その時に触れるものが誰かの善意であって欲しい。わたしも人に接するときは善意で返せるようになりたい。その善意が誰かの気持ちを楽にしてくれることを願っている。

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