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日仏デザイン論 ~ フランス人は不平不満からコミュニケーションが始まりアウトプットを磨き上げる

フランス人は不平不満ばかり!・・・こんなフレーズをどこかで聞いたことはありませんか?

今日はフランス人同僚から(自虐的なブラックユーモアを込めて)送られてきた下記の記事を元に、自身の所感を綴っていきたいと思います。


Why the French love to complain - なぜフランス人は不平不満を愛すのか

会社でのフランス人と過ごす朝のコーヒータイム。大抵はその日の政治的ニュースや天気、それが金曜日であれば週末の予定など何気ない会話から始まります。

渡仏当初驚いたのは、特に会話冒頭に、不満的ともすればネガティブに聞こえるフレーズが非常に多いことでした。

「フランスの政治経済はこうだからダメなんだ」「気候が急激に変化してるのは温暖化のせいだ」…etc

日本人コミュニティでもそうですが、アメリカ系の同僚達の中でも、朝一の会話のスタートがネガティブワードで始まることはあまりありません。

冒頭記事の中にこんな一説があります。

“To Americans, saying something negative sounds like you’re closing the conversation”, in France, such comments are perceived as “a way to invite other people’s opinions”. (アメリカ人にとって否定的なコメントは、あなたが会話を閉じようとしているように聞こえるだろう。一方フランスは、それは他の人々の意見を誘う呼び水なのである。)


まさにこの記事の通り、フランスコミュニティの特徴的なのは「何かしらの否定的なフレーズ」をきっかけに他人の意見がどんどんと加わり、盛り上がった結果コーヒータイムが30分以上…という光景をよく目にします。

誤解の無いように付け加えると、彼ら彼女らは特に悲観的人種という訳ではありません。自分の考えを素直に吐き出すことを正としていること。そして発言自体に悪意を持っている訳ではないので、挨拶の一部のような感覚なのでしょう。その延長上で、政治や会社に対するデモ行動も日常の一部として溶けこんでいます。

一方、一例としてアメリカ人との朝の会話を対比で挙げてみたいと思います。

「hiiii what’s up?!」→

「last weekend was so fabulous... etc...」楽しかった週末の話で盛り上がる→

「It was a lot of fun BUT I was tired and caught a little cold...」

冒頭は楽しかったことをポジティブに話しながらも、会話最後に「でも風邪を引いちゃった」の様な、少しのネガティブ因子で会話を閉めることが多い気がします。

全体の会話のムードは明るく保つのが礼儀のような感覚があるのでしょう。


デザイン検討におけるcomplain - 求められるのは 『考察力』 

冒頭の記事を読んで、デザイン検討にも同様のことが当てはまると感じました。

フランスでは、例えプレゼンテーションの途中であっても、「なんでそうなってるの?私は賛同できない」といった小さなcomplain(というよりはquestionに近いかもしれません)から議論が白熱することが多々あります。

日本の会社で働いていた時は、検討はそこまで個々の意見が活発に交換される場ではありませんでした。

その一方、逆にありがちだったのは、検討中は議論もなくピースフルなムードで終わるのに後になってから個々から別々の不満が噴き出すケース。
後出しジャンケン的な発言で逆に苦労をすることも多かったのです。


「Why the French love to complain?」の記事に戻ると、その中に “If someone’s complaining, I feel like there’s authenticity there,”(もし誰かが不平を言っているなら、私はそれに信憑性があると思う)いうフレーズがあります。

不平、と書くと字面が悪いですが、大抵そういった発言は何の根拠もなく出てくるわけではありません。理由を深掘りしていくと、しっかりした意見の背景があることが大半です。 

何を言わんとしているか、complainの本質的背景を読み取る「考察力」を持つこと。

complainをきっかけに、考察し、議論を重ね、議論の場で一緒にアウトプットを高め合っていくことを恐れないことが、フランスのデザイン検討での流儀…のような気がしています。


あまり上手く纏まりませんでしたが、今日はここまで。


#海外で働く #フランス #日仏デザイン論 #デザイン






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