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作業療法士のお仕事

私は現在、大学病院で作業療法士として働いています。
以前は回復期リハビリテーション病院→亜急性期大学付属病院にも勤めていました。

大学病院=急性期病院なので、急性期の作業療法が臨床のフィールドです。
当院の作業療法部門はチームに別れていて、各所属チームの対象となる患者さんを相手にリハビリ(作業療法)を提供します。


今回のブログでは、

  1. 急性期病院の作業療法士の役割(専門性)

  2. 大学病院での実際の業務

  3. 大組織で働くということ

をテーマに書いていきたいと思います。


※思ったより一つのテーマで長くなってしまったので、全3回のテーマでブログを更新することにしました。


急性期病院の作業療法士の役割(専門性って?)

作業療法のアイデンティティで悩む人は多いです。OTのアイデンティティ・クライシスという言葉もあるほど、作業療法の専門性って作業療法士でも説明しづらく、”これっ”という形が無いんです。
私が12年間の臨床経験で培った急性期病院の作業療法士の役割を考えてみました。

退院後の日常生活を見据えた生活支援

急性期病院は、「疾病や外傷など急性発症した疾患や慢性疾患の急性増悪の治療を目的とし、一定程度の改善まで、医師・看護師・リハビリテーション専門職員等が中心となって行う医療」と定義されています。
(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wrcw-att/2r9852000001wrhr.pdf)

つまり、病気や怪我を治すことが第一の目的です。ある一定程度まで改善したら、急性期病院の役割は終了です。しかし実際には十分に生活ができるほどの能力が損なわれている状態であったり、社会調整(自宅環境の整備や家族の支援体制、社会資源サービスの申請など)が必要なケースがいるので、そのような場合は回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟のある病院に転院することになります。
なので、
①一定の程度まで身体の機能や能力を改善させること
②日常生活の遂行能力から、在宅復帰もしくは転院のどちらがベターかの提案をすること
が基本的な役割になるかと思います。


その中で、”作業療法士”として意識していることは、

①失った機能(手の運動機能、認知遂行機能、高次脳機能など)の機能訓練や、動作能力(起きる、座る、立つ、移動するなど)の獲得、日常生活動作(食事、洗面、排泄、着替えなど)の獲得、社会活動(復学・復職、家事、社会的役割など)の支援など。

正直、理学療法士や言語聴覚士と被る部分も大いにあると思います。大事なことは、”退院後の生活を見据えた生活支援”をしているかどうかかと思います。その人にとって必要と思われる生活支援であれば、内容は何でも良いと思ってますし、重要なのはその視点です。
個人的には、ICF(国際生活機能分類)の5つの領域(心身機能・活動・参加・個人因子・環境因子)に対し、病期に応じてどの側面からもアプローチできることが重要と思っています。急性期の場合は病期的に心身機能の回復が最も見込める時期なので、心身機能の回復と活動をいかにつなげるか、という視点が多くなっていきます。

②本人の能力、家族の支援体制、自宅環境、社会資源の有無、の要素から、在宅生活の可否を総合的に判断し、他職種で共有すること。

どんなに障害が重くても、家族の支援や利用できる社会資源の種類等で基本的に在宅生活に不可能は無いと思っています。家族の支援があるか無いかが大きく関わってきますので、家族に対し介護のイメージを持ってもらうためにリハビリの様子を見学してもらうことも積極的に行っています。逆に、家族の支援が見込めない場合は、どんなに障害が軽くても在宅のハードルが上がります。もちろんOTの意見だけで方針が決まるわけでは無いので、他職種で共有し最終的には医師が決定します。在宅となった場合は、必要に応じ地域のケアマネージャーやセラピストなどとも情報交換をしたりなど、他職種連携を積極的に行うことを意識しています。


以上が、急性期病院のOTの役割です。
次回のブログでは大学病院での実際の業務について書いていこうと思います。





OT_aku


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