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おたくGさんの覚書:アニメ編その1

アニメから漫画、映画・小説、料理まで、記憶のまま、思いのまま綴った独りよがりの覚書

<記憶の薄いアニメ「宇宙怪人ゴースト」が想起させる特別な記憶>



 アメリカのアニメに「宇宙怪人ゴースト」というのがある。6歳の頃、春の新番組でスタートした。本編はカラーで、家のテレビはまだモノクロだったため、ゴーストの色彩は最近知ったのだが、両腕に巻いたバンドの赤、マントの黄色以外はモノクロと変わらない。ちなみにアメリカのアニメと書いたが、当初アニメとは言わず単にマンガ(まんが)と言っており、本の漫画も含め一括りだった。テレビマンガという場合もあったようだが、当時私は聞いたことがない。そもそもテレビ東京には再放送を主とした『マンガのくに』や『マンガ大行進』という枠もあり、また子供向けアニメを集めた『東映まんが祭り』などもあったのだから、やはりマンガ一括りだったのだと思う。ではいつからアニメと言うようになったのか?私が思うに「宇宙戦艦ヤマト」の映画がブームになった辺りからではないだろうかと思うが、またこのことは別の機会に取り上げたい。取り敢えず、この後はわかりやすいようにアニメと言う。
 さて、「宇宙怪人ゴースト」だが、名前がゴーストというように身体が透明になり、宇宙を飛んで、両腕に巻いた黒いバンド(本当は赤いバンド、モノクロテレビなので黒と思っていた)にあるスイッチのようなものを押すと、握っている手から光線が出て悪玉を倒すというヒーローだ。確か若い男女とサル?も一緒に宇宙を飛んでいたなあ。おそらくオープニングの記憶なのだろう、主題歌も口ずさむこともできるのだから。
 
ゴースト ゴースト ゴーゴーゴースト
宇宙怪人ゴースト 宇宙怪人ゴ~スト~♪
 
 話の内容は概ね、一緒に飛んでいた若い男女やサル?がピンチになると、ゴーストが現れて一件落着という流れだった。勧善懲悪という他、詳細なエピソードについては残念ながらあまり記憶がない。また、この頃のアメリカアニメの枠は、30分に3つの話で構成されていて、1話目と3話目が「宇宙怪人ゴースト」、2話目が「ター坊の冒険」というアニメだった。ただ、2話目のアニメはタイトルと絵柄がわかるだけで他はほとんど覚えていない。内容があやふやな「宇宙怪人ゴースト」だが、特別な記憶を想起させるスイッチとなるようなアニメなのだ。
 当時母親は出産の準備のため既に病院に入っていたので、父親と二人家で待機している状態だった。そして4月7日7時30分を少し過ぎた頃、新番組「宇宙怪人ゴースト」が始まって間もなく、黒電話が鳴って、父親の上ずった声が聞こえてきた。生まれそうだという病院からの電話だったのだろう。心配するより何という間の悪さという気分だったと思う。父親に急かされたが、まさに「宇宙怪人ゴースト」は1話目の佳境に入る時、おそらく私は未練で尻が重く動かなかったが、抱きかかえられ、消されたテレビを横目に泣く泣く、無理くり自転車に乗せられ、まだ肌寒い夜に病院へと疾走したのである。そう、「宇宙怪人ゴースト」は6歳離れた弟の誕生を想起させるアニメなのだ。ただ、弟の誕生日は4月8日。結局生まれたのは日をまたいでからのことだった。まあ、父親のことを思えばアニメを見損なったことなど責めるまい。自分自身、子供の誕生は生涯最高の喜びなのだから。ちなみに、父親は既に鬼籍に入っており、歳の離れた弟とは喧嘩することもなく、今でも仲良くやっている方だと思っている。


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