大乱闘スマッシュブラザーズSP――最高のゲーム音楽を収録!!
オタクのみんなは今多かれ少なかれスマブラやってると思う。
ゴチャゴチャしてて苦手って人は相変わらずナワバリバトルかもしれない。もう若くないってことなのか、今回は僕もちょっと目が付いていかない時があるよ。でもやっちゃうね、スマブラだからね。
でもまあそんなことはどうでもいい。なぜならついにキングクルールが参戦したからね。クッパ・ガノンからのワリオ・デデデ・メタナイトを経てさらに1作待ってついにだよ。
SFC1~3に64と必殺技も揃っていたのにどうして参戦まで20年近くかかったのか。ディディーお前がDXから漏れたからじゃあないのか?
でも実はそれはそれで脇に置いておいたって良かったりして、本当にうれしいのは「ラトリーに大へんしん」の曲が収録されているっていうこと。「ラトリーに大へんしん」は僕が思う最高のゲーム曲なのだ!!
今の子供たちはスーパーファミコンなんて化石のように思っているかもしれないし、原作をやったことがない人は「どうして同じ曲が3曲も入ってるんだ?」と思っていることだろう。
勿論その理由は元の曲の完成度が高すぎるからなんだけれど、それだけでなく演出の素晴らしさがあって、スーパードンキーコングを遊んだユーザーの脳裏に強く焼き付いているからに違いない。
キングクルールは1(と64)のラスボスなんだけれど、バナナを盗んだら取り返しに来られたという緊張感に欠ける設定のヤツで、1のラスボス戦も楽しげな曲に合わせてデブがドガドカ走ってくるというなんとも間の抜けたシーンから始まる。正直あれは引く。ラスボスなのにダサいんだもん。
しかもお世辞にもカッコいいとは言えないポーズで王冠を投げ、その間は頭部ががら空きになるもんだからジャンプ攻撃でダメージが入るという、「それでいいのか!?」って戦いを繰り広げる。
しかしそれは粋なクルールのエンターテイメントだってことをユーザーは思い知ることになるのだ。
最終ステージまでたどり着いたプレイヤーは王冠のギミックなんて一発で見抜き、ノーミスで踏み付け攻撃を既定の回数入れていることだろう。ここまでは想定の内。
遊園地のような明るい楽曲はフワッと消えていき、低音のビートの中で高音が鳴り響く本気のBGMに変わり始める。ノーミスで踏みつけていれば、曲がその場所に差し掛かった頃合いでクルールの攻撃パターンが急激に変わるのである。敵は画面外に消え、大砲の一斉走者が船上のコングを狙うのだ。
最初のふざけたような攻撃パターンは、曲とプレイヤーの動きを連動させてバトルを盛り上げていこうっていう演出のための、お遊びだったというわけ。曲が、ここからが本番だって挑発する。
大砲はワンバウンドがセーフなので見かけよりかは激しい攻撃ではないのだけれど、それに気が付かないとお子様の目には一面の絶望に映る。まさに手に汗握るギリギリの攻防だ。
しかもスタッフとクルールのお遊びはまだ終わらない。大砲の雨あられを潜り抜けてクルールを再びキックし、見事倒してスタッフロールが始まったかと思いきや、スタッフの中にキングクルールの名前が。それまでの名前も全部敵キャラクターの名前なのだが、英語なので日本の子供にはわからない。
でも流石にキングクルールの名前と「THE END?」の文字を見れば子供でも奇妙さに気が付く。
ほんの一瞬、ほんの一瞬間をおいて、プレイヤーから「え?」の反応を引き出すと、倒れていたクルールが復活して、画面を飛び回りながら最後の対決になる。もう大砲は飛んでこない。小細工なしのゴリラとワニのガチムチ肉体対決、正真正銘の全力をかけた最終決戦だ。
そしてやっぱりここの部分でBGMが冴える。偽スタッフロールで落ち着き始めていた曲調は再びスパークしてブチ上がり、高温が荒ぶるパートから、最も盛り上がるメロディへとなだれこむ。
スマブラSPではここの部分の繰り返しをあえてゆっくりにしてヒロイック感を演出していて素晴らしいアレンジになっているのでぜひサウンドテストでじっくりと聞いてほしい。
と、まあこういうわけで遊んだことのある人の記憶には強烈に刻まれるクルールのBGMが、続編で2のメインテーマと融合したのが「ラトリーに大へんしん」の曲なわけなんですよ。
クルール戦前半の遊園地っぽい部分のアレンジを、プレイヤーが前進し、船室に入ってヘビのラトリーに変身、そしてメインデッキに出ていくそこまでの時間をピッタリ計算して流すんだ。遊園地で、アトラクションの中から聞こえてくるかのような控えめな音量でね。
画面が切り替わるタイミングに合わせてドラムが軽快に打ち鳴らされ、最高のメインメロディと共にステージの本番が始まる。この解放感はプレイしないとわからないかもしれないが、とにかく最高だ。
ラトリーは操作に慣れるまで難しいから、それに配慮してなのかBGMはとにかく明るくて楽しい。このステージはミスの音まで陽気だ。しかもほかのステージでは流れない、ここだけの曲。その特別感がまた素晴らしいんだ。何から何までが最高に楽しい、それがラトリーに大へんしんというステージだ。
時間の演出はスマブラでは使えないからテンポを上げ音源にパーティ感を出し、途中から結局軽いアレンジのキングクルール戦の後半パートが始まるんだけれども、そこで気が付くんだよね。
「あ! 最初の低音は確かにクルール戦のビートだ!」って。
スマブラはBGMを使った粋な演出も再現したというわけ。
コミュニケーションと普通の人間について知りたい。それはそうと温帯低気圧は海上に逸れました。よかったですね。