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サウナを守るくじらの骨

先日、長野にあるLOGRAFというログハウスを作る会社のプライベートサウナに特別に入らせていただく機会があった。

そのサウナは、日本では珍しいスモークサウナサウナの原点とも言われ、普通のサウナと違って煙突がなく、煙を充満させることで小屋を熱する。充分に熱するためには何時間もかかるそう。サウナを楽しむ前には、もちろんしっかりと煙を抜く必要がある。

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スモークサウナは巨大な燻製器のようなもので、小屋を熱している間に薫製を作ることもできる。そこで作った薫製卵や薫製ベーコンをいただいたのだけど、しっかり薫製の香りが付いていて、塩味も効いていてとっても美味しかった!素晴らしいサウナ飯…!

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サウナを守るくじらの骨

スモークサウナの入り口の上には、大きい動物の骨っぽいものが飾ってあった。

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聞けばこれはくじらの骨だそうだ。「火を使う場所には水のものを」ということらしい。安全を祈願するお守りやおまじないみたいなものだ。

このくじらの骨、ととのい椅子に座ってぼんやりと眺めるのにちょうど良い。火を使う場所には水のものを。小屋は木でできていて燃えるかもしれないし、サウナストーンはものすごく熱くて触れたら大変だ。たしかに、安全祈願のお守りを付けたくなる。

もしかしたら、文字が普及していない時代には、くじらの骨に意味を込めることで「ここは火を使う場所だよ、気をつけてね」という注意喚起のメッセージを伝える役割もあったのかもしれない。火の用心のサインみたいな役割。そういえば、よく囲炉裏の上に鉄や木でできた魚がついているけど、それも同じような意味なのかな…?

「火の用心!」とはっきり文字で書いたり、怖そうな火のイラストで恐怖を煽るよりも、ログハウスのリラックスした雰囲気に合っている。水をあびながらぼんやり眺めていても違和感がない。目立つのにノイズにならないので、自然と目に入ってくるような気がする。

意味を知らないと良い感じの飾りにしか見えないけど、意味を知っていれば、火を使う場所らしさが出て「触ったら熱いかも!」と思うこともありそうだ。


お守りはサインなのかもしれない

「火を使う場所には水のものを」みたいなお守りって、「火の用心」のサインとも捉えられそうだ。それは、何かに守られているというよりも、それを目にすることで自分自身が注意深くなり、結果として安全に過ごせるものなのかもしれない。

そんな風に、原始的なサウナに入りながら、原始的なサインについて思いを馳せたのでした。

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