フリーランスエージェント大手3社の案件をスクレイピングしてざっくり比較してみた

こんにちはおたけいです

私はフロントエンドとしてWebアプリケーションの開発や保守、運用といったものを行っているのですが、エンジニア職に就く前はフリーランスエージェントとして営業をしていました

最近は未経験からエンジニアになる方が増えてきたり、フリーランスという働き方が世間一般にも定着してきたようにも感じます
私のバックグラウンドもあいまってよく聞かれるのが「フリーランスエージェントって使うならどこがいいの?」という質問です
いままでは、主観的に思っていることや感じていることを発信していました

でもきちんとしたデータのもと〇〇系の案件は△△というエージェントがいいよ!、とか☓☓系の業界は□□というエージェントがいいよ!、といったアドバイスのほうが納得感があります。
個人的にも事実と主観的な情報を切り分けて提供したほうがよいと思っていたので、今回は前提となるデータをかき集めてその上でフリーランスエージェントの比較をしていこうと思います

※著作権的に取得した生データを掲載できないので取得、加工したデータのグラフのみのデータの掲載になっています(若干見にくいかもしれませんがご容赦ください)
※データの扱いに長けているわけではないので実態と齟齬がある場合があります、あくまでざっくりの指標として見ていただけますと幸いです。

今回行ったこと
- 主要3エージェントの2020年12月20日現在で募集している案件のスクレイピング
- スクレイピング集計データの加工
- フリーランスエージェントの肌感的な動向

主要3エージェントの2020年12月20日現在で募集している案件をスクレイピングしてみた

主要3エージェントとは
- PE-BANK
- Levtech
- geechs job

いったん上記の3社を主要エージェントとしました。(なんとなく規模感での判断です)。スクレイピングで取ってくる内容としては「案件の数」と「その案件の詳細」です

その案件の詳細とは具体的に

- 案件名
- 単価
- 開発言語
- 作業場所

あたりですこの辺はエージェントによってまちまちなのでざっくりです

上記の内容を取得できるようにプログラムを実装して、そのプログラムを実行してスクレイピングをしていくのですが、この記事ではソースコードは公開しません

取得したデータの概要(案件数)がこちらです

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詳細は下の方で書いていきます

スクレイピング集計データの加工

ここからはスクレイピングで取ってきたデータを加工していきます。
このような複数のサイトで取得したデータを比較するには「名寄せ」という作業が必要になります

こちらのサイトによると


名寄せとは、複数に分散されているデータベースの同一人物、同一企業、同一世帯に対し、同一のIDを付与するなどしてデータを統合すること。
またはその作業。具体的には、顧客を識別する名前、メールアドレス、住所、電話番号などの属性が一致する顧客を「同一顧客」と判別すること。

平たく言うとA社とB社で指しているものは一緒だけど、名前(や命名法)が違っていたりするときにそれをどっちに合わせるか(もしくは新しいものを作るか)といった作業です

今回は言語と場所くらいしか取得していないのでそこまで必要になってきませんが、業界を区切るときなんかは結構大変です

そのため今回は比べられそうなものはそのままくらべて名寄の工数が少なそうなもののみ比較していくこととします

比較前の前提として

前提としてエージェントが保有している案件はWeb上で公開しているものが全てではありません

ものによっては企業との機密保持契約によりWeb上への公開を禁止しているものも多くあります

そのためWeb上でスクレイピングしているものが全てではないという認識のものにていただけますと幸いです

もし実際に自分の希望の作業内容や単価の案件を見たければ実際にエージェントに登録して定期的に案件の配信を受けるのが良いかと思います

案件数の比較

冒頭でも記載しましたが主要3社のエージェントの案件数の比較はこちらです

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量としてはgeechs job社が一番多く、次点でLevtech社、次いでPE-BANK社と続きます

案件の作業場所の比較

案件の量についてはわかりましたが作業場所も見てみます。東京とそれ以外で分けてみました。下記は東京以外の案件の割合です。

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地方の案件は圧倒的にPE-BANK社が多いのがわかります北は札幌、南は博多まで日本の主要都市の案件は大体揃っています。PE-BANK社は全国に10支店を構えておりこれは他の2社よりも多いものとなっています

ここまで全国展開しているフリーランスエージェントは他にはないと思うので、東京以外の地方にお住まいの方で他のエージェントが進出していない地域でフリーランスエンジニアを目指している方はほぼPE-BANK社一択になりそうです

案件の言語別の比較

案件数ではgeechs job社、Levtech社が双璧をなしていましたが 、言語別でみたらどうでしょうか下記にそれぞれのエージェントの言語ごとの案件割合をまとめています。

(今回はキーワードとして多かった11個の言語やFWで比較していますJava、C#、PHP、Python、JavaScript、TypeScript、PHP、Python、JavaScript、TypeScrip、Ruby、React、Vue、Angular、VB、VB.Net)

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ここで注意点ですが、クローリングしたデータだとgeechs job社、PE-BANK社の案件では一つの案件につき複数の言語が割り当てられているために案件数よりも多くの数が言語として登録されています

この点においては比較の改善の余地がありそうですが、このデータだけでもざっくりとした傾向は読み解くことができそうです

Levtech社の案件ではPython、TypeScriptなどのモダンな開発言語の案件が多くなっています。また他のエージェントに比べてReact、Vue.jsなどのモダンなフロントエンドフレームワークを用いた案件が圧倒的に多いことが伺えます

フロントエンドエンジニアの方はLevtech社と相性が良いかもしれません

geechs job社の案件ではPHP、Rubyなどの Web 開発系のバックエンドの案件が多くなっています。 特に PHP は他のエージェントのほぼ倍の数値になっており PHP を得意とするかと相性が良いかもしれません。

PE-BANK社の案件ではJava、C#、VB系の案件が多くなっています。日本全国に展開していることと相まって業務系の安定した案件が多いものと推測されます

PE-BANK社はフリーランスエージェントの中でも最も古くから事業を行っているので、開拓が難しいとされる大手の業務系の案件を多く保有しているのかもしれません

業務系の案件での作業経験が多い方はPE-BANK社と相性が良いかもしれません。

案件の単価の比較

ここが一番気になるポイントだと思いますが主要3社の単価を算出していこうと思います

今回比べた単価は、エージェントのサイトに記載している上限の単価になります

3社の平均単価と中央値をまとめて下記に記載します。

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PE-BANK社のサイトには上限の記載がないものありましたのでそちらは排除して計算しています

最も高いのがgeechs job社、次点でLevtech社、次いでPE-BANK社となっています

geechs job社は案件でも単価の高さでも一番となっています

シンプルに他のエージェントに10万差をつけてるのはすごいですね(営業力の賜物だと思われます)

geechs job社は実はIRから稼働人数や平均粗利を計算できたりするのですがこの辺は興味のある方は計算してみてください(要望が多ければ記事にします)

フリーランスエンジニアはどのエージェントに登録すればいいの

では結論としてフリーランスエンジニアは他のイベントに登録すれば良いのでしょうか

結論としては大手のフリーランスエージェントは全てに登録すべきだと思います

エージェントによって案件の持っている質や量も異なりますし、Web公開されている案件は保有している案件の一部に過ぎないことが多いです。
複数エージェントに登録しておけば案件が決まらずに路頭に迷う可能性も少なくなりますし、うまくやれば相見積もりをとって単価を上げることも可能です(営業泣かせですが。。。)

フリーランスエージェントの肌感的な動向

昨今の働き方改革によってフリーランスという働き方が徐々に世間に認められつつあるのも相まって、フリーランスエンジニアの仲介業も成長をしています。

現にgeechs job社のIRではかなりのペースで成長していることが伺えます

ITエンジニアが世間に不足しているというのは何年も前から言われていますが、フリーランスエンジニアのどことなくネガティブなイメージが徐々に払拭されていると感じます

最近では(最近というほど最近でもないですか)geechs job社が上場を果たしました、またBranding Engineer社も上場を果たし ITエンジニアの仲介業というのが明示的に社会に認知されたような気がします

また、最近ではフリーランスエージェント(や人材紹介会社)の広告費の使い方に変化が出てきたようなイメージがあります
従来の求職者を狙ったリスティング広告から、マス向けのオフライン広告への進出。ターゲットを絞ったSNS広告など幅広いものとなってきています

これはレッドオーシャン化してきたフリーランスエージェント界隈で頭ひとつ抜けるための戦略にも思えますが、これから市場に入ってくるのはかなり厳しくなっていくと考えられます

肌感的な案件の動向について

コロナ禍で減少していた案件数がかなり回復してきたように思います。

業務系の案件でもWeb系の案件でも募集が再開してきて人材と企業の案件の動きもかなり活発になってきました

12月というのは人材も案件もかなり動く時期になっています。これは企業側がクォーターごとに予算を設定することが多く12月末までの契約が多いためです

案件の数としては4月開始のものが一番多く、2月末から3月中旬ににかけてが一番人材も案件も一番動く時期になっています

もし今の現場を移りたいと思ってるのであればそろそろ準備し始めて2月から3月にかけて案件獲得に向けて動くのが良いかと思います

今回のデータ取得ではまだ点でしかデータを追えていないですが、数回繰り返すと言語ごとの動向やエリアごとの動向を見ることができる可能性が高いです

ここに関しては乞うご期待ということで。。。

まとめ

さいごにざっくりまとめると下記の特徴がありそうでした。

- 地方の案件ならPE-BANK
- フロントエンド、モダンな技術の案件ならLevtech
- 案件数重視、さらにWeb系の案件ならgeechs job

次回予告

次回はmecabなんかも使ってワードクラウド作ったり、形態素解析っぽいこともしたいですね。

著作権の関係的に取得データをそのまま添付するのは難しいですが、要望があれば(技術的、リソース的に)可能な限り答えていきたいと思っておりますので、コメントいただけますと幸いです。

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