乳児および神経発達障害におけるチメロサール曝露:ワクチン安全性データリンクのコンピューター化された医療記録の評価【論文要約/解説/和訳】
Thimerosal exposure in infants and neurodevelopmental disorders: an assessment of computerized medical records in the Vaccine Safety Datalinkより引用
この研究では、自動ワクチン安全性データリンク(VSD)を調べることにより、神経発達障害(ND)とチメロサール含有ワクチン(TCV)からの水銀への曝露(Hg)との関連の可能性を評価しました。
1990年~1996年にかけて、VSDで生後3か月までに最初の経口ポリオワクチン接種を受けた出生コホートで合計278,624人の被験者が特定されました。
コホート=共通した因子を持ち、観察対象となる集団のことであり、
出生コホートとは、一定地域に/特定の期間に生まれた全出生児の一群を指す
医学的に診断された国際疾病分類、第9改訂版(ICD-9)固有の神経発達障害(ND)および、対象転帰(転帰=病気が経過して他の状態になること)の出生コホート有病率を計算した。チメロサール含有ワクチン(TCV)からのHg曝露は、出生から7か月および出生から13か月の特定の曝露期間について出生コホートによって計算されました。ポアソン回帰分析を使用して、結果の有病率とTCVからの水銀投与量との関連をモデル化しました。
簡易に説明すると…
特定の地域や期間に育った人の神経発達障害や、その経過/結果から有病率を計算したものである。出生から7か月と13カ月で有病率の計算は行われ…
ポアソン回帰分裂を用いて有病率とTCVからの水銀投与量の関連モデルを作成した。
+ポアソン回帰分裂は稀にしか起こらない現象を考える統計方法
自閉症、自閉症スペクトラム障害、チック、注意欠陥障害、およびTCVからの水銀曝露による情緒障害について、一貫して有意に増加した比率が観察されました。
それに反して、結果のいずれも、TCVからの水銀曝露で有意に増加した率比を持っていませんでした。感染症に関連する罹患率と死亡率を減らすために、定期的な小児期の予防接種を継続する必要がありますが、ワクチンから水銀を除去するための努力を行う必要があります。
つまり、TCVによる水銀曝露によって神経発達障害や情緒障害については一貫して優位に増加したが、個々の病気がTCVからの水銀曝露で優位に増加した比率は無かった。
イメージとしては、TCVによる水銀の曝露においては特定の病気を増加させているのではなく、神経発達障害や情緒障害などの全体の有病率を引き上げたようなイメージかな…。ただし、ワクチンに有害金属を入れて曝露させるという見方をすれば有害金属を神経に直接皮下摂取する事象は残っているわけで…個人的には金属を含まないワクチンとTCVとの比較検討なども確認したいところだ…。
まとめとして…
①自閉症、自閉症スペクトラム障害、チック、注意欠陥障害、およびTCVからの水銀曝露による情緒障害について、一貫して有意に増加した
②個々の病気がTCVからの水銀曝露で優位に増加した比率は無かった。
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