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『北欧こじらせ日記』〜夢を見つけ、叶えるまでの道は美しい〜

海外で働くこと、海外移住することを選択する人は、今の時代珍しくないことだ。
コロナ禍で難しくはなっているという背景はあるものの、それさえなければ難しくないと思う。

物理的には。

ただ、実際にやろうとすると、すごく高い壁が立ちはだかるものだろう。
その壁を乗り越えるのは「好き」「やりたい」「叶えたい」という気持ちだと確信することができた。

「北欧こじらせ日記」 週末北欧部 chika著 世界文化社

週末北欧部と称してTwitterから北欧情報や北欧への思いを発信し続け、ついには北欧に移住し、働いていくことを決めてしまったchikaさん。結果から言うと、憧れの国フィンランドで寿司職人として生きる道へと自分自身を繋いだ人だ。

すごいし、破天荒だな~とも思うけど、その始まりは「北欧、なんとなく好き」「ちょっと行ってみたら、ビビッときた」というもの。そこから社会人となり、実際に働くことに向き合ってから、「やっぱり、北欧、好き」と再確認。自分自身を洗い出しながら、夢を見つけていく。

この本を読んで、牛歩とも言えるけど、「夢を見つけ、目標へと向かおうとする道のり」を、私は「美しい」と思った。

そう、夢なんて、簡単に見つかるものじゃないし、「これ」という目標なんてなかなか出会えない。

chikaさんも自問自答して大好きなフィンランドへ向かう道筋を見つけ、試行錯誤しながら夢の成就への糸口をつかむ。その間には、「夢のモラトリアム期間」があり「週末ギャップイヤー」があった。そこからドラマが生まれていく過程が、なんとも面白かった。

この、「夢のモラトリアム期間」「週末ギャップイヤー」と言う概念。なんて素敵だろうと思った。ぜひ、読んでみて確かめてほしい。

夢を叶えるためにゆらゆら揺れる時間があってもいい。やりたいことを見つけるために、試行錯誤する時間があってもいい。
とかく型にハマりがちな日本社会に必要な概念ではないだろうか。

読後感としては、コーヒーが飲みたくなる、シナモンロールが食べたくなる。そして沈黙を恐れなくなる(笑)。

あと、文章や構成といったところではなく、扱いやすい本でした。
なんかね。パタン、パタン、と読めるのです。
具体的に言うと、本を開いて、片手で押さえなくていいのです。
背表紙をつけず、本が開きっぱなしになるのを良しとしているので手が疲れないんですよ。

背表紙がないってこんな感じ。全然、いい!かわいい!

本を読む楽しさは、文字やイラストを追うだけじゃない。
細部にわたって読みやすい工夫と仕掛けがあるところにも、感動を覚えたのでした。




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