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はじめまして、カウンセリング。

こんにちは。都内のケータリング会社に勤めている、菊地たえこです。

普段の仕事は、空間のデザインをしたり、フードのスタイリングをしたり、オリジナルのドリンクを考案したり…。「食×デザイン」な仕事といったところです。美術系の大学でデザインを勉強し、思いがけなく飲食業界に足を踏み入れたのですが、もう7年くらい、飲食の仕事をしています。食べるのと飲むのが大好きだったので、「食」のことを考えるのは楽しいです。紆余曲折ありつつも出会った今の仕事に、ワクワクと取り組んでいる今日この頃です。

さて、そんなわたしが、ひとつめの投稿に選んだお話が、「カウンセリング」について。

先日、心理職の方々が集まる会で、この話をしたところ、思っていた以上に心理職の方々の反応があって。自分でも驚きました。もしかしたら、わたしの「紆余曲折」の部分のお話が、だれかの心に届くのかも、と思い、今回勇気を出して投稿してみることにしました。

初めてのnote、読みづらい部分もあるかと思いますが、最後までお付き合いください。

「カウンセリングって、洗脳っぽい‥」

心理職のみなさん、ごめんなさい!わたしがまだカウンセリングを受ける前の、一番はじめのカウンセリングに対してのイメージです。

「…だって、密室で一対一で話すんでしょ?人の弱みにつけこんで来たり、わたしの考えをガラッと変えてきたりするんじゃないの?」って思っていたんです。

そしてその後、実際にカウンセリングに2年半通った、今のわたしが思っている印象がこちら。

「カウンセリングって、自分による自分のための整理整頓術を教えてくれる場なのかもな」

です。カウンセラーの人の意見で自分自身が変わるというよりも、本来の自分を困らせている部分から解放されたり、自分が何を感じているのかを自分自身が知るために、カウンセラーの人がアシストしてくれる。こんな感じでしょうか。

カウンセリングを受けたことで、自分自身のことがクリアになった気がしますし、自分の目で物事を見ることが出来るようになった気がします。

寝れない!涙が止まらない!不安でしょうがない!

そもそも、わたしがカウンセリングに行くきっかけになったのは、人間関係のトラブルにより鬱状態となり、休職を余儀なくされるほどの体調不良に悩まされたことからでした。

東京生まれで東京育ちのわたしが、転勤で地方に行くこととなり、慣れない環境、はじめての責任ある立場、そして自分よりも年上の人たちと働く中で、人間関係がうまく築けずに、ネガティブなドス黒い感情が、自分の身体中を支配しているように感じる日々を送っていました。

いつしか、夜眠るときに目を閉じるのが怖い、ちょっとしたことで感情的になり自分で自分を制御できない、不安が襲ってきて怖くて仕方ない、だとか、生活が成り立たないくらいになってしまい…。逃げ帰るように東京に戻り、退職することになりました。

もともと、大好きだった仕事。東京にいた頃は、仕事内容も、一緒に働いていた人たちも、取引先の人たちも大好きだったので、そんな場所に自分がもう居れないんだ、働けないんだ、というショックは、非常に大きなものでした。

精神科、心療内科、行ってみたけれど‥

たしか、退職前に休職する段階で、診断書が必要ということで、心療内科に行ったのだと思います。(東京に戻る前は、地方の精神科に行っていました。)

ここでは、寝れないと言ったら睡眠薬。不安だと言ったら抗不安剤。何に原因があるかを追うのではなく、起きている症状に合わせた薬を出す状態で、目もほとんど合わずに、わたしがどれだけ辛いのか話したくても(聞いてもらいたかった)、「不安状態ですからね」「寝れてないですからね」と、こんな感じ。

こんなんでいいのかな、と思いつつも、気力がないからダラダラと週一で通う日々。毎度出される薬の束に、自分が「イケナイ病気のヤバイ患者なんだ」という気持ちになっていたことを思い出します。

「わたし、こんなに怒りっぽかったっけ?」

ある日、引きこもりがちな私を外に連れて行こうとした母と出かけた時、電車が遅延してて、どの電車に乗るか分からず駅員さんに聞いたら、素っ気ない返事をされた、ということがあったんですね。

その時、めちゃめちゃ私、キレてしまいまして。わたし、普段はそんなことでキレないんですよ。割と言えなくてモヤモヤしちゃうタイプだったのに、2時間くらい怒りの感情がおさまらなくて、周りの乗客のことなんて気にせずに大声で駅員のことを悪く言い続け、挙句の果てにはこんなことで怒っている自分に驚いたのと情けないので涙が止まらない、ということがありました。

このことをおかしく思い、次の診察で話してみると、「もしかしたら、不安を薬で抑えてるから、時々こういうことが起きるのかもしれませんね〜〜」と言われて。

目も合わさずに、しれ〜〜っとこういうことを言って、また種類を変えつつも抗不安剤を出してくるお医者さんが急に怖くなり、その日から薬を飲むのも、心療内科に通うのもやめてしまいました。(心療内科の全てがこうなのだ、と言いたい訳でなく、あくまでもわたしの場合、のお話です。)

通勤電車で涙が止まらなくなった時、ヤバイと思った

もちろん、心療内科に通わなくなって治りました!という話ではなく、この後も不安で息苦しいような日々は続いていきました。

当時、27、28歳。周りの友人は働き盛りでバリバリ働いて大きな仕事をし始めていたり、結婚したり…。今思えば隣の芝生は青い、の状態なんですけれど、周囲の人が普通に(見えるように)働いて、普通に生活を謳歌して(見え)るのが、羨ましくて仕方がなくて。

両親にも「まだ早いんじゃない?」と言われつつも、前に進まなきゃ進まなきゃ、と焦って再就職したり、学生時代の友人にも積極的に会って、「わたしはもう大丈夫!前よりもっと大きな仕事して見返してやるわ!」なんて話したりしていたんです(その帰り道は大抵落ち込んで、そこから数日はものすごい鬱々と過ごしていたんですけどね)。あとは当時付き合っていた恋人にも、半ば強引に同棲を始めさせ、結婚を迫るような状態だったんです。ともかく、この不安だらけでお先真っ暗に見えた現実を変えたくて変えたくて、焦っていました。

あるとき、仕事のトラブルで上司からのラインが来ると、それを読みながら、帰りの電車で涙が止まらなくなりました。今思えばそんなに大したことじゃなかったと思うのですが、自分を全否定されている気がしたのだと思います。泣いている自分に、自分の心のSOSが目に見えたような気がしました。

そのときに「このままじゃマズイ。根本的に治していかなくちゃ、わたしは一生この不安に襲われ続けて生きて行くことになる…!」と、「洗脳」とまで思っていたカウンセリングに行くことに決めました。藁をも掴む、そんな気持ちでした。

そもそもなんで、そこでカウンセリングのことが頭に浮かび、結果的に行くことを決めたのかというと、仕事を辞めて東京に戻った直後の、学生時代からの友人の言葉がきっかけだったんですね。

「肩こりを整体師が診て、こういう姿勢にしたら肩こりになりづらいよ〜と教えてくれるように、カウンセリングは、こういう考え方のクセがあるから苦しいのかもしれませんね〜と、心のクセを教えてくれるような存在なんだよ」

これ、私の人生の中でも、きっと生涯忘れないであろう言葉です。

この言葉をかけてくれたのは、大学時代からの飲み友達である徳田くん(現 フリーの臨床心理士/コーチ Assemble代表)でした。当時から彼が心理学を勉強していることを知ってはいたものの、詳しく心理職について聞くこともなく、その時は自分が通うことになることも、想像していませんでした。

これを言われた直後は、最初にお話しした通り、カウンセリングに対して怖いイメージがあったので、すぐに行く!とはならなかったものの、ずっとこの言葉が心に残っていたんです。

彼に「久しぶり。突然なんだけど、ちょっと今不安でしょうがなくて、カウンセリングに行ってみたいんだけど、紹介してもらえないかな?」。こんなメールを送ったように思います。近くに心理職の友人がいたこと、今思えば、これはとても幸せなことでした。

はじめてのカウンセリング

彼はすぐに紹介をしてくれて、そこから都内のカウンセリングに通いはじめました。当時のことを彼に聞くと、「たえちゃんにはこの先生が合うと思ったんだよね」と、マッチングしてくれていたそうです。

カウンセリングには、自宅から1時間ほどかけて電車で向かっていました。駅から近いマンションの一室。かなり緊張しながらインターホンを押すと、出てきた先生は、同世代の女性で、柔らかい雰囲気を持った方でした。普段会ったら、私服で働くOLさん、といった感じ。とにかく怖い場所、(洗脳してくるかもしれない)年配の男性、をイメージしていたわたしにとっては驚きでした。

精神科、心療内科と、どちらも年配の男性の先生だったので、年の近い女性、というのは、わたしにとっては緊張しすぎずに話せてよかったように思います。

わたしの通っていたカウンセリングルームは、全部で3部屋ほどあり、何人かの先生がいるようでしたが、他の誰かと遭遇することは、2年半の間ありませんでした。心療内科に通っていた頃は、待合室で他の患者さんと一緒になったりして、恥ずかしい気持ちになることも多かったので、これは嬉しかったですね。

「この人私のこと否定しない‥!」

カウンセリングは、1回50分。初めてのカウンセリングでは「どうしてここに来ようと思ったのですか?」とにこやかに質問されました。

50分のうち、45分くらい、言葉に詰まりながらも、自分が不安状態に陥った自分なりの見解をワーーっと話しました。話している間、話を遮らない先生に驚きました。(心療内科の診察では、自分なりの見解なんて話し出しても、すぐに遮られて、それがわたしを否定されているようで悲しくて、いつしかわたしも症状の話ししかしなくなっていたので…。)

ただ、驚きの中で自分で話しながらも「こんな私の偏った意見、ここが変だって後で言われるんだ」って怯えてたんですよね。カウンセリングって、患者の意見を訂正したり、ここはおかしいですよ、と言われるものだと思っていたので…。

怒涛のように話し終えると、先生は「大変でしたね、ここに来て、話すのにも勇気が入りましたよね。大丈夫ですよ、これから一緒に頑張りましょう!」と、言ってくれて。

それまで、わたしが不安だと言うと、親切心からだと思うのですが、家族にも、恋人にも、友人にも「ここはこうしたら?」とか、「辛いのたえちゃんだけじゃないよ」といったアドバイスや励ましを受けることも多くて、それが辛い時もあったんです。(今はあの時助けてくれようとしてくれた人たちに、感謝の気持ちでいっぱいですが。)

不安状態に陥ってから、初めて否定されなかった。初めて話すことの勇気を感じてくれた。そんな風に思いました。この、受け入れられているのかも、といった経験が、その後回復に向かう力として、1番大きかったと思います。心から安堵して泣けたのは、この時が初めてでした。

次回、カウンセリングに通ってみてからのお話。

とても長くなってしまいましたね。続きは次の投稿で。ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

次の投稿では、カウンセリングでどういうことをしていたのか、カウンセリングと周囲の目、わたしが思うカウンセリングに通うことの難しさなど、お話できればと思います。よろしければ、こちらもご覧くださいね。