桜を観てバカを見る

他人から認められずとも己を貫いていただけのはずなのに、いつしか認められるようになり、自分も相手を受け入れてしまう。そんなことあってはならない。何故ついこの間までは自分が如何に周囲の人間と違うのか、センスに溢れた人間であるかを見向きもされずとも誇示していたはずなのに、何故そう簡単に掌を返せるか。

春になるとおかしい奴が湧く。環境が変わり、身の回りの人間がまるっと代わり、凡人は天才となり、天才も凡人となる。変わったなぁとか、そんなんじゃなかっただろとか言われても、今の自分が天才なのだから天才のままいるのは仕方ない。自分が変わったのか、お前らが変わったのか、周りが代わっただけなのに。あの時の自分を本当の自分だと捉えられても、自分からすれば勝手なレッテルでしかないし、そもそも変わらないのも不可能だし、変わらないままなのはマイナスなことなのではないか。それが普通だとか、おかしいとか、その場その場で変わるんだから他人がどうこう言うな。

昨日は満開だったんだろうな、という桜を今日観てきた。桜が一番好きだなんて、そんなの損だよ。月見バーガーが一番好きな奴がバカなのは分かりきってるだろ。確かに月見バーガーは美味しいし、桜は綺麗。でも、そもそも花なんて好きでなくていいんだよ。あいつらどうせ枯れますからね。ハムスターめちゃ可愛いから飼いたいけど寿命短いし。お花見ってなんだそれ。わざわざブルーシート貼って、その上でお酒飲んで、何が楽しい。歩きながらでいいだろって。そんなまじまじと見られても桜さんも困るって。自分にそんなポテンシャル無いって自覚してるだろ。でもお前らがチヤホヤするせいで調子に乗っちゃうんだ。下手におべっか言うのやめてあげて。バカが普通の奴を賢いねって褒めてもそんなの価値は無いし、普通の奴が恥かくだけだから。

桜もみんなも一緒だ。持て囃され過ぎて自分を勘違いしてる。身の程知らずはバカを見るんだ。桜のどこが好きとかどこが良いなんて語れもせず、お花見をした自分になれるから行くだけだ。綺麗な桜を観る汚ぇ理由が道を混ませ、駐車場を埋める。