好きな子を選んで。
お取り置きお願いした古本を買いに、庭文庫へでかけた。
末っ子の入園式と、もらっていた補助金の実績報告と、明日からの保育園×仕事のやりくりを考えただけでぐったりなのに出かけてしまった。
インスタで、「薔薇を入荷しました」と見かけたからかもしれない。
別段薔薇が好きなわけでもないけれど、この頭が目一杯な状況を何か浄化してくれそうな気がした。
庭文庫は坂の上にある。
私の運転、駐車技術でワンボックスカーを店の前まで上げることは危険すぎる。
だから、少し、歩く。
坂の途中、花が落ちていた。
花ごと落ちるのは、椿だったか、山茶花だったか…
この坂道を歩くだけで、少し心が落ち着く。
物語が始まる感じ。
お店の前で「藍を植えてるの」とみきちゃんが迎えてくれた。
中に入ると、ベビーベッドに赤子が。何ヶ月だっけ?お座りしてるから…9ヶ月くらい?
店主ももちゃんの姿が見えないから、赤子に話しかけながら、店内をぶらぶら。
なかなか現れないので、奥を覗くと、珈琲を淹れていた。
古民家のピリっとひんやりした空気。
それとは対象的にゆるい庭文庫の人たち。
ふたりを見ながら育つというか、
もう3人が当たり前というか、
赤子の育ちを想像してみる。
もちろん、わかるはずもないけど。
想いを馳せるのは自由。
本を受け取り、薔薇をお願いした。
みきちゃんはニコニコして
「せっかくだから、好きなのを選んで」
と言った。
ちょっと、ドキッとした。
小学生の頃の『花いちもんめ』が思い出された。
人気者が行ったり来たりする。
あの頃の私は、遊びよりも、自分が選ばれるかどうかが気になっていた。
今の私は、遊びよりも、選ばれてない人はいないかに気を使いすぎて疲れそうだ。
結局、気になった薔薇をひとつ伝え、その薔薇に絡まっていたものと合わせ3本買った。
薔薇に気を使ったわけでなく、くっついているのを引き離さなくてもいいかな、と思ったのだけど、それも気を使っていたのかな。
ただ、本を買う、花を買うだけで、
色々な考えが、枝のようにあっちにもこっちにも展開した。
エイヤッ!と行動したおかげかな。
それ以前から何か繋がっていたのかな。
そうそう、お取り置きの本は、梨木香歩さんの『マジョモリ』。有名作家さんの本でも絶版みたい。
本の4割は数年で絶版になるんだって。
ももちゃんが教えてくれた。
「ほしい本は買っておいたほうがいいよ」
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