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独学の道も一歩から|独学大全

今回読んでいる本はこちら▼

本書は、独学を始めようとする人を支援するための本だ。しかし、同時に独学者に対して手厳しい。
まずその分厚さが、独学者を全力で威嚇してくる。「君が今から登ろうとしている山はこれだ」と。立てれば自立する本書は、ページ数にして索引を除いて752ページ。同じくらいの分厚さを誇るのは、家庭の医学か六法全書か広辞苑くらいという強者だ。

めくると、「無知くんと親父さんの対話」という挿絵付きのコラムからスタートする。なんだ読みやすそうじゃないか、と思うや否や、親父さんが無知くんを通して独学者諸君の胸の内を見透かし、ボディーブローを効かせてくる。

親父さん:いいか、ダイエットを試みると長期的には必ず体重が増加するのと同様に、独学というのはほぼ確実に挫折する。
(p4)
誰かが勉強できない最大の理由は、勉強にそれだけの時間を配分していないから、もっと言えば、人生の中で勉強の優先順位を高くするのに失敗してきたからだ。
(p5)

独学を志してすぐの初心者には、なんとも厳しい指摘だ。何よりもまずは「月へ行くような大事業を成し遂げながらダイエット一つままならない度し難いヒトという生き物を知ることが必要(p 11)」とのことで、ヒトの仕様が序文で解説される。

二重過程説である。

二重過程説(Double Process Theory)は、ヒトの認知や行動は大きく分けて二つのシステム(プロセス)から形成されるという理論である。
(p 13)

システム1は、ヒトがサバンナで暮らしていた頃に必要だった生命維持装置である。システム1は高カロリーなものを発見すれば、直ちにできるだけたくさん摂取するよう促す。
それに対して、システム2はより高次な思考が可能な認知機能である。システム2は、高カロリーなものをたくさん摂取すれば、体重が増加することを予想できる。

このようなせめぎ合う2つのシステムを理解した上で、うまく付き合いつつ、独学の道を歩もう、と本書は語る。

厳しさの中に、独学者への愛を感じるのが、本書の魅力の一つだ。

今日読んだのはこちらの序文の前半▼


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