推しを産んだ話

自分の周りがあまりに出産ラッシュなので
自分の出産時の記録を公開できる形で残しておきたいなと思いこの記事をあげることにしました。

ちなみにタイトルにある「推し」とは、我が子のことです。
各界隈に自分の推しはいるけれど、今一推しなのは我が子です。(This  is 親バカ)

この記事上では、我が子のことは「太郎」と呼ぶことにします。
ちなみに太郎とは我が子がまだお腹の中にいる時に呼んでいた胎児ネームです。

太郎が我が家にやってくるまでの道のりは平坦ではありませんでした。
と言っても、めちゃくちゃ厳しい道のりではありませんでした。

若いから、高齢だから、子供ができる出来ないではない、男性女性どちらでも子供ができにくい原因になりうる、ということをこの記事を偶然見かけたあなたの頭の片隅においていただけたら嬉しいなと思い長々と書き記そうと思います。

結婚して2年半、妊娠を意識して夜を過ごしたりして1年。
私たち夫婦は共に24歳でした。
「若いからすぐ妊娠するだろう」という私たち夫婦の認識はどうやら間違っていたようです。
別件で訪れた婦人科で、こう聞かれました。
「子供は欲しいと思う?」
欲しいとは思う、でも授かりものだし、できないのは仕方ないかな、と思っていました。できなかったら、犬でも飼おうかな、いやトカゲがいいかな、なんて話を夫としていた頃でした。
「ホルモン検査してみないか」
小さなの婦人科で、軽い気持ちで受けたホルモン検査の結果、私は男性ホルモンが女性にしては多いそう。
妊娠できない訳ではないけど、ホルモンのせいで排卵がうまくいっていないかもしれない、と言われました。
子供がなかなかできない原因は私にあるなんて、まさか思っていなかったのです。
私の勝手な認識で、高齢や婦人科系の疾患がある人ができにくい、そう思っていました。
四捨五入すれば20歳、婦人系だけでなく身体中どこにも疾患がない私は、Sexをすれば子供はできると、すぐにできると思っていましたが、その認識自体が間違いでした。

排卵促進剤を使用したタイミング療法で、妊娠を目指すことになりました。
このことを夫に報告すると、自分自身にも原因があるかもしれないから、と自分自身の検査に行ってくれました。
ちなみに夫サイドの検査結果はすこぶる良好。
精子の量は通常の2倍、運動量も問題はなく、2倍という結果には医者も思わず笑ってしまったそうです。
この報告を通勤中の電車内で聞いた私は思わず吹き出してしまい、危うく不審者になるところでした。危ない危ない。

今まで性交渉を持っていたのも関わらず、妊娠に至らなかった原因が自分にあるということがわかり、さあ治療を始めましょうというタイミング。
私が使用した排卵促進剤は、糖尿病に注意する必要があったらしく、近い親族に糖尿病の人がいないか聞かれ、即答ができなかったので親に連絡をしました。
こういう理由で子供ができにくく、こういう薬を飲むことになってね…
「子供といえば、親戚の○○ちゃん、もうすぐ子供が生まれの知ってる?」
※○○ちゃんとは幼い頃から仲良くしている親戚※
うわあ、すごいタイミング。正直、その電話の後私はどうやって家に帰ったか覚えていません。
ただ、めちゃくちゃ泣きながら電話しているのを親にバレないようにしていたのだけはすごく覚えています。
その報告、今じゃないんだよな、とか。なんで私の方が若いのに、とか。
悔しい思いと、素直にめでたいと思えない自分への苛立ちと。
家に帰ってからは、夫に支えてもらいながらまるで子供のように声を上げて泣いたことは覚えています。
今なら、しょうがないよ、大丈夫だよ、と過去の自分に言ってあげられますが、当時はそれどころじゃなかったな〜

タイミング療法を行うこと約半年。
薬を使えば、すぐにできると思っていたのにすぐに妊娠に至らない苛立ちを、推しのコンサートに行くことでかき消すような日々を送っていました。

そして時は来ます。

夜中、夜勤に向かう夫を送り出し1人で寝ていた深夜2時。
腹痛で目が覚めました。生理痛のめちゃくちゃひどい感じ。
男性にわかりやすく伝えるならば、超絶下痢している感じ。
腐った海鮮物でも食べたんですか?みたいな。食べたことないけど。
今思い返せば、陣痛よりこの時の腹痛の方が痛かった気がします。
もうすぐ生理になる頃でしたし、今回は生理が重いのかな、なんて思いながら布団から這って出て生理痛用の痛み止めを飲んで、それでもしばらく痛かったのですが、痛み疲れのような感じで眠りにつきました。

そんなことがあった翌々日。
私は北海道へ。親の付き添いで嵐のコンサートのために北海道にいました。
まさか人生初北海道が嵐のコンサートになるなんて。
そして、嵐って恐ろしくてまさか第4希望の北海道が当選すると思わずとていなかったので、飛行機もホテルも全然取れなかった…

まあそんなことはどうでもいいんです。

北海道を弾丸1泊2日で過ごし、雪降る北海道からまだ暖かい関東へ帰宅した日の夜中。事件は起きました。

あの腹痛が再びきたんです、しかも一晩に2回。

最初はまた前回と同様だろうと思い、布団でただひたすら耐えました。
1時間ほどで回復したので、今度内診で婦人科行くときに聞いてみようかな、くらいに思っていました。
が、その1時間後。再び同じような腹痛に襲われました。
おかしいな、前回は一度で治ったのに。
待てよ、もしかしてこれはまじな下痢?お手洗いに腰掛けて考えました。
出てないけど、夕食として食べに行った居酒屋の焼き鳥が生焼けだった?
いやでも、食中毒的な症状出てないし、何より一緒に食べた夫はなんともなく爆睡している。
そう頭で必死に考えているうちに、痛みが一切引かず動けなくなってしまいました。
まだ夜中の3時とかだったよな、夫が翌朝出勤のために起きるのは6時。
それまでこのまま耐える…?いや無理でしょう。
お手洗いの隣が寝室なので、壁を必死に叩きました。
マンションなので上下左右近隣の皆さん、あの時は深夜にご迷惑をおかけしました。
聞こえてなかったと思うけど。

「…え、大丈夫?」

恐らくすごい形相だったんでしょうね。
起きてきた夫は背中を摩り心配してくれましたが、正直摩っても良くなるわけはないので、布団に連れて行ってもらおうとしました。

が、夫が取り出したのはスマートフォン。
この日の昼間に、前回の腹痛の話や、検索して子宮外妊娠なんてことがあるんだって、なんて話をしていたのを覚えていたようで、さすがに何日も動けなくなる腹痛が続くのはやばいでしょ、しかも痛みに強いあなた(私は痛みにかなり強い体質かつ我慢強いので様子がおかしかったそう)が、と#7119に電話してくれました。
※#7119とは救急車を呼ぶかどうかなどの判断を仰ぐ電話。
 地域により電話番号や運用が異なるので、利用の際は調べてください。※

電話の向こうの担当者が言うには、一刻も早く救急車を呼んで病院へ。

え、そんな重症?私が?腹痛以外は問題ないんだけどな…
と言うのが私の感想ですが、夫が電話で排卵促進剤を服用していることなどを伝えてくれていたそうで、電話の向こうの担当者は真っ先に子宮外妊娠による卵管破裂を疑ったそうです。
もうなんか、みんなありがとう。

お手洗いから這い出るように布団に移動し、着替えていると聞こえる救急車のサイレン。
電話切ってから5分も経っておらず、お腹が痛いのも忘れ、着替えてない!っていうか保険証持ってなくない?財布は?戸締りは?大の大人2人が大焦り。
そんなことをしていたらなんだか遠のく腹痛。
救急車って、今からキャンセルできないっけ?と思ったのとほぼ同時にピーンポーン、救急隊の皆様が登場です。

症状を聞かれ、ずいぶん楽になちゃったので、明日の朝にでも自分で病院行きます、大丈夫だと思います、と答えたものの、症状と服用している薬的に一刻も早く病院で診てもらった方がいい、それでなんでもなければ安心じゃないですか、と。

強面の男性にそう言われると断れず、マンションの5階から1階まで歩いて移動し、申し訳ないですを連呼しながら救急車へ。
婦人科の救急なんてなかなか見つからないようで、救急隊の方片っ端から電話してくれている…申し訳ない…
もう一方では私の血圧測ってくれているんですが、低すぎて救急隊の人の方が顔青くなってるじゃないか。
元々、80/50とかが平均なので、その時も80前後と50前後で私と夫的にはいつも通りか、と思っていたんですが、叩き出される数値に、もしやもう破裂して出血してる?一刻を争う事態では?と救急隊の方めちゃくちゃ焦ってました。
いつもこんな感じです、とは伝えたんですけどね。それでも低いですよ、って。

そんなときに限ってなかなか病院が見つからず、一番近い救急病院は手一杯だと断られたようで。
ようやく搬送先が決まったのは乗り込んでから30分後くらいだったかな。
高速爆走し、進路妨害する一般車に運転担当の方ブチギレ。
温厚そうに見えたのに、すごい怒ってたな…

搬送先の病院の距離感がわからぬままストレッチャーで運び込まれ、血液検査に尿検査に、婦人科だから内診して。
(ああムダ毛処理甘いのに今、って思ってましたごめんなさいね)
検査結果がすぐ出ず、なんか死にそうな人や心配そうに部屋を見つめる人の横でベンチに夫と腰掛けて待つこと十数分。

診察室に呼ばれ、話されるより先に電子カルテ覗き込むと
「妊娠反応:陽性」
先にドッキリの結末知っちゃった、みたいな感覚です。

医師から言われたのは、妊娠している。
週数が早すぎて姿は確認できないが、尿検査と血液検査の結果的に間違いない。
ただ卵管に腫れが確認できるので、異所性妊娠(=子宮外妊娠)の可能性が極めて高い。
このまま入院するか、一旦帰宅してもいいけど異所性妊娠だった場合、破裂すると体内で大量出血し失血死する。必ず翌明朝にかかりつけを受診すること。
と言われました。
搬送先の救急病院が家からまあまあ遠かったので、とりあえず帰宅させてもらいその日は仕事を休んでかかりつけの婦人科へ。
始発から数本後の京浜東北線って、こんなに混んでるんですね…
部屋着のジャージで救急車に夫婦共々乗ってしまったので、平日早朝の通勤電車で浮きまくって帰宅しました。

そして寝ずに(というか眠れず)そのままいつもの婦人科へ。
搬送先の病院で言われたことをそのまま伝えると、
「この病院では異所性妊娠だった場合の治療ができないから、近くの大きな産婦人科がある病院に紹介状を書くからなるべく早めに受診してね。」
仕方ないのです、街の小さな婦人科(分娩不可)だから。
紹介状片手に、翌日その病院へ向かいました。
そこで言われたのは、確かに陽性で初期だから胎嚢の確認もできない。
ただ、異所性妊娠ではないと思う、一週間後また受診してください。
あれ、違うの?どうやら卵管の腫れが引いていたようで、恐らくちゃんと着床しているのでは?とのことでした。

妊娠できた喜びと、異常がある可能性が拭いきれない不安を抱えたまま過ごすこと1週間。宗教とかあまり信じないタイプですが、この時ばかりは夫婦揃って神頼み。徳を積もう、とか言って水回り掃除したり。今更遅いんですけど。
再び夫と受診したところ、ちゃんといてくれました、子宮内に。
さすがにまた心拍までは確認できないけれど、子宮内に丸い黒いものが。
医者の前では冷静を保って診察室を出ましたが、待合室で待つ夫の顔を見た瞬間に笑顔が溢れました。
ただ、マスクで私の顔が見えておらず、夫は「ダメだったんだ」と思ったそう。
耳元で「できてましたよ」と伝え、そっとエコー写真を渡すと、え泣いてる。
大の大人が、公共の場で涙流してる!?
普段涙を流すような人ではないから、本当に嬉しかったんだな、と思いました。
そしてその翌週かな…?いつものかかりつけの婦人科で6週ごろに心拍を確認し、とりあえず一安心。

しかし、安心したのも束の間、今度はつわりに襲われます。

でもそれは長くなってしまうので、一旦ここまで。
長文をここまで読んでいただきありがとうございました。
よかったら続きも読んでくださると嬉しいです。

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