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時刻合わせ

「10時48分?今、何分?」

母親が持ってきた目覚し時計と格闘していた父親がこちらを向いた。

「33分。」
「あー、だいぶズレてるな。」

どうもスイッチも死んだらしい。彼は暫く文字盤と睨めっこしていたが、諦めて別の目覚し時計を探しに部屋に引っ込んだ。母親もそれについてリビングを出ていく。笑いながらそれを見送り、もう一度リビングの時計を見た。

私のもだいぶズレてる。何、目覚ましの話ではない。所謂体内時計ってやつだ。長い付き合いの不眠症は、先日入院したあたりから悪化し始め、冬休みに完全体となって私の安眠を妨げていた。眠くなっても寝れない、昼寝すらできない。限界まで起き、寝落ち、昼に目が覚める。そんな2週間だった。こうなると頭は常に冴えないし、課題を半ば無理やり進めるか、スマホと友となるか、ラップを聴きながら壁を眺めるか、スマホと友となるか、スマホと友になるかといったくらいしかしていない。元日だけは人間の友と気張って遊びに行ったが、まぁそれくらいだ。

私のもだいぶズレてる。

体内時計にとどまらず、意識は常に頭上5センチあたりを漂い、脳みそに納まっていない。

切迫感も後方5センチあたりを漂い、胸に迫ってこない。やる気はない、金もない。なんか、まずいなぁと思わないでもないが、それも足元に転がっているだけで触れてこない。

どうしたものか。明日から学校だという事実すらカレンダーにあるだけで私の頭には入り込んでこない。何度かつまみ上げて押し込んでみたのだが、なんか、まずいなぁと足元に落ちるだけである。

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こういうメモを沢山ストックしていて、気が向くとそこから短編なり長編なり書いたりします。今回のはもうこれを小説に加工することもないかなぁと思いつつ捨てるのもアレなので、とりあえずnoteに上げてみました。書いたの多分今年の1月とかだな。半分日記っぽい。

気に入って頂けたらサポートおねがいします、 野垂れ死にしないですむように生活費に当てます…そしてまた何か書きます……