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放送局の経営計画、シンプルな考え方

ピンチをチャンスに変えつつあるアメリカのテレビ局

昨年末の映像新聞に興味深いグラフが載っていた。12月5日付の号のP4「攻勢・米TVネットワーク」と題した連載記事の二回目。B5G DXコンサルタントの奥村文隆氏が書いたもので、アメリカのテレビ局がコードカッティングでピンチを迎えているが、ストリーミングに注力することで逆に売上が拡大しているとのレポートだ。その記事に添える形でこんなグラフがあった。

このグラフは、薄い棒が「リニア」濃い棒が「コネクテッド」となっている。つまり放送収入の上にデジタル収入を乗せているのだと思う。2021年までは実績値で、2022年以降は予測のようだ。
ひと目でわかるのが、放送が微減でもデジタルがぐんぐん伸びればカバーして余りあることになりそうだ、ということだ。
今、キー局もローカル局も日本中のテレビ局が放送収入の激減にうなだれていることだろう。何か新しいことをせねばと躍起になっているだろうが、やるべきことははっきりしている。上の図のようにすることだし、デジタル収入の獲得にいますぐ動くことだ。「ネットは儲からんじゃないかね!」と言われそうだが、現にアメリカでは伸びている。それを示すのが上のグラフだ。アメリカに5年遅れている業界なのだから、これからグラフのような状態を目指すべきだろう。ネットは儲からないのではなく、儲け方がわかってなかっただけだ。接触時間が長いところがメディアとして広告収入を得られるはず。そっちへ行くのが遅れすぎていたのだから、そっちに突き進めばいい。
ネットへ、と言っても闇雲にスマホ向けのサービスを開発したりする時ではない。上のグラフにもある「コネクテッドTV市場」が今出現しつつある。テレビ局はテレビ画面を取りに行くべき時なのだ。
さてテレビ局は上場しているキー局を除くと中期経営計画作成にあまり真剣に取り組んでこなかったのではないか。作っていたとしても身内の株主企業に対して「来年も伸びます」とさほど根拠なく言うために数字の辻褄を合わせていたと想像する。
だが経営計画は何よりも自分たちのために作成するべきものだ。このタイミングできちんと作成し、社員と共有して力を合わせて計画実行に立ち向かうべきだろう。
ここでそのシンプルな考え方を示してみよう。

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