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海がみたくて松川浦まで行った【山の日2022】

一週間もの夏季休暇

ことしもお盆の時期になり、わたしの勤務先も7日間休みになった。

事前の計画では、アパート裏でまったりゆったりバイクの軽整備でも…と思っていたけれど、前後ともタイヤ新品にして、任意保険料払ってしまうとお財布の中身は、はや秋風が吹くが如し。
とりあえず自由に使える、というか大した額ではないガソリン代くらいはなんとかなるか。
それにコンタックスTに入ってるフィルム、まだ9コマしか写してない! 
天気はどうやら週末にかけて崩れる…台風が接近するというではないか!
これはきょう行くしかないな。
目的地はもちろん海側。山の日だけど。
ということで朝ゆっくり起きてから朝食をはさんでグーグルマップで所要時間を調べてみる。
最初考えていた宮城県内もよさそうだったけど、前にも書いた、生まれてこのかた行ったことがない国道6号方面、列車でいえば常磐線沿線どう? と思って、紙の道路地図で職場の休憩時間にみて気になっていた相馬市附近を検索したら、1時間半程度で着くらしい。
よし!というわけで遅すぎだけれど、朝10時出発。

のんびりした国道6号線

仙台駅から「常磐線」の列車に乗っても、岩沼駅までは東北本線を走るように、仙台からいきなり国道6号線になるわけはなく。
若かった頃「秋田新幹線ってなんで岩手の方から行くんだろうね。仙台から真っすぐ作ったらいいのに」と言っていた人がいた。地理に疎い人の発想だねと当時から思っていた。世のなかそう単純には運ばないし、地形的なことや地域間の人的交流とか、いろいろあってのルート選定なのはみなさまおわかりでしょう。閑話休題。
岩沼の6号線との分岐附近で、左折レーンに入る瞬間〈4号・6号→〉と路面に書いてあるのがみえて、実は手前の交差点で市道へ曲がってしまったのは内緒である。すぐUターンするも5分ロス。
走行中ゆえ写真撮れてないのだが、4号から分かれてすぐに阿武隈川を大きな橋で渡る。この雰囲気が良い。もちろんべったり脇見とか論外であるので実際行かれる際はご注意あれ。
人間の視覚というのはよくできたもので、視野の中心から外側の雰囲気、空気感みたいなものも見たような気になるからいいものであるが、ずっと卑小なことを言うと、できればGoProとかのアクションカム、でなければハンドルバーにデジ取り付けるアームが欲しい。停車してカメラ取り出すわけにはいかない場合が多くて特にそう思う。

6号線自体は海岸線からより内陸を通るようなので、それ以降は特別絶景ポイントはなく平凡ながら緑の濃い丘を切り通しで越えたり下ったりする。
被災地ではもう見慣れてしまった「この先過去の津波浸水区間」「過去の津波浸水区間ここまで」の看板もなんども見かける。
またこの日たまたまだったのかもだけど、はるか前方、5台くらい前を行く大型車がじつにのんびり、制限速度でてる? と思う程度で走っていても、追い越しかけたり(追い越し禁止だけど)車間詰めたり煽ったりする車がいなかった。そのうち新地町から福島県に入ってもほどほどのペースと交通量なので、仙台から来たおしゃまは「みんなお行儀が良くていいなあ」と感心していた。話が前後するけど帰りに車間距離詰めてきたス…ばらしいと評判が高い車は仙台ナンバー、ゾロ目番号でさもありなんと思った次第。

釣師浜から海側へ! そして松川浦へ

見事にレベルが出ていない
なんとなくレベルがでていない

ところどころでかさ上げされて高架区間が多くなった常磐線、途中で視界に入ることもあったが、新地駅あたりでようやく海側に針路を向けると、急に空の広さを実感する。
防潮堤の上を越える道の脇でエンジンを止めて一息つく。
ことしは海水浴場再開したところが多い。
もうお盆近いからか、他の理由なのか? 震災前みたいに鈴なりではないけれども、砂浜に人影がぱらぱら見受けられた。
高揚していたのか逆に気が抜けたのか、Tを構える手がどことなく傾いていた。水平線を撮っておいてこれはけっこう致命的ミスですな。

釣師浜つるしはま港の向こう側には、相馬の火力発電所らしきものも見える。
一旦防潮堤の内側の道から、松川浦へとまた走りだす。

現像するまでわからないのもどうかと思うが、激しくレベルが出ていない。
海沿いの道、路側帯に停車して、ちゃんと降りて撮影したのにこれでは。

どこかミステリアスな雰囲気のある横道を見つけて戻ったはいいが、撮影後この道の奥へ走っていくと、なんてことはない元の道に出た。旧道なのだろう。

そして相馬の港…漁港ではなさそうな岸壁近くへ行こうと思ったら関係者以外立入禁止とあり引き返し、公道をさらに行くと、いよいよ松川浦である。

「海の駅」なる観光物産館のすぐ近くにそびえる松川浦大橋。
残念ながら渡ってもその先は工事中で大洲おおず海岸へは行けず、また戻るしかないのだけれど、向こう側にも漁港の岸壁と砂浜があり、とても美しい光景がひろがっていた。

小さく灯台がみえるところが鵜ノ尾岬というそうである。

人影まばらな漁港で、初チェアリング

松川浦大橋の下をくぐり、西側にまわると「旧」松川浦漁港というのかな? 岸壁に白い漁船がずらり船尾を向けて繋留されていた。

ここでコンビニで仕入れてきたお昼をいただく。
こういうシチュエーションを夢見て、ホムセンで1,000えんちょっとの積載可能な大きさに畳める「トレッキングスツール」という椅子を買ってあったのだが、この日初めて使うことになった。

真夏ゆえ暑くてそれどころじゃないかもと危惧していたが、ご覧のようにちょっとではあるけれど日蔭をつくって、人生初チェアリングとしゃれこんだ。

ここは立入禁止の看板もなく、ほかには親子連れか孫を連れてきたかという感じの家族が釣りをしているだけ。

近くには造船所?というかドックがあり、漁船が一隻入っていた。

間近から見上げると大きいもんだね…

んで、このドックは一風変わっていて、船を海から上げたりその逆をするために敷設されたレールが、踏切よろしく道路を横切っている。

少なくともおしゃまにとってはカルチャーショックだった。
船を出し入れするとき、通行車両にはお待ちいただくのだろうか。気になる。

給油所をもとめさ迷い、帰り道ひまわり畑に遭遇する

おしゃまの乗るバイク、燃料タンク容量はカタログデータで5.5リットル。
通勤など街乗りばかりだとリッター40kに届かないこともある燃費、だいたい遠出すると良くなる。
仙台から松川浦、片道60kくらいの距離で、思えば仙台から石巻行くのとあんまり変わらん。
とはいえ、一応帰りのガソリンは補給しておきたい。
6月に盛岡行ったときは、仙台市内泉区で給油してから盛岡市内の見前みるまえまで無給油で走ったが、4リッター超を飲み込んだので結構ヒヤッとした。
相馬市だと計算上は問題ない距離だが、給油は前の日の朝、で当日すこし遠くのショップまでオイル交換に行ったこともあるし、地図上でも往路の実感でも、給油所が仙台近郊や4号線沿いのように乱立していないので、心理的には気になる…しかもこのバイクには燃料計なんてものはないのだ。
gogo.gsなる給油所とガソリン価格がわかるアプリを最近使い始めたのだが、相馬市内だと価格表示は--、しかも数が少ない。
松川浦のエネオスはみごとに休業。アポロは開いているがわたしゃ利用しないのだ…楽天ポイントカードはおろか、楽天市場もイーグルスの試合も一切縁がないまま生きてきたのでね(他の理由はググればわかるはず)。
で相馬駅ちかくの、なぜか6号線ではない相馬バイパスのエネオスで入れてもらったが、直前そのバイパスを越えて市街地に入ってしまい、アプリをみるため停車中にこんな写真をTで撮っていた。

アバンダンハウス
つなぎ方が微妙な謎ハウス

結局海沿いの県道38号線へ戻る途中に、釣師浜SSというのが開いていた。
なんか手持ち無沙汰な雰囲気を漂わせていた。

オイルショックの頃に生まれたおしゃまの子ども時代、日曜休日は給油所休みが当たり前だったりした。1980年代前半くらいまで、そうだったのではないか。24時間営業GSなんて比較的最近のものじゃなかろうかと、利便性にどっぷり浸って疑問にも思わなかったわたしに思い出させてくれた。

そしてそして。
海沿い、とはいえやはり内陸寄りに移設されたっぽい築堤道路を宮城県の亘理まで北上したが、こっちは国道6号に比べて流れが速いのだ。
県境を越えると、海側に黄色い地帯が一瞬目に映り、「ひまわり祭会場→」の看板、すこしフィルムが残っていたので寄り道する。

最初は未舗装の駐車場に入る気なかったのだが、花はみな海の方を向いてるので仕方なく入り、バイク停めてほんの一瞬で撮影して会場をあとにした。
余禄というにはできすぎなひまわり畑だった。

雨男化か、熱帯化か

海の日ではなく山の日なのに海をみに出かけてきた。
山の日制定した政府へのあてこすりみたいだと思う人もいるだろうけど、結構海辺は賑わっていたので、それもあえて否定しないでおこうか。
しかしながら、この旅にはもう一波乱あった。
亘理町内で6号に戻る直前、降ってきたなと思い雨対策をして走り出したら、雨がカチカチ音を立てて降るのだ。
雹だ! ヒョウだ! 8月に雹なんて降る?
コンビニの軒下に駆け込んで、十数分雨宿りさせてもらったのは言うまでもない。
ただでさえ熱くなっている空冷エンジンには水分があたって水蒸気が…熱いエンジンに水をかけるのはキケンときいていたので、かろうじて難を逃れた。

この夏のおしゃまのnoteだけで何回雨に遭ったか。
お前が雨男化したんだろうと言われるかもだけど、それを言ったら国民みんな雨男雨女になりはしないか。

そう思いつつ4号に戻るころには雨も、もちろん雹も止んでいた。
陽がさしてきて、暑いのですっかり乾いたレインスーツから自らを解放し、旅のおわりが近づいてきた。

*おまけ* コンタックスTの、数少ない弱点についても

いつもの写真屋さん(カメラ屋さんではない方)で現像→スキャンしてもらったのであるけれど、店主が1コマあたりほぼ一瞬でプラマイ補正をかける術を毎度みているが到底真似できるものではない。
今回のネガは、夏の屋外晴天下での撮影で、f8~16まで、つまりこのカメラの限界まで絞り込んだりしたのだけれど、そのままでは相当ハレっぽかったようである。補正をかけて今回の記事に使えるレベルになったというべきか。
今回も富士のISO100を使ったが、400だったら今回のような場面では常に露出オーバーになってしまう。
シャッタースピードが1/500MAXであるのなら、f22まで絞り込めれば良かったんだけどなあ……とないものねだりしてもしょうがないので、レンズフードを付けられないTの裏技、フロントのフラップをフード代わりにする、すなわちカメラを上下逆に構えたりすることも有効かも知れない。今後の課題としておこう。

※この「裏技」については、地震学者島村英紀氏のホームページに記載があるので紹介しておきたい。辛口だけれど経験に裏打ちされた批評でもあり、読み物としてもおもしろいと思う。
「島村英紀が撮っていたカメラ1」http://shimatokyo.html.xdomain.jp/oldcameras.html

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