子供の発達を知ろう【指差し編】
私は、言語聴覚士という「ことば」や「飲み込み」の専門職をしています。
先週から児童発達施設に復帰し、特性がある子供たちの療育に携わっています。
子供の発達を知ろうシリーズとして、今日は【指差し】についてまとめてみたいと思います。
✅指差しとは
指差しというのは、興味のあるものや、欲しいものに対して人差し指を向ける行動を言います。
これは、子どもの発達段階においてとても重要です。
1歳半健診でも必ず確認される項目となっています。
なぜかというと、ことばが始まる前の土台として必要な能力だからです。
最初は、「相手と目を合わせて笑う」という二者間の関係しか持つことのできなかった赤ちゃん。
指差しを使えるようになると、「自分と相手ともうひとつ」という三者の関係を持てるようになります。
この三者の関係(三項関係)が成り立つことよって、子供は言葉を覚えていきます。
指差しは、
・興味をもつ力
・共感する力
・他人の意図を読み取る力
など、子どもがどの力を獲得したのかを示す目印になります。
✅指差しの段階
身につけた力とともに、指差しが持つ意味は変わります。
☑️指差し前のサイン
始まる前段階として、大人が指した方向や物をみようとする行動があります。
指さなくても、大人が見た方向に目を向けて一緒に見ます。
これは、相手が興味を向けている方向になにかがあると予測する力が身についたというサインです。
☑️興味の指差し
自分の興味や関心があるものに対して指差しをする段階です。
視野が広がり、相手の見ているモノに対して自分も興味を向けるようになってきます。
指差しをする時に声を発したり、お気に入りの一定の物はいつも指したりする様子が見られます。
三者との関係はだいぶ築きあげられていますが、まだ自分とモノという二者関係の世界が強い時期。
☑️要求の指差し
この段階になると、興味から自分の欲しいものという欲求や要求を示すために指差しを使うようになります。
指したものを「欲しい」という気持ちを表すことができるようになった最初の段階ですね。
自分の欲しいものを手に入れるために他者を使う行為や身振りを「原命令」と言ったりもします。
☑️感動の指差し
「叙述の指差し」とも言うこの段階。
パパが仕事から帰ってきたのを見て嬉しくて「あーっ!」と指で差すような、子どもが心の動きを大人にアピールするときの指差しです。
他者の注意を引くためのものなので、相手が反応するまで指差しや声出しは続きます。
子どもはこの時、大人と対象物を交互に見る様子も見られます。
好きな対象物を相手と共有する力がついてくることでこういった行動が見られるのです。
☑️質問の指差し
「これはなに?」と大人に問いかける意味を持つ指差しです。
明確に意図を持って指し示し、大人からの返答を待ちます。
言葉の意味を知りたいというだけでなく、他者とのやりとりを楽しむ目的も。
そのため、もし大人が自分の意図した答えと違う答えをすると、「違う」と正しい答えを聞くまで繰り返し続けることもあります。
☑️応答の指差し
1歳半健診で見ているのはこの段階。
「〇〇はどれ?」に対して、答えを指し示すための指差しです。
今までは、自分の興味関心があるものに対して他者に反応してもらうという関係でした。
この段階になると、他者からの指差しに対して意味や意図を理解してどう行動するか考える必要が出てきます。
どんどん知的にも社会的にも深く関わってきているのがわかりますよね。
指差し行動があった時に周りが反応して声かけをしてくれることで、言語発達が促されていくのです。
【指差し】ひとつをとってもこんなにも色々段階があるというのは驚き。
子供の発達は奥が深いですね。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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