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[今週のおすすめ本] ストーリーでわかるファシリテーター入門 輝く現場を作ろう!

3行サマリー

  • 良い結論には「よい思い出し」のプロセスが不可欠

  • 同じ付箋は縦に、違う付箋は横に貼る

  • アイスブレイクの引き出しは多ければ多いほど良い

どんな本か

日本ファシリテーション協会の代表である森さんが書かれた書籍。

主人公は、南里マリコ。小売店に勤める人事部門の新人係長。
彼女が通う通信制のビジネススクールの課題として、自社の店舗活性化に取り組むことになる。授業でならったファシリテーションを使いながらワークショップを企画し、徐々に店舗の意識と行動が変わり、全社に波及していく。というストーリー。

ファシリテーションの肝や落とし穴を、ストーリー調で解説してくれている。自分の状況に当てはめて読めて、初心者にもとてもわかりやすい。

良い結論には「よい思い出し」のプロセスが不可欠

オフサイトや未来づくりのミーティングでよくやってしまうのが「良い組織とは何か?」など、大きなテーマでいきなり議論をスタートしてしまうパターン。悪くはないが、場も思考も温まってない状況でこれを話しても、核心にたどり着くまでに時間がかかってしまう。

そこで本書がおすすめしているのが「アイスブレイク思い出し」です。ステップは2つ。

① 良いお店と聞いて、どんなお店を思い浮かべますか?
② そのお店の何が「よい」と思わせるのでしょうか?

まずは具体的に、どんなお店かを挙げてもらう。次に少し抽象度を挙げて、良さについて考える。さらに、それを自分のお店で実践するなら、と具体的に考えてみる。この具体と抽象の往復が思考を促す上で大切になる。

コンサルタントや大企業の企画部門にいるようにな人たちは、言葉(ロゴス)を使った抽象的な議論に慣れていて、素晴らしい概念を生み出すのが得意。しかし、文字通り概念的で現場に役にたたない机上の空論なことも。一方、現場が得意な具体的思考は即役に立つものの、ブレイクスルーに繋がるような常識はずれなアイディアは出にくい。この二つを融合することで、イノベーディブな議論が可能になる。その議論の場を設計するのが、ファシリテーションの力である。

また、①を緑の付箋に、②を黄色の付箋にかいて横に並べる。などすると、議論の整理がしやすくなる。

同じ付箋は縦に、違う付箋は横に貼る

付箋をつかったブレストをする際に「似たものを近くに貼ってください」というふわっとした指示をしてきたが、それだとその後の整理が大変になる。本書の中では、同じ意見の付箋は縦に。違う意見は横に並べていくように指示している。これだと、みんなが模造紙の前で一度作業すればすでに整理された状態が作れて、とても効率的だ。全く同じだと思えば、重ねてしまうのも良い。

ミーティングのルールづくりの例

アイスブレイクの引き出しは多ければ多いほど良い

良いファシリテーションとは何か、と聞かれたら何が思い浮かべるだろう。

  • みんなが納得する結論が導き出せる

  • みんなのテンションが上がっている

  • 参加者の行動変容が生まれている

これらに共通するのは「前向きな変化」だ。この前向きな変化には、オープンマインド、十分な対話、他者からサポートされているという実感が必要不可欠で、それを生み出すのがアイスブレイクだ。

会議や研修の前には、誰しもが緊張するものだ。これから起こる変化に自分がついていけるのか、槍玉に上げられるのではないか、出来なさを露呈してしまわないか。そんな不安を少しでも取り除いて、オープンに安心して取り組んでもらうには、アイスブレイクが欠かせない。

具体的な方法をここで列挙することは控えるが、アイスブレイク上手はファシリテーション上手、は間違いない方程式だ。

Take away

ファシリ上手になるコツ
その一、答えやすい質問から徐々に抽象度を上げていくこと
その二、アイスブレイクを馬鹿にせずに、面白いものがあったら積極的にマネすること

ルールづくりが意外と大事
ミーティングのルールを自分たちで考えることも、良いアイスブレイクになりそう。自分たちで決めたことなので、ルールから逸脱していたらお互いにフィードバックし合えるし、オープンで安心安全な場を作るための土台になる。

以上!


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